102.天龍に向ける眼差し
「よし!」
「覚えたよ!」
夢描が、元気な声で言った。
「しぃーー!」
「ここは、展示会なんだからね!」
いつもは、花が止めているから空だと何か不思議だ。
「じゃあもう出るか」
「えぇ、」
「もう少し他の絵画見ていきたかったのに、」
夢描は、残念そうに言った。
「わがまま言わないの!」
「私たちは、見つかっちゃいけないんだからね!」
フードを深く被っているから顔は見れない。
そして、フード集団は、何をしなくても怪しい。
「ちぇ、」
「わかったよ」
夢描は、重い足取りで来た道に戻った。
「落ち込まないでよ」
「元の世界に帰れたら」
「一緒に行こ!」
空は、慌てて夢描について行った。
「...」
司だけ、2人の後を追わずに絵の前で立ちすくんでいた。
「嫌いだよ」
「...天」
司は、幼い天龍様の冷たい瞳を見ながら呟いた。
ただ、嫌いだと言っているわりにその目には暖かい光のようなものがあった。
ただ一つだけ、その声は何故か
―寂しそうだった。
──────
「あっ!」
「やっと出てきたァ」
外で待っていた陽葵が、3人の元へと近づいてきた。
「陽葵、」
「中に入れなかったの」
「可哀想。」
夢描は、陽葵とも絵画の良さを共感させたかったのかもしれない。
「えっ!」
「そんなに良かったの?」
「私見たかったよ」
「自然とかの絵好きなんだよね」
陽葵は、夢描の言葉を聞いて落ち込んでいた。
「いや、そこは」
「天龍様お顔見たかったァ」
「とかじゃないの?」
「えっ?」
陽葵は、なんでここに来たのか忘れたのか?
「あっー」
「そうだったね」
「もちろん覚えてるよぉ」
...忘れていたな
「でもさ、天龍様のお顔は後で」
「夢描が、描いてくれるんでしょ?」
「なら、そこまでがっかりではないかな」
「やだぁ」
「陽葵嬉しいこと言ってくれるじゃない」
「楽しみにしてますよぉ」
「なんだそれ」
3人は、笑った。
「じゃあ忘れないうちに帰らなきゃ」
4人は、みんなの元に帰っていった。
「司大丈夫だった?」
「ああ、大丈夫」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




