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98話 育てて成長したモノ

ゴールデンウィーク最終日の夜

寮の屋上では、お茶会が開かれていた


「シンが15歳になってもうたな」


トウカがカップに注がれた紅茶を見ながら

溜息混じりに言う


「まぁ‥‥1つの区切りみたいなものね」

「色々と考えても

起きるんだとしたら」

「今日明日に起こっても不思議じゃないよね」


ウイ、ルカ、カヤが

広げて置いてあるお菓子を食べながら

ん〜っと考えながら話す


「起きてくんないと困るんだけどなぁ」

「ウチらもそうやねんけどな」

「シンですもの

大丈夫ですわよ‥‥たぶん」


ポー、ソナ、リンが

少し不安気に呟く


「大丈夫なの」

「コレは絶対なの」

「だよね!シンなんだもん」

「はい!シンは絶対です!」


エル、ヒル、アヤノ、クナが

ね〜っと言いながら断言する


「信じてるのは信じてるんだけど

過去の例とかと比べると不安にはなるわね」

「そうやなぁ、ん〜せやけども

ウチはシンとの間に、この子がおるから

安心しとるっちゅーか

なぁ?マンジュシャカちゃん」


サリに答えながら

ソナがマンジュにクッキーを

食べさせようとして、拒否されていた


拒否したマンジュが

いきなりサッーっと遠ざかって行くので

ソナが疑問に思って

振り返ると全員が殺気だっていた


「なんやぁ?

ウチとシンとの関係に嫉妬かいな

ばあちゃんともやり合うた蛇達がおるウチに

‥‥って!あれ?アンタらまで」


ソナが髪に手を入れて探るが

蛇達がいなかったので、辺りを見回すと

少し離れた所で

マンジュと蛇達が尻尾をフリフリして

シャーシャー、ピィーと鳴いていた


まぁ‥‥アレはアレで怖かったけども

そやなぁ、おもろかったからなぁ

アンタとはなぁ

なんかヤル気が出ぇへんのや

それに最近ずっと調子乗っとるしなぁ

ここらで、いっぺんシバかれときや

なんや後ろの嬢ちゃん達はヤル気みたいやし

マンジュはんも、そう思わん?

美味しいのくれないから駄目!


要約すると

そんな内容の話をしながら

蛇達とマンジュは

ソナに対して尻尾を振った


その後、ニブイ打撃音が

何回か響いて

寮の屋上は、静かになった



「ほんで?

実際の所はどんなもんやねんやろ」


屋上に敷いたシートの上で正座をして

膝の上に乗せているマンジュを見ながら

トウカが尋ねる

その横ではソナが寝転びながら泣いていた


「この前にウチで出した肉なんだけど」

「あの信じられないくらい美味しかったヤツ?」

「そうそうソレ

ばあちゃんとじいちゃんしか知らないツテから

手に入れたらしいんだけど

アレって、人族が食べてもいいんだけど

味がしないらしいんだよね」

「シンの母親が食べて

微妙な顔をして笑ってたもんね」


アヤノが説明して

ポーとカヤが思い出しながら話す


「そういう意味では

夢中になって食べてたシンに

焼いてあげてた父さんもスゴく驚いて

人族とは違う何かになってるかもなって

そう言ってたよ」

「そんな事があるんですの?」

「それについても調べたの」

「おじいちゃんも言ってたから調べたの」

「色々と言われているだけだったんだけど」


アヤノにリンが尋ねると

エル、ヒル、ルカが携帯を出して言う


「TSが起きた時に種族が変わる

または混じる可能性があるらしいの」

「魔術は生まれた時の種族特性が大きいから

変わろうと混じろうと使えないと

されていたの」

「それでも例が無いから

あくまでも仮説とか可能性とかが多い」


エル、ヒル、ルカが

携帯を見ながら話した内容を聞いて

少しの間、静かになる


「え?でも‥‥だって

あの時、シンは使ってましたわ」

「使ってた!

真正面から見たので間違いないです!」

「シンは無意識だったみたいだけど‥‥

おばあちゃんやおじいちゃん達が

あまり深く聞いてやるなって言ってたのは」

「あの時、すごく笑ってたのは

この事なのかしら」


聞き返すリンに

クナ、サリ、ウイが思い出しながら答える


「う〜ん‥‥

育っちゃってるなぁ」

「そうねぇ‥‥

思わぬ特典まで付いてきてるし」


カヤとポーが舌なめずりしそうな顔で呟く


「シンは体の変化とか

感じてないのかしら」

「ウチのじいちゃんが心配しとったのは

この事も含めてやろうけど

前の時にシンに色々と聞いとったけど」

「シンは健康そのものって言ってたの」

「おかしな事も無いとも」


ウイの疑問にソナ、ヒル、ルカが

順に答えていく


「おばあちゃん達は

このぐらいできる人族なら

昔はよく見かけたもんよって

シンに言ってたの」

「え?いたの?シンみたいなのが?」

「いるわけないっしょ

そうやって思い込ませて

オカシイと思わせてないだけだよ」

「リンのお婆様が諭す様に言ってたから

絶対に信じてるわよ」


エルの言う事にソナが驚くが

アヤノ、サリが呆れた様に言う


「そうやな

シンは携帯を基本的にほったらかすし

あんまりネットとかで調べたりもせぇへんから

信じてる人が言うとる事を聞いてまうかもな」

「そこんとこ

マンジュシャカちゃんは

なんか聞いとらん?」


ソナに尋ねられたマンジュは

チロチロと舌を出してから

ピィーっと鳴くと周りの蛇達もシャーっと鳴く

ソナが驚いた様に

いや‥‥そりゃ欲張り過ぎやでと呟く


「なんて言ってるんですの?」


リンが聞くと

ソナは呆れた様に笑いながら


「前に食べた美味しい肉を

お腹いっぱい食べさせてくれたら

内緒って言われてる事を言うか考える!やって

ついでにアイツらも」

「なんか段々と可愛げが無くなってきたわね」

「考えるって

何回も要求する気満々じゃない」

「どこで覚えてきたのかしら」

「シンとは違う方向で

賢くなってきてる気がするの」

「シンは、こういうの甘いからなぁ」

「ちゃんとシツケんとアカンのに」

「まぁ‥‥やさしいからね、シンは」

「甘すぎ」

「なの」


春が過ぎ

段々と次の季節が始まろうとする寮の屋上で

ピィーシャーと大合唱する蛇達がいた


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