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88/92

88話 普通に手慣れていく

またこの季節がやってきてしまったと

シンは思いながら先手を打つ事にした


「断固拒否よ」


教室で文化祭で進学科は何をやるか

それを決めるホームルームが始まった時に

シンは席に着きながら宣言した


「シンちゃん?何がかしら?」

「去年みたいに

私の二つ名関連の事なら

本人が断固拒否って言ったのよ」

「本人がそう言うなら

ヤメておきましょうか」


担任であるサリの母親が

あっさり引いた事にシンは驚いた


「いつも強引にやるのに

こんなの絶対に怪しいわよ」

「何がなの?」

「サッサと決めるわよ」


シンが周りを見回しながら言うが

ヒルとウイが前に出て

文化祭で行う出し物を決め始める


「マンジュは何か聞いてない?」


シンが言うと

クラスが静かになり

シンの髪からマンジュが

机の上にスルリと出てくる


「オヤツのお煎餅で

知ってる事を吐いてくんない?」

「それは卑怯」

「物で釣らないの!シン!」


ルカとエルがシンに抗議するが

シンがカバンから出した大きなお煎餅に

マンジュがピィ♪と鳴いて

カブリついて飲み込んでいった


体がお煎餅の形になって

何か別の生き物の様になったマンジュは

スラスラと喋り出す


「へぇ‥‥またお母さんに‥‥

後で認めてもらって‥‥

やっぱりじゃない!」

「シンちゃん‥‥それは駄目よ」

「そうよ!マンジュを味方につけるって」

「買収までして!卑怯なの!」

「物で釣るのはズルいの!」

「やりたかった」

「やらないって言ってるでしょうが!」


色々と言われる中で

シンは勝ち誇った様に全員に言った


今年こそは!今度こそは防いだぞ!っと

シンは満足気に微笑んでいた


クラスメイト達は

その様子をしょうがないなぁといった感じで

微笑みながら見ていた



こういった流れがあったせいで

シンは

油断していたというのもあるが

正確には忙しくて忘れていた


休みの日に寮でご飯を食べていたら

狩りだ!祭りだ!と騒いでいるルカの家族に

連れて行かれたり


部活終わりに買い物(買い食い)に行ったら

エル、ヒルに追い回されて

強制的に神社で勉強会になったり


クナ、サリに追い回されて

ウイ、ポーと飛び回って

ソナに寝かされて保健室で気付いたり


リンに次の主将を押し付けられそうだったので

アヤノに擦りつけたり

カヤ、トウカに体の寸法を測られ

着せ替え人形にされたりしていた


だからなのか

登校してクラスメイトに

文化祭でやる予定になっていたモノの

準備が出来たと言われた時に

ビックリした


「私は何もしてないんだけど」

「別にいい」

「食材と機材の手配だけだったしね」


シンが周りにいるクラスメイトに言うと

ルカ、ウイがヤレヤレと言った感じで返す


「当日は焼くだけなの」

「材料的にも人数は限りがあるの」


エル、ヒルが席に着き、笑いながら言う


「タコ焼きとお好み焼きで

私は交代でホールだったっけ?」

「そうだけど、部活の方は何もないの?」


シンが席に着いて思い出しながら聞くと

エルが答えてから、聞き返す

シンは腕を組んでから難しい顔をした


「新部長が2連覇関連で

何かするとは言ってたんだけどなぁ」

「遊べる」

「その日は、みんなで色々と遊ぼうか」


ルカ、ウイが言ってきた事に

難しい顔をしていたシンは

そうねっと

周りと笑いながら話していた



そういった事を

思い出しながら静かに語りかける


「また騙したのね」

「聞かれなかったから

言わなかっただけだし」

「だから私が

あれほど部長をしなさいと言ったでしょう」

「しないと思ってたのは

シンだけだと思うよ」


文化祭当日の朝に逃亡を防止するかの様に

シンは囲まれて連れて行かれた

その場所の入り口に立てられている看板を

読んだ後に文句を言ったが、後の祭りである


〔進学科とスポーツ科の有志が合同開催!

2連覇!バレー部の粉物喫茶!〕


今まで行った事のなかった体育館の中央に

設置されている沢山のテーブルの上には

色々な店員さんの服が置いてあり

壁面には蠍や蜂、蛇の展示物が置かれていた


「なんで!ここまですんのよ!」


クラスメイト達は

あの日と変わらない笑顔になっている中で

シンだけが難しい顔になって叫んでいた


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