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87話 強さの続き

〔オマケは他にいっぱいいるからな

お前はオマケでも無く、包装紙ってヤツだな

色々と包んで俺に貰われたらいい〕


アヤノの祖父は煙を吐きながら

防犯カメラ映像の再生を止める

隣ではアヤノの祖母がお茶を啜って

湯呑みを机にゆっくりと置く


2人の前には机を挟んで

数人の男性が頭を下げていた


「まぁ‥‥こんな事があるのは

予想済みだったわけでな」

「色々と気をつけておいてよかったわね」

「ワシからは何もねぇな

お前らは今から色々な所から

目をつけられるだろうしよ」


アヤノの祖父と祖母が落ち着いて話すと

頭を下げていた男性達は

そこをなんとかお願いしますとか

今後はない様にいたしますのでとか

お前はなんて事をしたんだとかを

言いながら謝っている


「鬼族としての誇りや矜持を無くした者に

私達が何をしろと?

好き放題やって、バレたら謝って

全てコチラが我慢して、許してもらって

今まで通り?アナタ達は何様かしらね?」


アヤノの祖母が言った言葉で

誰も何も言えなくなる


「今すぐとは言わねぇが

今年中にウチとは終いにしてくれ」


アヤノの祖父は

これで話は終わったと言って

その場に居た全員を帰らす


アヤノは防犯カメラ映像の続きを再生して

食い入るように画面を見ていた


「この時は焦ったわぁ

まだもう少しとか言うんだもん」

「結果として

良いのが撮れただろう

なぁ‥‥アヤノ」


母親と父親が話している最中に

アヤノが動画を止める


「いい顔してんじゃねぇか」

「ホントにいいわね

どう?アヤノ」


祖父と祖母が見ている動画では

苦悶の表情をしている鬼族男性の手首を持って

睨みつけるでもなく

ただ普通に見ているシンがいた



なんか最初は

生意気な小さな人族がいて

チョコチョコ頑張ってて

それが無性に可愛く見えるだけだった


なんか色々あるうちに

何をしてても可愛くなってきた


あんなのはズルいんじゃない

絶対に勝てる訳がないって

わかってたハズだよね

シンは頭が良いんだもん


私が逆の立場だったら

やるとは思うけど

あそこまでなんて絶対に無理だった


敵わないって思ったのに

シンがおじいちゃんの前で泣き出した


今まで誰かが泣いてるのを見た時は

何が悔しい?とか

泣くぐらいならもっと頑張れば?とか

思っていたんだけど


あの時のシンの泣き顔を

思い出せば出すほどに胸と顔が熱くなった


挑んだ者だけが流す涙

覆す為に今の全てを賭けて

その全てを失った者の涙

それら全てがわかっていても

挑まずにはいられなかったのよ

ばあちゃんがそう言っていた


正月に聞いたシンの前の学校状況を

怒りながらお父さんに言うと

ならアヤノは優しくしてあげなさいと

頭を撫でながら言われた


優しくなんて出来なかった

だって‥‥私だけを‥‥

私のみを見てくんないんだもん


進学科でクラスも違うし

部活だけしか会えないし

週末に寮に泊まった時に

抱きついたら逃げ出すけど

ゆっくり抱きついたら

頭を撫でながらヨシヨシしてくれる


それで満足してたのにさ

2年になった時に

部活でコレって出来るって言われた


いや‥‥出来るけどさぁ

結界の中であっても

思いっきりやったら‥‥

ホラ‥‥先輩達、リン、サリ、クナも

駄目でしょ?ホントにやんの?


あんな風に加減なんてしなくていい?

ホントにやるよ‥‥

連続では出来ないなぁって

なんでよ!なんでできてんの?

もう1回やってよ!もう1回!

お〜ね〜がぁ〜い〜だぁかぁらぁ!


結界の中での私の思いっきりを

打てるのはシンだけだった

クナは加減しないと駄目だった


結果内とはいえ

鬼族の思いっきりなんだよ

私の思いっきりなんだよ


大会後にお母さんに言われた

あんなにべったりと甘えちゃって

私達には見せた事無い顔してたわよと

赤面して何も言えなかった


シンはいつだって

‥‥私達を受け止めてくれるんだから

私の事は結界以外では駄目かなぁ

鬼族の力はさ

人族にはホントに怖いものだからね



アヤノは耳まで真っ赤にして

画面のシンを見ていた


全く怯えずにヤルなら仕方ない

そんな感じで鬼族の男性2人を見ている


体格も種族的な力だって違う

力だけでいえば次元が違うとも言える

ましてや脅されていると言えなくもない

そんな状況下で人族の女性が‥‥

相手が怯むような気迫で立っている


人族とかじゃなくて

女性とか男性とかじゃなくて

シンなんだから仕方ないよね


「ワシがこのくらいの時に

年上から凄まれたら、ハイと言って

何でも聞いてたかもしれん

多種族の原種なら‥‥なおさらな」


アヤノの祖父が言うと

祖母、父親、母親が揃って笑い出す

祖父も笑い出したのでアヤノは4人を睨む


「シンちゃんはイヤだったら

キチンとイヤがってくれるから

嫌われるまで甘えさせてもらうのね」


祖母の言葉に真っ赤になって

うぅぅぅと唸った後に


「シンだもん!シンなんだもん!

私の事は絶対に嫌いになんないもん!」


アヤノが叫ぶ

4人は笑いながら

じゃあ明日来たら聞いてみようと言ったら

イヤーーと再度叫び声が響いた



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