表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/92

78話 超えた先を歩く

バレー全国大会の準決勝

開法学院と宗鳳学院が対決する


〔去年行われた試合の中で

最も盛り上がった対決のカードとなります!

あの幻の16点を決めて

優勝への原動力とした前回王者の開法学院!

挑む宗鳳学院は前回の大会で

幻の16点目を入れられてから

公式の試合では全て無失点となっています!

雪辱の為に研いだ牙で王者復帰となるか!

宗鳳学院!

はたまた!研いだ宗鳳の牙をへし折り

絶対王者として君臨するのか!

開法学院!

実況としても

この対戦には興奮を隠しきれません!〕



「クナちゃんが出て来たわね」

「予想通りなの」


リンの母親と双子の母親が観客席で話している

その隣ではアヤノの母親、ルカの母親が

笑いながら話している

最初の方は予想通りの展開になるからと

雑談をしていた


「まぁねぇ

経験というのは大切だと思うけども」

「それもあるんでしょうけども

あの子達の考えは違うんじゃない?」

「そうね

リン達も考えて動いているようね」

「でも、それでも

超えてくると思ってるんでしょうね

私達もお母さん達もね」


リンの母親とウイの母親が期待の眼差しで

ベンチで柔軟をしているシンを見ていた



試合は宗鳳学院が圧倒的に強く

開法学院が何をしても

1点も取れない状況となっていた


「予想通りなの」

「シンは信じてたんだけどね」


エル、ヒルがカメラ越しに見るのをやめて

コートで息を切らしてるクナを見る

カメラの上に乗っている小さな蛇は

心配そうにエル、ヒルを見て

ピーと鳴いていた


「去年のウチだったら負けてたかも」

「単純に強い」


ウイ、ルカがそんな事を言うぐらいに

宗鳳学院は打倒!開法学院みたいな勢いで

全員が一丸となっているように見えた


「黄天と紫尾に頼りきりだったのに

全員がアレら以上に強く見えるよ」


カヤがクナを心配そうに見る


クナは去年のシンがやったように

ボールを上げてリン、アヤノ、サリが

シンが上げた時と同じタイミングで

威力も変わらない様に打ち出しているが

宗鳳学院の選手にボールを取られた上

去年の紫尾がやっていたのと同じような形で

カウンターを決められている


「去年の紫尾がやってたのより速いね」


後ろから来たポーが少し息を切らしながら

声をかけてきた


「そっちはそっちで早いわね」

「マジでここまで走ってくる方が辛かった」

「決勝負け?」

「冗談!2連覇だし!」


ウイの軽口に笑顔でポーが言うと

周りから祝福の声を掛けてもらう

ポーは照れながら周りに頭を下げてから

試合の経過を見る


「シンは2セット目からかな」

「だいぶ怒ってるの」

「相手が本気になってないと思ってるの」

「それこそ冗談」


ポーが呑気にお茶を飲みながら言った後に

エル、ヒル、ルカが笑いながら言う


「たぶんだけど

シンの中では私達は凄く見えるのよ」

「それでいて

自分は人族だから、もう限界で

周りは原種なんだから

もっと凄い筈なんだってね」


ウイとカヤは悔しがっているクナを見る

リン、アヤノ、サリが

声をかけている状況を全員が

ニヤニヤと笑いながら見ていた


「アンタ達はもう!

性格が悪い様に見えるわよ」


サリの母親はそう言いながらも

同じ様にニヤついていた



〔1セット目が終わりました!

終わった結果は見て明らかな結果です!

いつも通りで失点0の宗鳳学院!

ストレートで取られた開法学院!

去年とは真逆の展開!

隙の無い守りと相手の隙を鋭く突く攻撃!

宗鳳学院は強みを存分に生かしております!〕


開法学院のベンチに集まった選手の中で

狼族の子と人族の子がハイタッチをする

その意味を理解したのか

観客席の一部からは歓声が上がる


2セット目が始まるブザーが鳴り

宗鳳学院の選手がサーブをする

開法学院がボールを回して赤壁が

宗鳳学院へと打ち込むが取られ

上げたボールを速攻で宗鳳の選手が打ち込む


〔宗鳳学院の得点パターン!

2セット目から入った蠍ちゃんの真横!

蠍ちゃんは微動だにせず!

打ち込まれる前に動いたと思っていたのですが

ボールが打ち込まれた時には動きませんでした!

いや!動けなかったのか!

先程までの開法学院の選手は

打ち込まれたボールに触る事はできていたのに

蠍ちゃんは動く事すらできませんでした!

しかし、言ってて不思議な感じです!

不気味に思うのは私だけでしょうか〕


開法学院がトスでボールを上げて

雷姫が打ち込もうとしている


〔開法学院が打ち込むが!

また宗鳳学院の得点パタッ!

取った!キレイにボールが上がる!

取った蠍ちゃんは後ろに飛んで!構えたぞ!

さあ!行った!飛んで!打ちッ!入った!

てか!なんだアレ!意味わかんない!〕

〔蠍選手が打ち込んだボールが

鉄壁を誇った宗鳳学院の守りを打ち破り

今大会初めての失点を与えました〕

〔あの速度から曲がり落ちています!

このボールの動きはまるで‥‥ハッ!

まさか!まさか!入場の時からの匂わせ!

頭にいたヘボッ!〕

〔失礼いたしました

開法学院からのサーブで再開です〕



「行ってきたらいいやん」

「アカン!絶対にアカンやろ!

仕事中なんやで!」

「仕事って言うても見習いやろが

ほら来よったで、一緒に行ってきぃや」


保健室で机を拭くソナに対して

ソナの母親がドアの方を見て言うと

保健室のドアが勢いよく開いて

息を切らしたトウカが立っていた


「はよ!はよしぃや!行くで!ソナ!

シンが出てまうやろが!」

「アンタが遅いからやろが!

ばあちゃん!オカン!ええか?」


焦って保健室から出て行こうとするソナを

ソナの祖母と母親は呆れて見ながら


「白衣は脱いでから行きや」

「ほら!はよ〜行け!」


ソナは白衣を脱いでベッドの方に投げ

先に走り出したトウカを追いかける様に

体育館へと走り出す


「やっと行った

コレでやっと見れるわ」


ソナの母親がモニターの電源を入れて

チャンネルの設定をしながら


「あの子は仕事言うたり

見に行く言うたり‥‥ホンマにもう」

「まぁまぁ

昔のヤンチャな感じでええやないの」


ソナの母親が呆れているのを宥め

お茶の用意をしてからソナの祖母は椅子に座る


そこからしばらくの間

ソナの祖母がお茶を2つの湯呑みに入れるまで

2人は無言だった

モニターに映し出されているバレーの試合は

2セット目が終わった所で

ソナの母親が饅頭をつまみながら言う


「どないするん‥‥コレ」

「聞いてた話より

随分な事になってるなぁと」


ソナの祖母がお茶を啜りながら

饅頭に手を伸ばす


「そんな軽い感じでええの?」

「ええんやないの?」

「はぁ‥‥そうは言うても

思い蛇を奪われそうになった事に関しては

えらい色々と言ったんやろ?

なんや知らんけどさぁ

相手さん方、ごっつ怖がっとったで」

「種族的にもアウトな事を平然とやって

大事にしたくないって言うからやね

色々と言うたら‥‥全部通っちゃってね」


その言葉の意味を知っているソナの母親は

唖然としながら

饅頭を食べている自分の母親である

ソナの祖母を見ていた


「何言うたん?

お詫びの品とかは

かなり高そうな物ばっかやったけど」

「くれるって言うから

まぁ‥‥アレはもろただけやけど」

「ほな‥‥アレは相手に言うたヤツちゃうんか

マジで何言うたんや?」

「教えたら、なんかくれる?」

「なんでやねん!」


2人は笑い合う

モニターの向こうでは

3セット目が始まっていた



得点が入る度に観客席にいる集団が

カメラの位置を調整している

そこに走ってきた2人が合流するが

全員が無言で試合を見ていた



〔なんでこんな事になっているのか!

宗鳳学院が1セット目を

完全にコントロールしていたのに!

2セット目の1点目までは

開法学院を支配下においていたのに!

そこから先は完全に逆転しています!

手前は3枚の壁!

赤壁!雷姫!緑壁!そこを抜けたとしても!

蠍ちゃんが待ち構えている上に

やってくるカウンターがエグい!〕

〔来る所がわかるのか

壁に当たって方向が変わったとしても

蠍が待ち構えております

カウンターでは

あの速度で打ち出しているのに

曲がって落ちる上に打ち込む所を選べるのか

宗鳳学院の選手がいない所へと鋭く刺さる

今大会随一と言っても過言ではない

宗鳳学院の鉄壁な守りを

鋭く多彩な攻撃で食い破ります〕

〔蠍ちゃんが上げて!雷姫が入れた!

先程まで入らなかった双璧も入れている!

開法学院が宗鳳学院を圧倒しています!〕


4セット目が始まるが

開法学院の一方的な試合が続く


〔さぁ!構えて走り出す!

蠍ちゃんが打った!

今度は真っ直ぐ!真っ直ぐだ!

宗鳳学院のコートへと真っ直ぐに突き刺さった!〕

〔4セット目が始まっても

止まらない開法学院、止めれない宗鳳学院

逆襲が始まり、快進撃が終わる

全ては蠍選手がコートに入ってからです

開法学院が一方的な試合をする時には

必ずと言っても良いくらいに蠍選手がいます〕

〔味方にとっては

これほど頼りになる選手はいないでしょうが!

対戦相手にとっては

恐ろしいほど厄介な選手であります!

つーか!蠍ちゃんが!まぁた飛ぶぞ!

さぁ!曲がるか!真っ直ぐか!落ちるか!〕


小さな人族が構えて飛ぶまでの短い間に

いつの間にか手拍子が起きていた

歓声には宗鳳学院を応援する声もあるが

開法学院を応援する声や手拍子に押されていた



その後、行われた決勝にも開法学院が勝利し

2連覇を達成した




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ