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75話 超えた壁の高さ

「うわっ!負けてんの?

一方的だけど、セットは取られてないんだ」


開法学院がタイムアウトを取った時に

ポーが合流してきた


「どうだった?」

「バレーの決勝には間に合うようにするよ」

「優勝は間違いなさそうなのね」

「わかんないけど、油断はしないから」


ウイに軽口を叩きながら

3回戦を突破した事を報告をして

ポーはお菓子を食べる


「なんかさ、クナ‥‥大きくなってない?」

「アレは食べ過ぎで動けなくなってるの」

「全然!飛べてなかったし!」


ポーが目を細めながら

頭にチョップされてるクナを見てると

エル、ヒルが怒ったように言う


「いやいやいや!嘘でしょ!だって!

アヤノと合わせるとか言ってなかった?

確か‥‥3回戦だったよね」

「シンがちゃんと見せたのにね」

「本番前に成功と失敗を見せて

復習させたのにね」

「後で折檻」


ポーが焦ったように聞くが

エル、ヒル、ルカが怒りながら言った


「なんかシンと絡んでから

ダメダメになっていくよね‥‥クナって」

「基本的にシンは自分以外には甘いからね」


カヤが剣呑な目付きで

2回目のチョップを受けているクナを見る

ポーがぴょんぴょんと飛ぶシンを見て言うと

ブザーが鳴ってタイムアウトが終了した


「それに加えて自己評価が低いのよね」


黙っていたサリの母親が教師の顔をして言うが

次の瞬間には団扇を振って

逆転よぉ!サリちゃぁん!シンちゃぁん!と

大声で応援していた



取れない!通じる!通じるんだ!


小学生の時にシン・フジムラ先輩のチーム

咲川小とやり合った時には

あと1歩まで追い詰めたのに

結局は負けた


その次の年である去年は優勝できた

シン・フジムラ先輩の真似をする奴がいた

確かに速度や高さ、力強さは上だったけど

何度も見た事のある所詮は真似事だった


雷姫と赤壁と緑壁がいる開法学院に

シン・フジムラ先輩が入って

中学の部で開法学院が全国制覇した


二つ名の蠍をもらってもいた

シン・フジムラ先輩


中学のバレー部に入った時に

他の部で補欠だけど

身体能力が高い先輩達がいた


その中でも狼族の先輩2人は姉妹で

息もピッタリで点を与えないディフェンスが

本当に凄かった


これで攻撃に専念できる

優勝した時に貰った二つ名に恥じないように

磨きをかけたモノ


中学の全国大会でも通じたし

例え取られたとしても

狼族の先輩達が点を与えない


その狼族の先輩達の妹が

さっきまでは勢いが良かったのに

今は牙を抜かれたみたいになっている


雷姫も赤壁、緑壁の双璧も

私達から点を取れないし

私を止められない

タイムアウトで先輩達と話す


あんなに余裕だった開法学院を

一方的に叩き潰して、噛み砕いて

決勝が行われる開法学院で

絶対に優勝して見せつけてやる


タイムアウトが終わり

小さい人族であるシン・フジムラ先輩

蠍がコートに入ってくる


油断はしない

けど、1回戦と2回戦でやっていた

曲芸みたいなやり方

スゴイけど、安定もしていなかった


やるならなんでもやってこい!

全部止めて爪灰に繋げてやる!

狼族の先輩達や他の先輩が言ってくれる

いつもと同じように、去年もあったように

全国大会の覇者が、ここで負けるんだ



〔偏向報道ではありませんが!

名付け親としては期待せざるはおられません!

蠍ちゃんが入ってきたぞ!

一方的な試合を書き換えてくれるか!

はたまた毎年恒例である

下剋上が行われるのか!

狼敬中学からのサーブで試合再開です!〕


ボールが開法学院に渡り

トスが上げられて赤壁がボールを打ち込む

狼族の選手が取り

もう1人の狼族の選手がトスでボールを上げる


〔ボールが上がり爪灰が!打ち込んだ!が!

蠍ちゃんがボールを上げた!上がったぞ!

蠍ちゃんはいつも通りに吹っ飛んで!

着地して構えて走り出す!

蠍ちゃんが飛んで打ち込んだが!

真っ直ぐなボールは取られて上げられた!〕


蠍が左手で打ち込んだボールは

狼族の選手に上げられて

もう1人の狼族の選手がトスでボールを上げる


〔同じ形でのラリーが始まるのか!

爪灰のボールが上げられたのは

この試合初めてだが!

蠍ちゃんも決めれない!

爪灰が打ち込んだボールを蠍ちゃんが上げた!

また蠍ちゃんが吹っ飛んだ!

同じ光景が繰り返される!

蠍ちゃんが走り出して!打ち込んだ!

えっ!入った!入りました!

この試合で初めて狼敬中学のコートに

ボールが落ちました!〕


真っ直ぐ向かっていったボールを

狼族の選手が取り損なって

ボールがコートに落ちた



「シン・フジムラは右でも打てるんだな」

「さぁ?初めて見たし

私達とやった時は左で打ってたけどね」


観客席にいる黄天と紫尾は

目を細めながらジッと見ていた


「お前なら爪灰のボールは取れるか?」

「アレぐらいの変化なら

多分だけど、すぐ取れるよ」

「なら‥‥蠍のボールは?」

「4、5回やったら取れるっしょ‥‥けど」

「けど?」

「アイツってさ‥‥

絶対に本気でやってないよ」


紫尾が不貞腐れたように頭の後ろで手を組む

黄天は蠍が打ち込んだボールを

また狼族の選手が取り損なって

コートに落ちるのを

眼鏡の位置を直して見ながら


「全国大会で?本当か?」

「手の内を見せたくないって言うか

爪灰の真似事やってんのよ

それなりの改良っぽいのを加えてね」

「確かに手の内は隠しておきたいよな」

「それもあると思うんだけどさ‥‥

まぁいいか!やっちゃえぇ!蠍ちゃぁん!」


何かわかったような顔をする紫尾が

大きな声で応援し始めたのを見た黄天が

少し呆れたようにしていたが

相棒が言わないなら

それなりの理由があるか

いつか見れる事でネタバレを

嫌ったんだろうと思い


「頑張ってぇ!蠍ちゃぁん!」


声を上げて応援していた




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