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74話 食欲は欲求トリオの1つ

宗鳳学院の体育館の近くにある広場の

大きな傘状の物が作り出す影の下

机や椅子が並んでいる所で

昼食を取っている集団がいた


「だから!嫌だって言ったのよ!」

「言いながらやってくれた

そんなシンが大好き!」

「入ったのは2回だけで、後は大外れ」


シンがカレーを食べながら

アヤノに抗議するが

アヤノは笑顔でシンに抱きついている

リンが呆れながら言うと笑いが起きる


1回戦と2回戦が午前中にあり

その2試合で6回もアヤノにねだられた

シンは嫌だと言うけど

結局はやっていた


「セットが始まる度にやるから」

「相手も呆れてたの」

「そのせいでシンは途中で交代もしてたし」


サリ、エル、ウイがアヤノに言うが

当の本人はシンに抱きついて

気持ちよさそうにしていた


アヤノの母親は

そんな様子を見て顔を赤くしながら

おかわりのカレーをよそって

切ったカツをご飯の部分に乗せていた


小さな蛇は切ったカツの横にいて

ピッ!と鳴きながら小さな皿の前で

行儀良くしていた


「体がカツの形になってるわよ」

「面白い」

「カレーは飲んでるの」


リンの母親、ルカ、ヒルに言われて

蛇は自分の体を振り返って見る

ピー!ピッ!と鳴いて尻尾を振ると

段々と体が元の形になっていく


「そんな事はいいから

ソレをちょうだいだって」

「本当に面白い」

「コレ?大きいわよ

本当に大丈夫かしら」


シンが訳しているのを

ルカの母親が興味深く聞いている横で

ウイの母親が蛇の体より長く太く切ったカツを

小さな皿から、はみ出るように置くと

蛇はお辞儀をしてから

嬉しそうにカツに噛み付いて

うっとりと目を細めながら飲み込んでいく


「次はクナちゃんの因縁の相手なの?」

「ハイ!去年の全国大会で

負けた所の相手がいるのと姉達がいます!」


双子の母親が聞くと

クナがカレーを食べながら元気よく答える


「ほぼ完封されたんですのよね?」

「うぅ‥‥手も足も出なかったし

今年は姉達が加わったので‥‥さらに」

「わかるなぁ‥‥姉達には敵わんよね」


リンが尋ねると

クナがシュンとなって

カツを咥えたカヤと頷き合う


「でも、色々とあるんでしょう?

ホラ!さっきみたいなのが」


ウイの母親がアヤノの母親をチラ見しながら

聞くとシン達は、ん〜っと考えながら

揃ってクナを見る

視線が集まっている事にビクッとなるも

クナは背筋を伸ばして答える


「絶対にやってやります!」


シンは机の上で満足したように

カツの形になっている体を

ウネウネしている蛇のカレーまみれの顔を

ウェットティッシュで拭きながら


「言ってた通りにモク監督が判断するまで

私は出ないわよ」

「シンちゃんが出ないの?」

「リンもサリもバレー部員も納得してたし

それにアヤノも納得したんでしょ?コレで」


アヤノの母親がシンに聞くと

シンが抱きついているアヤノを

アッツい!と引き剥がして周りに聞く


「後はクナ次第だから、私は文句ないよ!」

「私も」「私もよ」「私もね」「私もなの」「なの」

「私達もで良くありませんの?」「私も!」

「なんでバレー部じゃないのが混じるのよ」


ルカが携帯の画面をシンに見せてきて


「ポーとソナとトウカもだって」

「ポーってば余裕じゃない」


今年は全国大会の日程が完全に被ったポーと

仕事をしているソナとトウカからも

携帯にメッセージが届いていた


「色々と考えてるのはいいけど

負けたら承知しないのがいるから」

「そっちの事も考えときなさいよ」


リンの母親が呆れながら言うと

アヤノの母親がおかわりを要求してきた

クナの皿にカレーを大盛りにして

福神漬けを足しながら言った



3回戦が始まる時に

シンは相手チームを見ていた

クナと似たような背格好の選手が

シンの方を睨むように見ている


シンはジッと見てから

クナの方を向いて、少し首を傾げる


「なに?どったの?」


アヤノがシンの様子を見て話しかける


「いや‥‥アレがクナの姉さん達だよね?」

「うん!バスケと水球から移ってきた2人だよ」

「いや‥‥それはいいんだけどさ」


シンはクナと話しながら

クナの体を見て

何かを言いかけた時に

モク監督から集合がかかる


「いいか!全国まで来るなら全て強豪だ!

認めたからにはやってもらうが

駄目なら速攻で交代だ!わかったか!」

「ハイ!わかっています!」


モク監督の言葉にクナが返事をする


「いつでも出れるようにしとけよ!蠍!」

「‥‥あっ!ハイ!」


モク監督に声をかけられて

シンが少し遅れて返事をする


両選手がコートに走って行く際に

リンがシンに声をかける


「まだ慣れないんですの?蠍呼びは?」

「いや‥‥そうじゃなくて

多分だけど、すぐに入る事になると思う」


柔軟をし始めたシンを横目に

リンはコートに走って行った



〔さぁて!また決まりました!

開法学院が11点連続で失います!

逆に11点連取したぞ!狼敬中学!

開法学院は前回大会から数えて

こんな事は無かっただけに悔しそうだ!〕


雷姫が膝をついてる選手に駆け寄り

叱咤激励を飛ばして立たす

双璧も自分達の手を見てから

叱咤激励を飛ばされている選手を見ていた


〔双璧の間を縫うように入ったボールは

取ろうとした選手の手に当たると

上げようとした方向では無い方向へと

飛んで行ってるように見えます!

小学の全国大会でも見られていましたが

二つ名をもらって今大会で覚醒したのか!

爪灰〔ソウカイ〕が王者さえも翻弄し始めた!〕



「蠍!行けるか!」

「クナが1回もできてないけど」

「アレでは無理だ!」

「しょうがないか」


モク監督が12点目が入った時に

タイムの申請をハンドサインでしながら

シンに話しかけている


ベンチに選手達が集まってくる中で

クナがシンの前に行き、悔しそうに下を向く


「駄目だった」

「しょうがないじゃない」

「でも‥‥こんな‥‥一方的に

チームのみんなにも迷惑が」

「そう思うんなら

次はあんまりおかわりはしない事ね」


シンに言われて

クナはウッ!と呻いて

少し気まずそうにシンを見る


「美味しいのはわかるけど

今度は半分くらいにしといた方がいいわよ」

「あの‥‥シン‥‥ごめんなさい」

「まぁ、そうでなくても

アレは取りにくいんでしょうけど」

「シンはイケッ!」


クナはリンとサリから

頭にチョップを喰らっていた


「クナ!何杯食べたんですの!」

「頼まれたからやったのに!」

「カレー6杯とカツ7枚」


リンとサリに言われて

言い淀んだクナの代わりに

シンがチクると

クナは、もう1回チョップをされていた


「シンはやれそうなん?

なんか変な感じだったよ」


アヤノがシンに聞くと


「やるだけやってみるわよ」


シンがぴょんぴょんと飛びながら言うのと

同時にブザーが鳴って

両チームの選手がコートへと入って行った








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