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73話 複雑な思いはシンプルに

「シン!1発目にアレがやりたい!」


シン以外がアヤノを驚いて見ていた


「イヤよ」

「ねぇ!お願い!シン!

1回!1回だけで良いの!1回だけなの!」

「ここで使うアンタの1回だけは

信じらんないのよ」

「そんな事言わないでよ‥‥ね?シン!」


半眼で嫌がるシンにアヤノが付き纏う


「今日で3試合するんですのよ」

「それにあんまり見せすぎるのもよくないわよ」


リンとサリが諭すように言うが

アヤノはシンを捕まえて抱きながら

お〜ね〜が〜い!と言っている


もうすぐ1回戦が始まるというタイミングで

相手チームを見ながら作戦を決めている時に

アヤノが駄々を捏ね始めたのだ


「3回戦は順当にいったら

クナが因縁あるとこだもん!

そしたら、今日はやってくんないじゃん!」

「絶対に3回戦は勝ちたいです!」


アヤノがクナを見ながら言うと

何かを思い出してウゥ〜としながら

クナが言う


「入場の時に煽ったんだから

相手チームは気合い入ってるし

警戒されまくってんのよ」


シンは呆れたようにアヤノを見ると

少しションボリとしたアヤノがいた


「あぁ〜もぉ!わかったわよ!

言っとくけど、やった後は

しばらくの間はクナに打たして

私は上げるだけになるから

あと!クナ!ちゃんと見とくのよ!」

「ヤッタァ!シン!大好き!」

「ハイ!私も!シン!大好き!」

「ウッサイ!」


シンが了承すると

アヤノとクナがシンに抱きつきながら

シンに頭をグリグリする


「成功率‥‥どのくらいだっけ?」

「まぁ‥‥神のみぞ知るって所ですわね」



〔さぁ!さぁ!さぁ!

開法学院VS才徳中学の始まりです!

両選手が挨拶をしてコートに入っていきます!

最初は開法学院のサーブです!

才徳中学がヤル気満々で見つめている先には!

おっと?蠍ちゃんがもう揺れています

珍しくヤル気満々ですね〕


開法学院からのサーブで

ボールが才徳中学のコートに行き

トスが上げられる


〔さぁ!打ち込んだ!が!

そこは蠍ちゃんのテリトリーだ!

蠍ちゃんが後ろに吹っ飛んで

ボールが高く?高く上がってます

蠍ちゃんは着地して‥‥勢い余って

いつもの位置より後ろの方で体制を低くした!

おや?早すぎないか?もうダッシュだ!〕


ボールが落ち始めた

そのタイミングで

蠍の二つ名を持つ小さい人族が

去年の全国大会で見た距離の倍はある距離を

コートに向かって走り始める


〔ちょっと早すぎない?

ボールはまだ‥‥は?〕


ボールの落下地点では

体を捻り大きく振りかぶって

まるで何かを殴るような格好をしている

双璧の片割れである赤壁がいた


〔なんだ?あれ?

何すんの‥‥蠍ちゃんは飛んだぞ!

ボールが今!殴られた!〕


赤壁がボール目掛けて

思いっきり右拳を振り抜くと

ボールが飛んだ蠍に勢いよく向かう


ボールの軌道上に

思いっきり振るった左手を

歯を食いしばった蠍が合わせる


〔打っ!入った!のかな?

ギリギリでちょっとわからないが‥‥いや

入っています!先制点は開法学院です!

てか!ボールが速すぎて

才徳中学の選手が誰1人動けませんでした!

いや!やりすぎだからね!蠍ちゃん!〕


観客席から大きな歓声があがる中

コートでは起き上がった蠍に

赤壁が喜んで抱きついて

またコートの定位置に散っていく


〔さぁ!王者である開法学院が

今年もやるぜ!っとオープニングを決めた!

どうする?才徳中学!〕



「まったくあの子は

どうせまた駄々を捏ねて

シンちゃんに頼んだんでしょうけど」

「成長を喜ぶのは良いけど

アレを結界の外でやらせないでよ」


観客席でアヤノの母親が

少しニヤつきながら言うと

横にいたサリの母親がウチワで

アヤノの母親を扇ぎながら言う


「真似したのか

勝手に覚えたのかは知らないけど

血は争えないわね」

「結界のギリギリがわかってるみたいな

やり方だったの」


リンの母親が双子の母親と

仲良くポテトチップスを食べながら

ウンウンと頷く


「何回か結界を破綻させてみて

限界を把握したんじゃないかしら?」

「嫌な勉強方法」


ウイの母親が双子の母親が用意した

2個目のポテトチップスを開けて

呟いたルカの母親と食べ始める

なんで!新味を開けんの!と

双子の母親は怒っている


観客席の前の方では

相変わらずの集団が

段々と多くなっているカメラを操作していた


「アンタは行かないの?」

「最初からやるとは思わなかったもんで」


アヤノの母親がサリの母親に言うと

サリの母親は野菜味のスティック菓子を

食べながら悔しそうにする

双子の母親は欲しいの!と言いながら

口を開けていた


「シンちゃんにダメージがありそうね」


ウイの母親がコートの方を見ながら言う


「そりぁね

愛しの旦那に打ち込む拳〔コブシ〕みたいな

ボールを弾き返せばね」

「私の拳〔コブシ〕は愛の塊なの!

だから!一生受け止めて!

昔に聞いた告白なの」


リンの母親がヤレヤレみたいな感じで言うと

双子の母親はスティック菓子を

タバコみたいに咥えてキメ顔で言う


「駄々を捏ねて捏ねて

やっとできた嫌な告白」


ルカの母親はジト目で

真っ赤になって下を向いている

アヤノの母親に言う


「娘が拗らす前に

ちゃんと教えるのよ」

「シンちゃんもモテるんだから」

「ウチは大丈夫なの」

「私の所は大丈夫かしら」

「問題無し」


リンの母親、サリの母親、双子の母親

ウイの母親、ルカの母親が

テキトーに言っていると

プルプルと震えて

真っ赤になったアヤノの母親は

ポテトチップスを無言でバリバリと食べ始めた


「あの時は本当に大変だったんだから

私達に感謝しなさいよ」

「旦那とは両思いだったもん!

それにあの時!絶対!絶対に!

アンタ達は知ってたでしょうが!」


リンの母親がおちょくるように言うと

真っ赤になったアヤノの母親が

耐えきれずに叫ぶ


コートで行われている試合は

開法学院が1セット目を取っていた





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