105話 道の途中で再び
店内で騒いでいた孫達が
風呂に入って寝る為に家の方に行った後に
後片付けをしながら
宴会が開かれていた
「あの状態は大丈夫なんか?
シンちゃんは平気そうにしとったがよ」
ウイの祖父が
キセルを灰皿に置いて
ジュースを飲んでるソナの祖父に聞く
「まぁなぁ‥‥
俺も専門じゃねぇから
おそらくでしかモノは言えんけど」
ソナの祖父は少し難しい顔をして
周りの昔馴染み達を見回す
「TSが起きる前
シンちゃんやったら男に変わるっていうんは
身体にかなりの負担がかかる事や
そやから、そっちが起こる前に
起きる変化を全部やってるようにも見えるな」
「ていう事は
まだ過程っていう事か」
アヤノの祖父がキセルを咥えて
煙を吐きながら考え込む様に言う
ソナの祖父は、おそらくなと答える
「ゼロだったモノが育っているから
急成長してる様にも見えるんだけど
それを引いてもスゴイ事だね」
「結界を破っちまうくらいだからな!
アツかったぜ!ああでなくちゃあなぁ!」
リンの祖父とルカの祖父が
酒を呑んで笑い合う
「2回目の結界を破綻させた時には
限界を探ろうとしていたしのぅ」
「やはり、お主にもそう見えたか
その後は結界を破綻させずにやっていたし
そういった意味では
力をコントロールしていたと見るべきか」
双子の祖父とサリの祖父は
少し感心したように話す
「しかしよ
2試合出場停止はやりすぎじゃねぇのか」
「馬鹿言うんじゃないよ
明らかに2回目はワザと破綻させてからね
あれでも温情をかけてもらったほうさ」
「史上初だったから
試合中は決断できなかったという事で
没収試合にならなかったけど
色々と話し合った結果なんですからね」
クナの祖父が苦笑しながら聞くと
ポーの祖母とサリの祖母が
溜息を吐きながら答える
「それでもアツかったけどね
久しぶりに本気で叫んじまったよ!
特に自分の為だけじゃないってのが
私的にも気持ちが良かったねぇ」
「旦那も叫んで笑ってたの!
やっちまったのぅ!って」
「それを言うなら
やりやがった!やりやがったぞ!って
コッチの旦那も大ハシャギだったわよ」
ルカの祖母が思い出しながら言うと
双子の祖母とウイの祖母は
お互いの夫を見てハシャいでいた
「こうなってしまうと
3年連続のMVPは無しになってしまうわね」
「そうやなぁ
あのやり取りを楽しみにしとったんやけどな」
アヤノの祖母とクナの祖母は
残念そうにポーの祖母を見る
ポー祖母は酔い潰れて
壁に寄りかかって寝ているソナの祖母を
少し見てから笑う
「なんや?なんかあるんか?」
「えらいド派手な事でも企んどるんか?」
トウカの祖父母はポーの祖母に聞く
「やめとけって!
こういうアツいのは
期待しておくのが1番楽しいんだろうがよ!」
「色々と楽しみになってきたのぅ」
「あんまり派手な事は好まないと思うけど
コレばっかりは、しょうがないね」
「いつも派手にしてるのは本人だから
しょうがないといえばしょうがないの」
「なんつーか
世の中上手い事できとるもんよ」
盛り上がっていく親達を
リンの母親とアヤノの母親は呆れて見ていたが
「オマエ‥‥いや
俺達も離れて見たら、あんなもんだ」
アヤノの父親が言った言葉に
少し考えた後、2人は笑い出した
宗鳳学院に向かう為に
開法学院でバスに乗り込む前に
シンはバレー部員達に謝られた
「やっちゃったものは
しょうがないじゃないって思うし
私もやっちゃったから
準々決勝、準決勝とよろしくお願いします」
シンが頭を下げると
やらかしたバレー部員達は
頭を下げて、よろしくお願いしますと
声を張り上げた
バス移動の前にモク監督から
今回の騒動に関しての最後の説教を喰らって
少し暗い雰囲気で大人しくしていたが
「いっしやぁきぃいもぉぉぉおん
いもいもおいもだよぉぉおぉん
さおぉぉぉぉだぁけぇぇぇん
だけぇぇぇえんさぉぉぉぉ」
10分くらいした時にシンが立ち上がって
バスのマイクを取ると
左右に体を揺らしてリズムをとりながら
歌うというか叫び始めた
バスの運転手を含めた全員が
ある事に驚いていた
「ええ‥‥シン先輩って」
「リズムとか‥‥まさか」
「カラオケの時に
絶対に歌わなかったのって」
アヤノ、サリ、クナは
なんとも言えない顔で耐えていた
だいぶ前に何度もせがんだら
シンは歌ってくれたのだが
なんというか、曲の途中で
いきなり音程とかリズムが外れる
声は大きく良い感じに聞こえるのだが
段々と独特な歌い方になっていって
気付いたように戻そうとして
自分でもわからなくなって
あれ?こんな歌だったっけと
なってる内に歌い終わるらしい
「次!主将!」
そう言ってシンは
アヤノにマイクを渡して歌うように促す
そこからは手拍子でのカラオケ大会が
バスで開催された
シンは手拍子もそこそこに
お菓子を食べていたら
バレー部員達にたかられていた
シンが楽しそうにしていたから
誰も何も言わなかった
モクも普段と違う事をして
周りに気を使うシンに免じて
監督として言いたい事はあったが
これ以上、何か言うのは違う気がして
少し苦笑した後は好きにやらせていた
宗鳳学院に着いて
バスから降りるとシンは
来ていた人達と話しているのを
バレー部員達が横目で見て通り過ぎて行く
来ていた人達と
頭を下げあいながら謝まったりしていたシンは
モクと喋った後、しばらくしてから
開法学院が泊まる宿舎に入ってきた
「あの人達ってさ」
「確か前の小学校の」
アヤノとサリがシンに話しかける
「そっ!咲川小の元バレー部員達と監督かな
色々と謝られたけど‥‥ねぇ
私の中では今更って感じだし
それに私が全て正しかったわけでもないから」
笑顔で話すシンを
アヤノ、サリ、クナが抱きしめて
大丈夫だった?と聞く
「私の中で色々と結論が出てる話だし
それにコレは‥‥もういいのよ‥‥ありがと
でもまぁ‥‥少し思う事もあるから
ちょっと1人になって散歩してくる」
シンは荷物を部屋に置いて
そのまま出て行き
1時間くらいしたら汗だくで戻ってきた
「歩いてたら
なんか宗鳳学院高等部の改造制服を持った
黄天と紫尾達に追いかけ回されたのよ
振り切んのマジで大変だった」
息を切らして、汗を拭いているシンを見て
開法学院のバレー部員達は安心して笑い合った




