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103/107

103話 このフラグをどんな気持ちで折ったのか

生きた心地がしない


昨日まで‥‥

いや、今日の‥‥日付けが変わって‥‥

結構経ってたと思うけど

なんか嬉しくて、楽しくて

それなのにもうすぐしたら

3連覇で、もっと嬉しくて、楽しい?


なんで?あんなにハシャげたんだろう


起きた時に夢だと思ってしまった

その後に起こった事も

そして、今も夢ではなかろうかと

そう思った所で現実は変わらない

まったく変わらない


進学科3年の教室で

開法学院バレー部のレギュラー達は

携帯を祈るように持ちながら

これから来る人を待っていた



散々に絞られた

スポーツ科の先輩達OBに

呆れられた上に淡々と語られた


その中で

反論の言葉も勢いも失った言葉


シン・フジムラばかりに謝罪するが

今は誰が試合に出てるんだ


何も見えていなかった


先輩達が学校を卒業するまでに

見返りも無く、未来の後輩達へと

私達にしてくれた事があるからこそ

後輩達に厳しく、時に優しく接する


そこに理不尽な要求も無かった

キツイくらいの不誠実な事も無かった

とことんまで不利益な事も無かった

そんな優しい先輩だった


こんなテキトーなヤツだけど

せめて、後輩達の手本となるような

まだ見た事ない未来の後輩達がキチッと

育つような環境を少しでも良くしようと

してくれていたのかもしれない


その流れを

断ち切ってしまっていたかもしれなかった

私達はまだ良いかもしれないが

後輩達は、次の後輩に

なんて言えば良いのだろうか


シンは先輩達OBに

厳しくなんてしなくて別に良いですよ

わかるヤツらはわかるでしょうからと

軽い感じで笑いながら言っていたそうだ


鬼族の子、エルフ族の子、狼族の子


アヤノ、サリ、クナは

そう呼ばれる事を嫌がって

その前もシンの事だけを考えて発言して

その場からも離れてしまい

後輩達もそれに続いてしまっていた



「オマエらは何をしに来て

何をしようとしていたんだ!

私にはわからん!教えてくれ!」


モク監督に言われた言葉


3回戦が終わった後に

ここに来てくれて

色々と話した後に言われた

ただ謝る事しかできなかった


「シンが各方面に謝った後で

ここへ来ると言っていた」

「シン先輩が謝る事なんてありません」


モク監督が難しい顔をしていたのに

一転して笑いを我慢して言う

そして、話した内容に反論したバレー部員を

不思議そうに見ていた


「3回戦の結果というか

試合自体を見ていないのか?」

「監督達が来るまで

結果を見ずにいようと決めました」


モクは盛大に溜息を吐いて

進学科の教室を出る為に歩き出す


「その行為が、どうなのかは知らないが

とりあえず見てみろ

3セット目の終盤は見ものだぞ」


モクはそれだけ言うと

思い出し笑いをしながら出て行った


「え!あ!えぇ!」


誰かが携帯を見て驚きの声をあげたので

全員が携帯を取り出して

試合の結果や動画を見始める



開法学院のコートで

シンが高く上がったボールを

走り込んで、右で打ち出すと

相手側の選手が上げれないにしても

曲がって落ちるボールに触っていた


それを見ていたシンは

わからないように少しだけ悔しそうにしていた

アヤノ、サリ、クナは

それがわかると悔しくなった


アレを私達が上げていたら

サポート出来ていたら

もっと色んなやり方で出来ていた筈なのにと


〔さぁ!さぁ!

3セット目も競り合ってはいますが

開法学院が、大きくリードしています!

散々に競り合って1セット目と2セット目を

開法学院が取り、リーチをかけていますが

この試合、蛇蠍ちゃんの真っ直ぐに対応されて

カウンターで点を取られ苦しい展開!

曲がって落ちるボールにも

対応され始めています!〕

〔やはり上げ方が違うと変化が乏しいが

それでも点を取り続けています

開法学院のコートで高くボールが上がります

蛇蠍選手が走り込んで?え?え?〕

〔え?いや?え?

蛇蠍ちゃんが打ち込んで?え?

結界が‥‥結界が破綻しました!

蛇蠍ちゃんが不思議そうに

周りの選手を見ていますが‥‥

おそらくこれは‥‥今、試合が中断されて

審判団が集まります!〕


動画内で観客席からの

ドヨメキが大きくなっていく中で

シンは自分の手を見ていた


〔さぁ!戸惑いを隠せませんが

先程のシーンをもう一度見てみましょう!

ん〜‥‥そうですねぇ‥‥

誰も力を解放しているように見えませんね

という事は‥‥まさかとは思いますが

あ!審判が蛇蠍ちゃんを指差して!

注意を与えています!

開法学院にペナルティが与えられます!

そして、相手側の尚徳中学に

5点が入りました!〕

〔いや‥‥蛇蠍ちゃんは人族よね!

ウッソ!これって史上初になるんじゃない?

‥‥失礼しました

審判団に蛇蠍選手が大声で何か言ってます

歓声とドヨメキが大きく

お互いに聞き取れてないようですね〕

〔結界を交換するのに

5分少々お待ちください〕



「は?えぇ‥‥なんで?シン先輩?」

「なんで?待ってよ

パート2とかあるんだけど」


動画を見ていたバレー部員達は

嘘よねとか言いながら

クラッシャー蛇蠍ちゃんパート2を再生する



〔結界の点検が終わりました!

尚徳中学のサーブで試合再開です!〕

〔先程説明いたしました通りに

開法学院にペナルティが与えられますので

尚徳中学に5点加算されます

まだ開法学院がリードしていますが

差は縮まりました〕

〔開法学院の選手が打ち込むが!が!

やはり蛇蠍ちゃん以外では

尚徳中学のコートにボールが叩き込めない!

そして尚徳中学からの打ち込み!

しかしそこは!

蛇蠍ちゃんの広いテリトリー内です!

そこから後ろに吹っ飛んで

蛇蠍ちゃんが構えて見る先には

高くボールが上がっています!〕


動画では細かい所は良く見えないが

シンはボールを見て

何かを迷っているような

何かを考えているような

そんな表情をした後に思い切り駆け出した


〔駆け出したぞ!

飛んで!ウッ!うん?あーもー!

蛇蠍ちゃんが結界をまたも食い破ったぁ!〕

〔あー‥‥まだ決定してはいませんが‥‥

もし、2回連続で結界を破綻させていたなら

‥‥どうやら蛇蠍選手が破綻させたようです

えっと、2回連続で正副の結界4個を

破綻させたのは史上初かと思われます〕

〔大歓声の中で審判団が苦笑いしながら

蛇蠍ちゃんに注意しております!

拗ねて反論しようとしている蛇蠍ちゃんを

開法学院の監督が謝りながら

ベンチへと連れていっています!〕

〔大歓声というより笑い声の方が

大きいような気がします

結界を破って、この反応は初めてです

なんというか‥‥

打つ瞬間に違和感を感じているのか

ボールは変な所に飛んでいってるので

威力の程は分かりませんが

危険な様子はなさそうです〕



歓声と笑い声の中で

結界の交換をする人達に頭を下げて謝った後 

同点になったスコアボートを

睨みつけているシンが

携帯に映し出されていた


「あの‥‥シン先輩って?」

「本当に人族なんですか?」


携帯に映し出されている動画を見ている

アヤノ、サリ、クナに

バレー部員達が質問するも

3人は何も答えなかった


すると進学科の教室のドアが開いて

シンと共に試合に出ていたバレー部員が

教室に入ってきた


教室にいたバレー部員達は

一斉に頭を下げて謝罪する

教室に入ってきたバレー部員達は

疲れ切った顔をしながらも

笑いながらブイサインをして

勝ってやったぜい!と大声で言って

謝っていたバレー部員達に抱きついていく


「ごめんなさい!主将として私は」

「ストップです!主将!」

「シン先輩から言われてます!」

「主将達が反省してそうに見えたなら」

「勝った事を一緒に喜んだらいいんじゃないと

言われてます!」

「今日は勝ちました!主将!」


アヤノが謝罪の言葉を続けようとすると

試合に出ていたバレー部員達は

口々に言った後に全員に抱きついて

謝罪や感謝の言葉を浴びながら

友情を確かめ合っていた


「そういえば、シン先輩は?」

「結界を何度も駄目にしたから

なんか色んな人に挨拶しに行くって」

「明日のバス移動の時に会えるから

今日は解散しといてって」

「あっ!先輩達にはシン先輩から伝言で

鬼肉おにくで待ってるって言ってたと

伝えて欲しいって言われました」


アヤノ、サリ、クナは

シンからの伝言が、シンからでない事を

理解してしまった


「あと‥‥雷姫先輩からなんですが‥‥

初めて可愛い可愛い後輩を

遠慮なく叩き擦り潰す事ができますわって

スッゴイ笑顔で肩を掴まれて‥‥

メッチャ‥‥メッチャ怖かったです!」


ガタガタと震える後輩が

体全体を使って伝えてくる伝言に

アヤノ、サリ、クナは無言で

カバンを背負い、教室から出て行こうとして

3人はドアの前で立ち止まって振り返ると

3人に向かって無言で手を振ったり

敬礼をしているバレー部員達がいた


「誰か一緒に来てくれへん?」


祖母のような口調でクナが

か細い声を搾り出して

さっき友情を確かめ合ったバレー部員達に聞く


「明日の朝!バス移動で!遅れないでよ!」


友情を確かめ合った後だったので

見事にハモっていた


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