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102/108

102話 どうせ立つなら楽しもうフラグ

大遅刻してきた

アヤノ、サリ、クナとバレー部員達は

試合が行われている体育館に

入れてもらえなかった


正確には入り口近くの広場にある木陰で

全員が立たされていた


「シンちゃんにお願いされたの」

「すまんのぅ

ワシもこんな事はしたくないんじゃが

シンちゃんにお願いされたらのぅ」


双子の祖父母が

バレー部員達に和かな笑顔を見せ

そこから動けばわかってるよなという雰囲気を

出しながら立っていた


「じいちゃん!お願い!通して!

シンが言ってるかもしれない!

怒っているかもしれない!

けど!試合に」

「勝っとるし、そんな心配はいらねぇな

聞こえとるだろうがよ

その耳に入っとるモノからなぁ」

「だけど!それでも!私達が行きたいの!」


アヤノの祖父は

アヤノの言った事にジッと目を瞑り

息を少し吐くと目を開けて

アヤノを真っ直ぐに見る


「お客さんであれ、店員さんであれ

取引先であれ、格下であれ、なんであれだ

相手に敬意を払って接するから

敬意を持った行動で返してもらえる

もし‥‥もしだな

敬意を払って行動したのに

ナメられた態度で接してきたら

オマエはどうするんだ?アヤノ?」

「色々な意味で折檻と教育が待っているから

アナタ達は許してもらえるなんて

そんな事は絶対に思わない方がいいわね」


アヤノに向かって、歩いてきたアヤノの祖母が

全員を睨みつけながら言う

アヤノは涙目になりながら

本気で怒ってるんだと呟いて下を向く


「あの‥‥シンは本気で怒ってます」

「シンは許してくれないんですか」


サリ、クナが聞いた後に

バレー部員達が同じ様な事を言って

双子の祖父母やアヤノの祖父母に聞いていた


「さぁてな‥‥シンちゃんが

言ってた通りには、なっておるがのぅ」

「それにしても、シンちゃんの

あの様子を見てると不安なの」

「ありゃあよ

絶対に忘れて楽しんどるだろうなぁ」

「邪魔されたくないってのが

本音だったかもしれないわねぇ」


双子の祖父が

呆れたといった感じの顔をした後に

4人は顔を見合わすと

後で見るのが楽しみでしょうがない

なんでジャンケンで負けたんだと笑い出す


「さて‥‥

もう諦めて帰ってくれんかのぅ」

「シンちゃん‥‥

今やってる子達からの伝言なの」

「何度も言っとるが

帰って連絡を待つんだな

放送もしとるから、それを見とったらいい」

「そろそろ私達も

丁寧に対応するのが疲れてきたのよ」


アヤノの祖母が

は〜っと溜息を吐きながら言うと

バレー部員達は、それ以上食い下がらずに

荷物をまとめて校門の方へと歩き出した

アヤノは祖母に願うように聞く


「ここで待ってたら‥‥2回戦を勝ったら

昼ご飯に出てくるよね!その時に‥‥」

「シンちゃんから

言う事を聞けずにそんな事したら

鬼族の子、エルフ族の子、狼族の子って

これからずっとそう呼ぶようにするって」

「ヤダ!」「無理!」「イヤ!」


アヤノの祖母から告げられたシンの伝言に

アヤノ、サリ、クナは

全力で拒絶の意思を告げてから

荷物を持って、他のバレー部員と共に

何度も振り返りながら校門の方へ歩いて行った


「ハァ〜‥‥

我が孫ながらってヤツかしらね」

「シンちゃんは

それどころじゃないって

感じになっとるがのぅ」

「まぁ、集中しすぎで

どうでもいいようにも見えるがなぁ」

「遅刻されて最悪とかでなく

今あるものでなんとかしようとして

楽しくなってどうでも良くなってるの」


双子の祖父は少し厳しい顔をして

アヤノの祖父母を見る


「シンちゃんが言ってた通りに

あやつらはシンちゃんの事しか

言っておらんかったから

追い返したが」

「それについては言葉もねぇよ

主将にしてもらって甘えた所が

マシになったと思っていたんだが‥‥

なっとらんよ、まったく」

「せっかく主将を務める事になったのに

改めて、鍛え直すしかないわね

本当に困ったものだわ」


アヤノの祖父母は謝りながら

コチラを振り返りながら去っていくアヤノを

厳しい目で見ていたが

4人とも体育館の方を振り返って歩き出す


「さてさて

どうなっているのやらなの」

「負けても文句は言えない立場ですけど

それでもやっぱり期待はするわね」


双子の祖母とアヤノの祖母は

ウキウキと2階観客席へと続く扉を開けると

熱気と歓声にウッとなる



〔さあ!またまた長ぁいラリーを制したのは

開法学院だ!

1回戦から苦戦しているように見えて

実は1回も開法学院のコートに

ボールは落ちていません!

それと言うのも!

蛇蠍ちゃんが相手の攻撃を封殺している!

開法学院の他の選手たちが

攻撃に集中できるようになのか

蛇蠍ちゃんがいつも通りに吹っ飛ばずに

妙な言い方ですが!普通にバレーをしている〕

〔蛇蠍選手は1度もアタックは行っておらず

味方選手に攻撃の全てを

委ねるように立ち回っています

開法学院が点を取られている分は全て

味方選手が相手コートを

外してしまった分となっています〕


イヤホンから流れる実況を聞きながら

声を上げて応援しているのは

ホームである開法学院生徒達だった


1回戦は開法学院の連携が

合っていない分もあり

セットを取られていたが

2回戦は3セット目を取れば

開法学院の勝利となっている段階まできていた


相手も慣れてきているのか

攻撃は蛇蠍に封殺されるが

粘れば開法学院が自滅してくれる分を

積みかせねてデュースまで持ち込んでいた


〔さぁて!後1点がお互い遠い!

王者の開法学院が貫禄を見せッと!

蛇蠍ちゃんが後ろに吹っ飛んで!構えたぞ!

高く上がるボールを見て走り出す!

打った!相変わらず高い!

正確に相手の急所に毒針毒牙を打ち込んだ!

試合終了!開法学院の勝利です!

今までで行われた試合の中で

1番長い試合なんではないでしょうか?

やっと2回戦の全試合が終了しました!〕

〔お昼休憩を挟みまして

予定を30分繰り下げて3回戦を行います〕



シンはお昼を体育館外の広場にある

屋根付きのテラスで食べる時に

集まった全員を見て、溜息を吐いた


「いや‥‥そんなに怒らなくても」

「甘いの!」

「激甘ですわ!」

「甘いなぁ‥‥シンは!」


怒っているヒル、リン、カヤに

これ以上何かを言うと

飛び火して炎上しそうなので

目の前に用意してもらったカツカレーを食べる


シンが食べているカツカレーの皿の横では

カツを一気に2枚食べて

体が大きいカツの形に膨らんだマンジュは

幸せそうにウットリしながら

尻尾をゆっくりと振って

うんしょうんしょと消化しようと頑張っていた


「次は、違うわね!

アッツい3連覇はイケそうなの?シン!」


勝てそうと言う言葉を言わずに

グラサンをかけているルカがシンに聞いた

シンは、ん〜ッと考え始めたが

すぐにやめてカツカレーを食べ始める


「やっぱりキツそうなの」

「長いラリーとかになってるしね」

「やっぱさぁ‥‥呼び戻す?」


エル、ウイ、カヤが心配そうに見ると

シンはカレーを食べながら

笑顔で顔を横に振る


「そうですわよね

そうなると厳しい対戦となりそうですわね」

「かなりキツそうなの」


リン、ヒルが心配していると

ポーがヤッホーと言いながら合流する


「ちゃんとやってきたよ

リンも来れば良かったのに

結構有名な先輩達も来てたよ」

「試合の方が気になりましたのよ

キッチリとやってくださいました?」

「かなりやられてたよぉ

今もまだやってるし」


リンとポーの話がわからないので

シンが不思議そうに見ていると

ポーが、あははっと笑いながら楽しげに言う


「体育会系の伝統にして名物かな

今回は注目されていただけに

悪目立ちしちゃったしね

私達がやると身内贔屓で

優しくしてるかもって思われちゃうから

追い返しただけで

今は先輩達のお怒り説教タイムが継続中!

トウカとソナがいるから

ソコソコで済むと思うんだけどね」


ポーの話を聞くとシンは

ウゲッと苦い顔をしながら

カレーの残りを食べ始めた


「次の3回戦は実際の所

どうなんですの?シン」

「そうだ!追い返されたから

今日は出ないと思われて

ガチ目に説教されてるけど、呼び戻す?」


リン、ポーがシンに問いかけると

残りのカレーを綺麗に食べて

ご馳走様と手を合わせたシンは

ニヤッと笑いながら言う


「こんな事が起きたからさ

私は勝っても負けても良かったんだけど

真面目に頑張ってやってる後輩達が

3連覇したいって言うのよね」


シンは、カツの消化が終わって

次のカレーが染み込んだカツを

飲み込んでるマンジュの背中あたりを

カリカリしながら言う

マンジュは

今が1番良いところなの!邪魔すんなぁ!っと

尻尾を机にピタピタと打ちつけていた


「シン・フジムラとしてはね

どうだっていいんだけどさ‥‥

色々な場所で、色んな人達に

蛇蠍の名前を出して約束したからにはさ

今日の‥‥今回だけは絶対に

約束を破るって事だけはしたくないのよね」


そんな事を言いながらも

シンはニヤッと笑っていた顔を緩ませ

エヘヘと笑う


不意にカシャっと音が鳴ったので

シンはビックリして、そっちを見ると

アヤノの祖父が携帯をシンに向けて

写真を何枚か撮っていた


「ああ‥‥スマンなぁ

コレはこう撮るもんなんだな」

「ちゃんと音を消しませんと

ホラ‥‥気付かれてチャンスを逃したので

みんなが怒ってるわよ‥‥

あら?シンちゃんってばいい顔!」


アヤノの祖母は旦那が

持っている携帯の画面を覗き込みながら

たまらず笑い出す


周りからは、送って!とか

見せて欲しいの!とかを言われて

アヤノの祖父は

どうすればいい?と聞いて

携帯を操作していた


「いや‥‥私の許可とか

まぁいいか‥‥いや、いいのかな」


シンは呆れながら

体がカツの形になって、体育館の方を向き

尻尾をフリフリしているマンジュの写真を

何枚か撮っていた


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