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101/106

101話 思わぬ角度で立つフラグ

今年は開法学院で開会式が行われ

各種目の全国大会が開催される


バレー全国大会は

1回戦から3回戦が開法学院で行われる


全国大会が始まる数日前より部活動はなく

バレー部員達は休みを満喫していた


3連覇がかかった全国大会といえど

優勝候補筆頭ともなれば

どこか浮ついた雰囲気にもなり

元々原種というのは調子にも乗りやすいのか

数日間の休みで生活リズムが狂ったのか

端的に言うと大遅刻した


開会式のすぐ後に試合があるというのに

アヤノとサリとクナと

3年生部員大半と2年生部員の数名が

来なかった


地区大会を勝ち抜いたメンバーを中心に

前日から泊まり込みで

前夜祭と称してパーティの様な事を

行っていた部員達が来なかった


シンも呼ばれて行っていたが

昼過ぎに起きて

大ハシャギする部員達に呆れて

夕方には寮に帰っていた


後の言い訳に

誰もが誰かが起きると思っていた

主将がいるし安心したとの事だった


幸いにも

補欠登録をしていた部員は来ていたので

1回戦には出れる人数はいるのだが

遅刻してくるレギュラーメンバー達は

1回戦には間に合わないし

混んでる様だから2回戦も微妙だった


おかげで開会式では

スカスカの選手入場だった


〔さぁ!さぁ‥‥?さぁ?ん?あれ?

開法学院の入場が始まっていますが

全然選手がいませんよねぇ?

えぇ〜と‥‥まさか?まさか!

これだけいればイケるのか!

今年は3連覇がかかっているのに!

先頭で不機嫌そうに行進しているのは

蛇蠍ちゃん!が!怒っている!

これだけで充分だ!と言わんばかりに!

3連覇くらい簡単にしてやるぞ!

と言っているぞ!〕

〔そんなわけがないでしょ

えぇと、選手達が遅刻しているそうですので

この場を借りて発表いたしますと

選手宣誓は蛇蠍こと、シン・フジムラ選手が

開法学院バレー部主将の代わりに

務めるそうです〕

〔だから不機嫌そうなんだ!

ちゃんと覚えてきたのかな?

蠍の名付け親として、ママは心配です!〕


選手入場が終わり

開会式が滞りなく進んでいく


観客席から見たシンは半眼で

完全に怒っています状態に見えていたし

頭の上に乗っている白い蛇も

不機嫌そうにユラユラとしていた


「強引にでもシンを主将にするべきでしたわ」

「ガチで折檻なの」

「マジでやっちゃったなぁ」


リン、ヒル、カヤが怒っているのを

周りは静かに頷いて同意していた


「ホントに言葉も無いわ」

「サリちゃんは‥‥ごめんなさい

フォロー出来ないわ」


アヤノの母親とサリの母親は

かけまくっていた携帯を握りしめて

ションボリとしており

少し離れた所では、クナの母親が

やっと繋がった電話で

小声で怒り狂っていた


「はよ来いって言ってんの!

着替えてる?知らんわ!走って来い!

本気出したら、警察に捕まる?

それこそ知らんわ!アホンダラが!」


そんな小さな声が聞こえてくる中で

ルカ、エル、ウイがカメラを向けて

立ててあるマイクに向かって

歩いていくシンを追っていた


〔開法学院

シン・フジムラ選手による選手宣誓!〕


アナウンスされると体育館が静かになる


〔宣誓!

私たち選手一同は、日頃の練習の成果を存分に発揮し、仲間‥‥には!

厳しくし!裏切った罰を与えてやるべし!

支えてくれるすべての人への感謝を胸に

正々堂々!アッツい!3連覇!

この大会で創り上げてやるわよ!

あ‥‥誓います!〔ピィーー!〕ちょ!駄目!〕


宣誓が終わり、失笑も混じる笑い声の中で

そうだ!アッツくなれ!と言う集団が

盛り上がっていた


「マンジュはなんて言ってたの?」

「かかってこいや!だってさ

なんやまぁ‥‥殺気立っとるわ」

「そうね!アッツいわ!」

「すぐ始まるさかいにな

ちょい落ち着こうや」


エル、ソナ、ルカ、トウカが

笑い合っている後ろの方で

リン、ヒル、カヤが

裏切り者には厳罰をと殺気立っていて

ウイはポーの携帯にメッセージを送っていた



1回戦が始まる前に

開法学院のチームは

モク監督からの謝罪と激励は終わった後に

選手だけで円陣を組んでいた


シンを入れても6名の円陣

1年生が3名、2年生が2名

補欠とはいえ

ちゃんと実力が伴っているから

登録された後輩達だったが

公式戦の経験は皆無だった


「シン先輩‥‥イケますよね?」

「私達じゃ‥‥その‥‥邪魔しないかと」

「こんな形で3連覇が」

「見たかったのに」

「シン先輩‥‥すいません」


シンは目を瞑って考えていたが

後輩達が恐縮して謝ってくるのを聞いて

目を開け、後輩達を見る


誰もが不安そうにシンを見ていた

シンはむ〜っと難しい顔をする


「真面目にやってるのに

謝らないといけないって大変よね

どうせ、アイツらが来たら

謝って、試合に出て

どうだ?って顔すんのよ

私達が同じ事したら

こぉんな顔して激怒するくせにね」


シンが難しい顔を歪めて変な顔をすると

少し笑いが起きる


「でも‥‥宣誓の時に3連覇って」


後輩が言った事に

シンは、あぁ〜それねっと言ってから

少し笑ながら言う


「相手にとったらさ

失礼極まりないわよ

言い訳満載な相手を打倒しようとしてんのよ

虚勢とかハッタリをカマしてあげないと

やる気になんないでしょ‥‥つまり

アンタ達がナメられてんのよ

蛇蝎以外は話にならないってね」


後輩達はシンの言葉を聞きながら

少しずつ下を向く


「2連覇中で常勝無敗のチーム

勝って当たり前の試合

そんなものより負けて当然の試合に挑む方が

楽しくて面白いくない?

勝っても負けても、何やってもいいわよ

蛇蠍ちゃんが全てを

アンタ達に合わせてあげる」


シンと後輩達は目が合う


「それにね

3年前に私が負けた赤壁と緑壁は

1年生の時に補欠にもなれなかったのよ

今のアンタ達はね

あの馬鹿達より強し、前の私より強いって事よ

胸を張りなさいよ

私を超えた事があるんだから」


後輩達がシンのトンデモ理論に

何か言おうとした時に試合開始のブザーが鳴る


「さぁ?勝つの?負けるの?

なんでもいいわよ」


シンは言いながら

コートに向かって歩き出す


その小さな背中に向かって

3連覇です!と

大きな声が投げかけられた

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