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世界大震災

 西京都水族館は、北ブロックにあり、政府の運営する施設である。


 三十年前の世界的広域大地震(日本では「世界大震災」と呼ばれている)のあと、東京都をはじめとした大都市は壊滅的な打撃を受け、世界の人口は四分の一にまで減少してしまった。


 地盤の弱かった東京都は広域的な液状化現象をおこし、また津波の被害も受けた。

 ただ、これだけの広域的かつ大規模な地震であったにもかかわらず、なぜか大きな地勢・地形の変化をきたすことはなかった。


 これは、日本以外の他のどの国でも同様であり、そのため地震の直後、この地震は人為的に起こされたものではないのかとの噂もささやかれたが、いつしか誰もそのような噂を口にしなくなっていた。

 また、この世界大震災では、世界各国で死者の約半数に相当する人数の行方不明者が出たが、その行方不明者については、未だに1人として見つかっていない。


 この世界大震災のあと、日本は驚くべき速さで復興を遂げた。

 しかし、首都であった東京都がほぼ壊滅し、政府機能が長期間にわたって麻痺した経験を踏まえて、復興後は、政府機能を分散すべく、第一首都である東京都のほかに、第二首都として西京都が設けられた。


 西京都は、京都府のうち京都市から南のエリアとされた。

 このエリアは、世界大震災で、最も被害の少なかった地域であった。

 そのため、この西京都に第二首都としての機能を持たせるとともに、ここを学園都市として、全国の学生が一堂に集められることとなった。国策として、将来を担う学生を安全な地域に集めて、かつ能力に応じた教育を施すことにしたのである。


 このように西京都は、元京都府の京都都市から南のエリアであるので、海に面していなかった。

 そこで、政府は、海洋生物の学習・研究のための施設を設置したが、その一部が、この西京都水族館であり、ここはリクレーション施設として住民に開放されている。



 ハヤタは、ミカと一緒に、各自のIDカードをカードリーダーにかざして水族館のゲートをくぐった。

 IDカードから、二人が学生であることが読み取られ、2人はそのまま入場が許された。学生は入場料が無料になっている。


「ここは、初めて?」

 ハヤタは、ゲートをくぐりながら話しかけた。


「西京都に来たばかりのころに一度だけ来たことがある。両親や弟と一緒に。」

 ハヤタから話しかけられて、それまでの緊張がほぐれたのか、ミカが少し嬉しそうに答えた。


「へえ、そうなんだ。オレは、初めて。今日はどこがいいかなって考えたんだけど、他に思い浮かばなくて。でも、良かった。しょっちゅう来てるって言われたら、どうしようかと思った。」

 ハヤタはそう言うと、左手でミカの右手を引きながら、水族館の中へと入っていった。


(初デートのしょっぱなでいきなり手をつなぐなんて。)

 ミカは、突然のことで驚いたが、ハヤタの動作があまりにも自然であったため、嫌な気はしなかった。

 ミカは、少し頬を赤らめたが、ハヤタの左手を軽く握りかえすと、ハヤタに従った。



 水族館は、地下1階、地上3階建ての建物で、魚類をはじめとして多くの水生生物が展示されていた。

 建物の中央あたりに大水槽があり、その中では回遊魚に混じって、大きなジンベエザメも泳いでいた。


 館内は、少し薄暗く、ヒンヤリとしていた。

 その館内を、順路にそって魚などを観ながら、ハヤタとミカは、この前の勝負の話しなどで盛り上がった。

 二人が一通り展示を観て回ったとき、場内アナウンスが流れ、十五時に始まるイルカショーの告知をした。


「あと、十五分で始まるみたい。せっかくだから観ていかない?」

 ハヤタが誘った。


「うん。いいよ。でも、その前に何か飲みたいな。のどが渇いちゃった。」


 ハヤタは、ミカのリクエストに応えて、売店で炭酸飲料を二本買い、それを持ってイルカショーの会場に向かった。


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