対戦準備
オレは、ミツキさんにお願いして、勝負に使用する競技場を翌週の土曜日に押さえてもらい、綾瀬ミカにメッセージを送った。
(勝負は、来週の土曜日、午後一時から。本部道場七階のA競技室にて。)
まるで決闘状のような内容になってしまったが、仕方がない。
しばらくして、ミカからの返信がオレの腕時計型の端末に届いたが、それは全く色気のないものであった。
ただし、その内容は、先日のように、オレのことをはなから相手にしていないようなものではなかった。
(承知しました。お互いにベストを尽くしましょう。)
ミツキさんの話しでは、オレが勝負を申し込んだあと、すぐにミカからミツキさんに連絡が入り、オレのことを根掘り葉掘り聞いてきたとのことだった。
「それで、師匠はどう答えたんですか?」
オレがミツキさんに聞くと、「ヒ・ミ・ツ」とミツキさんは、唇の前に右手人差し指を立てておどけながら答え、それ以上のことは何も教えてくれなかった。
しかし、ミカからの返信メッセージを見ると、ミツキさんがオレの力量について割とまともに答えたであろうことは想像がつく。
オレは、勝負を申し込んでから本番までの一週間の間にも、ミツキさんに頼んで、通算三回、実戦形式でのレクチャーをしてもらった。
最終的には、ミツキさんを相手に、勝率は五割とまではいかないまでも、四割程度まではいった。
それと併行して、オレは、綾瀬ミカの研究も行った。
ミツキさんから、対戦相手の研究は、自分自身で行うよう言われたのだ。
競技者のレベルが高くなると、自分の力量や癖によって相手に対する攻略法は異ってくるため、他人からのアドバイスはあまり役に立たないらしい。
オレは、ミツキさんから借りたミカの過去の試合の動画を片っ端から観た。
さすがに世界チャンピオンだけあって、ミカの攻撃のバリエーションは豊富だった。
体術はもちろんのこと、武器についても、剣、槍、棒の全てを対戦相手に合わせて完璧に使いこなしている。
そして、特筆すべきは、その防禦能力だった。
最小限の動きで、見事に相手の攻撃をかわしており、ダメージを受けるような攻撃を相手に許していない。
どの試合でも、ミカのHPは、ほとんど減っていなかった。
しかし、人間である限り、どこかに弱点があるはずだ。
オレは、勝負の前夜まで目を皿のようにして、動画を何度も何度も繰り返し観た。
初めて、評価をしてもらうことができました。
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