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選択
別に、女より爺さんの方が好きというわけではない。
ただ……。
あの女は、遠目で見ているくらいがいい。
悲しくなったり、憂鬱な気分にさせられてしまう。
こんな面倒くさいことになったのは、あいつらのせいだ。
俺も少しばかり関与しているが、だが、本当に少しだ。
だから俺は、爺さんの方に行く。
今あの女の所に行くより、その方がいいと判断した。
「……行くか」
俺はカードの前でそう呟くと、爺さんの館が映る風景へ指を滑らせた。
それを確認してから俺は歩いた。
そして暫く空いた先に、爺さんの館が少し遠目に見えてきた。
黒い鉄柵。
その奥に、館がある。
俺は門の前で足を止めた。
「入っていいか?」
「お待ちしておりました」
門の前には、ひとりの男が立っていた。
そいつも爺さんだ。
ここへ来ると、必ず門の前で待っている。
まあ、そんなことはどうでもいい。
門が開いたので、俺は中へ入った。
この館の主人の元への案内は別に必要はない。
頼めばしてくれるのだろうが、必要ない。




