間一髪!
4話
「どうすればあなたの首から勾玉を外せますか?」
「それは簡単だ。ただ素早くやらないと奴が来る。
合図の遠吠えも聞かれているに違いない。
首に乗って紐を咬えなさい。そして自分の首にかけたら私の前に飛び降りるのだ。」
ノスリは、甲斐犬の背中から首に乗った。
硬い体。ぼくなんかが乗ってもピクリともしない。
勾玉の紐をくちばしで持ち上げてぼくの首にかけた。
前に飛び降りる!成功だ!
しかし、紐は長すぎてノスリの首から岩に引きずっている。
瞬間!「早く飛べ!」
甲斐犬の前足が、ノスリをすくって空へ向かって放った。
ノスリはそのまま高く飛んだ。振り返ると戦う甲斐犬と黒い影。
「あー,間一髪だったんだ。ありがとうございます。
神犬様!負けないで!」
前に向き直ると、どこから方向を間違えたのか,木が,高い木が、ぼくの前に立ちはだかっていた。
急ブレーキ!するとユルユルの長ーい紐が首から抜けて黄金色の筋を描きながら落ちていった。
とっさに追いかけた!急降下!追い付けるかも!
(どうしてぼくはこうなんだ!キジの時も、
失敗ばかりして!)
泣くもんか!涙で黄金色を見逃しちゃダメ!
黄金色が円を描いた?落ちなくなった。
ぼくは、枝にぶつかりながら急降下して黄金色が円を描いた所まで行った。
勾玉は枝に引っかかって絡みついていた。
くちばしでは取れない。
ぼくは星を見て位置を確認してから紗奈のところに向かった。
早く戻らないとあいつが来るかも。神犬様が戦っている間に戻らなきゃ!
「紗奈!大変!勾玉が木に引っかかった。来て!」
「よしきた!」紗奈は木のベッドから飛び降りた。
紗奈は手や足を使って、木から木へと素早く飛び移ってノスリの後を遅れずにに追いかけて行った。
月明かりと木の葉の間で輝く黄金勾玉。
ノスリは,目を細めたり丸くしたりして、辺りを注意深く見守っている。
紗奈は、素早く木の枝を膝に挟んでしっかり座ると、石製サバイバルナイフを腰から出した。
長く垂れ下がった紐を絡んだ枝ぎりぎりのところで切ってぎゅっと結び,自分の首にかけた。
測ったようにぴったりだった。
5話に続く




