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紗奈とノスリの旅  作者: 槌谷紗奈絵


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3/5

ガンバレ!ノスリ!

3話

紗奈は木の上のベッドを作り終えると「ヒューーー!」

と指笛でノスリを呼んだ。


「暗くならないうちに腹ごしらえしておこう!」

「うんうん、腹が減っては戦はできぬって紗奈が言ってた。」

「ま,そんなところだ。」と紗奈。


火が赤々と燃える。月が辺りを照らす。山々の影が黒い濃淡で映し出される。星が昨日と同じ所に来た。

「遠吠えが始まるぞ!」

紗奈は、ノスリにささやいた。


待つ。夜の静けさに包まれる。


「ウオーーーーーーーン」 

ノスリは音もなく飛んでいった。


「ウオーーーーーーーン」


「ウオーーーーーーーン」


物悲しい叫びに聞こえる。誰を呼んでいるのだろう。

かつてのご主人様か?愛する友か?それとも??

紗奈は、ぼんやりそんなことを考えていた。


ノスリは、1刻の間だけ透明(とうめい)になるように頼んであった。「さっさと場所を見極(みきわ)めて報告に(もど)らなきゃ」

高く飛びながら甲斐犬を見つけて帰ろうとしたその時。


甲斐犬の目がサファイアのように(かがや)き、月を反射させてノスリを見た。

「うわっ見られてる!」

甲斐犬は目の光の中で「ここへ,私の所へ来なさい。」

と言った。

「どうしよう。帰るか、それとも。」

「えーーーい!行ってやろうじゃないか!」

ノスリは甲斐犬の立つ岩に降りた。


甲斐犬と向かい合って見上げると、首に黄金の勾玉。(紗奈が言ってた通りだ。)

サファイアの目は、遠くを見ている。(するど)いけど優しそう。筋肉が付いた強そうな体。

月明かりに光る毛並み。

どれを取ってもカッコいい!

ぼくも弱っちいけど神の鳥。やがては前にいるこの甲斐犬のようになるんだ。

そして足を()ん張って、羽を少し広げて、2つ首を下げて挨拶(あいさつ)をした。


サファイアの目がゆっくりノスリを見た。

すごい眼力!

「あの、ぼぼぼぼく、にに人間とあなたをさ探してるんです。あのその・・・」

見つめられると気絶(きぜつ)しそう。


ぼくは、力なく(すわ)り込んでしまった。

サファイアの目は、ぼくの心に話してこう言った。

「おぬしたちのことは知っている。

これから話す事を良く聞いて覚えなさい。

私は勾玉を守るものとして仕えていた。

ある日、黄金の勾玉の中にある呪文を(ねら)(やから)(あらわ)れたのだ。

とても素早(すばや)く,(きず)つける事を何とも思わない恐ろしい力のある(やつ)だ。

(かげ)はジャッカルのようにも黒ヒョウのようにも見えたが。

正体も黒幕も分からぬまま、勾玉を守るために戦ってここまで来た。

しかし、私がやられてしまえば、勾玉は(うば)われ,この地は大変な(わざわ)いとなる。


おぬしは飛ぶ物。私の首から黄金勾玉を外しておぬしの首にかけ、紗奈と言う人間に届けるのだ。

私は、引き続き黒幕を(あば)きに向かう。


できるか?

おぬしは幼いが神の鳥。勇気がある。機転も効く。少しも弱くないぞ!昼間の上昇(じょうしょう)下降(かこう)も上出来だった。」



4話に続く

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