ガンバレ!ノスリ!
3話
紗奈は木の上のベッドを作り終えると「ヒューーー!」
と指笛でノスリを呼んだ。
「暗くならないうちに腹ごしらえしておこう!」
「うんうん、腹が減っては戦はできぬって紗奈が言ってた。」
「ま,そんなところだ。」と紗奈。
火が赤々と燃える。月が辺りを照らす。山々の影が黒い濃淡で映し出される。星が昨日と同じ所に来た。
「遠吠えが始まるぞ!」
紗奈は、ノスリにささやいた。
待つ。夜の静けさに包まれる。
「ウオーーーーーーーン」
ノスリは音もなく飛んでいった。
「ウオーーーーーーーン」
「ウオーーーーーーーン」
物悲しい叫びに聞こえる。誰を呼んでいるのだろう。
かつてのご主人様か?愛する友か?それとも??
紗奈は、ぼんやりそんなことを考えていた。
ノスリは、1刻の間だけ透明になるように頼んであった。「さっさと場所を見極めて報告に戻らなきゃ」
高く飛びながら甲斐犬を見つけて帰ろうとしたその時。
甲斐犬の目がサファイアのように輝き、月を反射させてノスリを見た。
「うわっ見られてる!」
甲斐犬は目の光の中で「ここへ,私の所へ来なさい。」
と言った。
「どうしよう。帰るか、それとも。」
「えーーーい!行ってやろうじゃないか!」
ノスリは甲斐犬の立つ岩に降りた。
甲斐犬と向かい合って見上げると、首に黄金の勾玉。(紗奈が言ってた通りだ。)
サファイアの目は、遠くを見ている。鋭いけど優しそう。筋肉が付いた強そうな体。
月明かりに光る毛並み。
どれを取ってもカッコいい!
ぼくも弱っちいけど神の鳥。やがては前にいるこの甲斐犬のようになるんだ。
そして足を踏ん張って、羽を少し広げて、2つ首を下げて挨拶をした。
サファイアの目がゆっくりノスリを見た。
すごい眼力!
「あの、ぼぼぼぼく、にに人間とあなたをさ探してるんです。あのその・・・」
見つめられると気絶しそう。
ぼくは、力なく座り込んでしまった。
サファイアの目は、ぼくの心に話してこう言った。
「おぬしたちのことは知っている。
これから話す事を良く聞いて覚えなさい。
私は勾玉を守るものとして仕えていた。
ある日、黄金の勾玉の中にある呪文を狙う輩が現れたのだ。
とても素早く,傷つける事を何とも思わない恐ろしい力のある奴だ。
影はジャッカルのようにも黒ヒョウのようにも見えたが。
正体も黒幕も分からぬまま、勾玉を守るために戦ってここまで来た。
しかし、私がやられてしまえば、勾玉は奪われ,この地は大変な災いとなる。
おぬしは飛ぶ物。私の首から黄金勾玉を外しておぬしの首にかけ、紗奈と言う人間に届けるのだ。
私は、引き続き黒幕を暴きに向かう。
できるか?
おぬしは幼いが神の鳥。勇気がある。機転も効く。少しも弱くないぞ!昼間の上昇も下降も上出来だった。」
4話に続く




