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第5話 レイド

 「はぁ〜」

 「エイトさん、そんなに大きなため息ついてどうしたんですか?」


 どうして俺がため息をついていたかというと、相変わらずカネが無いからだ。先日あいつ(ゴルゴーン)らから硬貨を奪ったとはいえ、俺は物欲まみれ。気づけばカネがどんどん消えてしまう。


 ──グビッグビッ


 「エイトさん、何飲んでるんですか?」


 「あぁ、これはエナジーポーションだ。疲れたときに飲むとハイな気分になるような……気がする」


 「ええ〜、いいな〜……私にも一口下さい」


 持っていたエナジーポーションをニーナに渡すと、ニーナは味を確かめるように飲んでいた。


 ──グビッ、グビッ、グビッ


 「あっ、こいつ! 一口だけって言ったのに残り全部飲みやがった。それ、銅貨2枚もするのに」

 

 「そんなケチくさいこと言わないで下さい。あっ、そうだ! エイトさんに朗報がありますよ!」


 ニーナは朝っぱらからどうしてそんなに元気なんだ。俺はポーションでエネルギーチェージでもしなければやってられないというのに。


 「これから私たち一緒に冒険者活動するじゃないですか!? さしあたって私なりにパーティー名を考えてきました」


 だから妙にテンションが高かったのかと納得。

 俺は話の腰を折らないように、一応最後まで聞くことにした。


 「その名も【エイトヒーローズ】です。良くないですか?」


 「だせぇぇえええ!!!」


 「ダサくないです! それにエイトさんは私にとって英雄(ヒーロー)のようです。ほら早速ギルドへ行ってパーティーの登録申請をおこないましょう」


 俺は半ば強引に腕を引っ張られギルドへ到着した。


 パーティーを組めば、それなりにメリットがあるのも事実。報酬は仲間で山分けとなるが、代わりに人数の制限(しばり)がある依頼(クエスト)を受けられるようになる。その上、お互いに弱点(ウィークポイント)を補うことで依頼の成功率を格段に押し上げることができる。

 その都度、わざわざ他の冒険者を勧誘するよりも気心の知れた仲間と受ける方が何倍も効率が良い。


 

   ──ざわざわざわっ……


 「なんかあっちの方、騒がしくないですか?」

 「確かに妙だな……」


 俺達がパーティー名の登録に夢中になって気づかなかったが、確かに騒がしい。

 たぶん、俺たちも騒がしかったのだろうが……。


 「あの、何かあったんですか?」


 俺が目を離した隙に、ニーナはすでに他の冒険者達に聞き込みを始めていた。

 

 全く、世話が焼けるぜ。


 「俺は団長のネグラヌ。紹介しよう、こっちはウィルとリエリーだ。ちなみにお前らの中にヒーラーはいるのか?」


 「いえ、いてませんが──何かあったんですか?」


 聞くところによると、つい先程《レイド依頼(クエスト)》が出たらしい。


 《ドラル洞窟のゴブリンの殲滅》


 依頼内容; 洞窟にてゴブリンの巢らしきものを発見。直ちに殲滅せよ(合計6人以上での参加が必須)……クリア報酬金貨8枚(銀貨80枚)


 「エイトさん、これって私達も参加してもいいのでしょうか?」


 コイツはたぶん報酬に釣られてたのだろう。まるでお祭り騒ぎだ。この依頼が如何に危険か理解していない。

 俺の感覚では、この依頼は恐らく難易度は五つ星。実績だけで言えば俺達はまだ一つ星しか達成できていない。

 安心安全のヒーラーや需要の多い支援術者でもない限り、参加させてもらえるのかは(はなは)だ疑問だ。


 「エイトさん、聞いて下さい! 私、こちらのリエリー•キアーラさんとお友達になりましたよ」


 暴走はまだまだ止まらないようだ。

 ニーナの隣にいたの綺麗な白銀の髪に長く尖った耳をしたエルフ系女子がいた。

 風貌だけを見ればいかにも育ちが良さそうなお嬢さんって感じだ。

 しかも可愛くて胸もデカそう──ニーナ、それはグッジョブだ。


 「しかも聞いてください。歳も近いのに〈ヒーラー〉らしくて軽度のすり傷や切り傷は、直ぐに治せるみたいなんです、凄いですよね」


 ニーナは図々しいほどにコミュ力が高かった。なんとまあ、末恐ろしい子なんだ。


 それはそうと、ヒーラーは稀少だ。俺の知る限りヒーラーには共通点がある気がする。

 責任感と自己犠牲があって、誰かの役に立ちたいと本気で願う心の優しい子。俺はヒーラーでまず性悪な奴を見たことがない。つまり、リエリーは絶対良い子だ……知らんけど。


 「私、ネグラヌさんに依頼(クエスト)に参加できるか聞いてみますね」


 「ちょっ、おいっ!」


 まるで台風みたいなやつだ。

 ニーナは駆け足でネグラヌの方へ向かって行った。


 ──あっ、戻ってきた。


 「ちょっとエイトさん、聞いてくださいよ! ギルドカードを見せたとたん……「──っフ、実績は一つ星だけの雑魚か。足手まといは必要ない、俺達は他を当たろう」って言うんです。ひどすぎます」

 

 妥当すぎてぐうの音もでない。いやむしろ、ニーナの歯止めが効いて良かったのかもしれない。

 

 「──おい、まだ怒ってんのかよ」

 「当たり前です! あのネグラヌとかいう人、手のひら返しのマウント野郎ですよ!」


 口が悪いな。


 「俺が良さげな依頼をチョイスしてやるから機嫌直せって」


 馬鹿にされたのが悔しいのか、よほどあの依頼に参加したかったのかは分からない。とにかくニーナはかなりおこだった。


 実はある方法で、あの《レイド依頼(クエスト)》に参加できなくもないがあまりオススメはできない。ニーナに余計な期待を持たせて、また暴走されても困る。

 ──黙っておこう。


 その後だが俺はアズにいくらか依頼(クエスト)を紹介してもらった。そして無理を言ってなんとか難易度三つ星の依頼を紹介してもらうことができた。

 俺の狙い通り《ドラル洞窟》のすぐそばにある《ヴェールの森》での依頼だ。

 何はともあれ【エイトヒーローズ】の初陣だ。

 

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