勇者の定義
23話です
「ほう……大きく出たな」
シヴァは戦闘の構えを取る。俺の本能がこいつは危険だ、と知らせる。だが、このまま逃げ帰るわけにはいかない。
「行くぞ!フラム!」
「……うん!」
俺とフラムでシヴァに斬りかかる。いくら強くても二人まとめて相手にするのは難しいだろう。そう思っていた、その時の俺は。
金属音が鳴り響く。しかし剣はシヴァには当たっていない。何か、シヴァの周りには見えない障壁がある。
「な、なんだ⁉︎ これ‼︎」
シヴァは呆れたようにため息をつく。
「ふん、我のアブソリュート・ディフェンスを破れないとはな……。時間の無駄だったか」
シヴァは左手を伸ばすと衝撃波の様なもので俺たちを吹き飛ばす。重い、一撃だった。
「……強いな!」
「ど、どうしよう祐介。このままじゃ!」
このままだと間違いなくシヴァに触れることなく死ぬだろう。考えろ、もう俺一人の問題じゃないんだ。
…………そうだ、効くかわからないが試してみる価値はある一手を思いついた。
「フラム、少しだけでいい! 奴を引きつけてくれないか!」
「む、無理だよ! 二人でもやられちゃったのに僕一人じゃすぐにやられちゃうよ!」
今にも泣き出しそうにフラムは言う。
「頼む、お前しかいないんだ。」
フラムをじっと見る。フラムは出てきそうな涙を引っ込め
「わかった…。帰ったら何かしてもらうからね!」
「あぁ、任せろ」
フラムはシヴァへと駆け出す。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」
「ふん、わざわざ死にに来たか……。」
集中しろ……。この剣に必要なのは特殊な力だ。 そしてそのキーとなるのは、
俺はお茶を取り出す。
そして剣にお茶が宿っていくのをイメージする。
するとお茶がキラキラと光る物になり、剣に入ってゆく。
「出来た、これなら……!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」
フラムの悲鳴が響き渡る。フラムを見るとシヴァに首を絞められていた。
「たわいもない。 何か特別な力があった気がしたのだが、我の思い違いだったようだ。すぐに楽にしてやる。」
「フラム‼︎」
俺は剣を取りシヴァへと斬りかかる。
「さっきので何も学習していないのか、馬鹿な生き物だ。」
鳴り響いたのは金属音、では無くシヴァの驚きの声
「な、なに!?」
シヴァのアブソリュート・ディフェンスにヒビが入り、割れる。
「フラムを離しやがれ‼︎」
シヴァは手を離すとフラムから距離を取る。
「大丈夫か!? フラム!」
「……うん、大丈夫……でもちょっと休ませて」
「……あぁ、ゆっくり休んでろ」
フラムを離れた場所に寝かせシヴァと向かい合う。
「なぜ我のアブソリュート・ディフェンスを破れた?……そうか、お茶を染み込ませたのか」
「ご名答。 さっきお前にお茶を飲ませた時明らかに弱ってたからな。もしかしたら、アブソリュート・ディフェンスを破れると思ったが、ドンピシャだった」
ふぅ、危なかった。もしこれが通じなかったら、死ぬところだった。
「さっきの言葉を訂正しよう。お前らは馬鹿な生き物ではない。……実に面白い人間だ」
「同じようなことを誰かにも言われたよ」
俺は戦闘態勢をとる。シヴァも合わせて戦闘態勢をとった。
「せいぜい我を楽しませてみせろ」
「楽しむ余裕があるんだったらな」
俺は再びシヴァに斬りかかった。
24話であいましょう




