↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砲槌少女ルルリ  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/7

第6話 ハンマーの一撃

 盗賊団を従えたルルリは、再びグラトニー領を目指して進み始める。

 馬車に乗ったルルリは、先程までとは違って、すっかり年相応の姿を見せるようになっていた。


「お嬢様、先程のは一体……」


「なんでしょうか、エピナ。あれは、スキルの副作用みたいなものです。なにせ【撃神の砲槌】という、お父様が物騒と称したスキルなのですからね」


「はぁ、そうですね……」


 正面に座る侍女の質問に、ルルリはちょっと恥ずかしがりながら答えていた。こういうところは、元々のルルリの性格っぽい反応である。

 そういう姿を見せられたエピナは、ルルリの返答をひと先ず信じることにした。

 とはいえ、乱暴な言葉を使い、巨大なハンマーや筒を扱う姿は、直接見たのに信じられない光景である。


「ふわぁ……。ちょっと眠いですね。少し休ませていただきます」


 その直後、ルルリはあくびをしてふらふらとし始めた。

 ルルリの様子を見てこれはいけないと思ったエピナは、すぐさまルルリの隣に行き、頭を自分の膝の上に乗せるようにルルリを抱き寄せる。

 頭が膝に触れる頃には、ルルリは既に夢の中だった。その寝顔は、やはりまだ5歳の子どもなのだなと思わされるくらいに可愛らしいものだった。


(盗賊相手とは言いましても、あれだけのものを振り回したのです。お疲れになられても仕方ありませんね)


 エピナは眠るルルリの髪を撫でながら、心地よく眠れるようにそっとルルリの体を支えているのだった。


 どのくらい経っただろうか。

 再び、馬車の外が騒がしくなっている。


「どうかしましたか?」


 心配になったエピナが、ルルリをそっと座席に寝かせると、外へと飛び出していく。


「ひっ!」


 そこで見たのは、目の前に群れる魔物の群れだった。

 こちらが武器を構えているとあって、魔物たちは様子を見ているようである。


「なんですか、あれは」


「グラトニー領に住むグラトニーウルフの群れですよ。空腹だとどんな相手でも見境なしに襲い掛かるという魔物です」


「ってことは、動かないってことはまだ空腹じゃねえってことか、そこはひとまず助かったというとこか」


 エピナが叫ぶと、護衛の騎士が状況を説明している。盗賊の方もよく知らなかったようで、騎士の説明で少し安心をしている。ただ、周囲を囲まれているだけあって、ピンチには変わりはない。


「ふわぁ……、どうしたんですか、みなさん」


 そこへ異変を感じて目を覚ましたルルリが顔を出す。


「ルルリ嬢、魔物に囲まれております」


「あら、おっきなワンちゃんたちがいますね……。なるほど、魔物ですか」


 騎士の状況を説明するも、まだちょっと寝ぼけているルルリは、のんきなことを言っている。


「てめぇ! やっぱり俺たちを魔物の餌にするつもりでいたんだな?!」


「何を言ってるのかしら、この唐変木」


 盗賊の頭が文句が言い始めると、ルルリの雰囲気がすっと変わる。


「いいわよ。その身に浴びても分からないのなら、【撃神の砲槌】の力をその目に焦げ付くくらいに焼き付けてあげましょうか」


 魔物を目の前にして、ルルリは【撃神の砲槌】の状態が発動している。

 普段はおとなしい感じなのに、憎まれ口をたたく攻撃的な性格へと変貌しているのだ。


「この程度の魔物、私だけで十分です。あなたたちは自分の身を守りなさい」


「お嬢様!?」


 ゆっくりと前へと歩み出たルルリが発した言葉を聞いて、エピナは思わず叫んでしまう。

 しかし、今のルルリには何を言っても通じなさそうなので、エピナはいわれた通りに身を守ることにした。


(グラトニーウルフかぁ……。こいつら、中盤以降に出てくるウルフの最上位じゃねえか。まるで火を噴きそうなくらいに赤い体毛が特徴で、特殊な技能は持たない代わりに、敏捷と攻撃力がくそほど高いやつだ)


 目の前のウルフを見て、ルルリは魔物を確認している。

 だが、同時に何か違和感を覚えた。


(うん? ってことは、この世界ってやっぱあのMMOと……)


 そんな考えごとをしていると、グラトニーウルフたちがルルリ目がけて襲い掛かってくる。


「お嬢様!」


「っと、考えるのは後ね。来い、ドラゴハンマー!」


 エピナの叫びで現実に戻ってきたルルリは、ドラゴンの装飾がされた巨大なハンマーを呼び出している。かと思えば、ハンマーの頭を地面に置いて、思いっきり振り回そうとしている。


「シャイニングスイング!」


 ものすごく必死な形相を浮かべて、力の限りハンマーを振り抜く。

 ハンマーの描いた軌道は光の塊となり、目の前のグラトニーウルフたちを容赦なく打ち砕いていく。

 信じられるだろうか。5歳の少女が、グラトニー領に住む魔物たちを、一撃で屠ってみせたのだ。

 吹き飛んだ魔物たちは地面に叩きつけられ、ぴくりとも動かない。


「ふーん、初期スキル一撃でも倒せちゃうのかぁ。となると、この体には思った以上の補正がかかっているのかもしれないね」


 大量の魔物を具き飛ばしておきながら、ルルリはとても落ち着いた反応を示している。

 その状況を見ていた騎士や盗賊たちは、ぽかんとマヌケな顔をさらしている。


「さて、まだいるみたいだし、もう一発いっとく?」


 体とほぼ同じ大きさのハンマーを担ぎ、ルルリはグラトニーウルフたちへと笑顔を向けている。

 次の瞬間、グラトニーウルフたちは逃げ出してしまった。


「なんだ、つまんないの」


 ハンマーをしまって、ルルリはエピナのところへと戻ってくる。


「ルルリ様、万歳!」


「ルルリ様、最強!」


 そしたら、騎士と盗賊たちがルルリを突然讃え始めた。

 あまりに突然のことに、びっくりして固まってしまうルルリなのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。