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砲槌少女ルルリ  作者: 未羊


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第2話 奇妙な夢

 気を失ったルルリは、奇妙な夢を見た。

 少しばかり大きくなった自分が、大きなハンマーや巨大な筒を持って、魔物たちを次々と倒していくという不思議な光景を。

 なぜ自分だと思ったのかは謎だったが、その夢の中ではその女性の視点ですべてが見えていたことと、その女性の名前がルルリであったことからそう思ってしまったのだろう。

 軽快に魔物を倒していると、唐突に誰かに呼び止められてしまう。


「よう、ルルリ。いや、【撃神の砲槌】さんよ。今日こそ、お前を倒させてもらうぜ」


「おやおや、弱っちいのがそろいそろって、懲りずに私を倒しに来たの?」


「当たり前だ。このゲームのラスボスまでソロ討伐しちまったってんだから、今のラスボスはお前だろ?」


 自分の体よりも明らかに大きなハンマーを担ぎながら、目の前に現れた男性の煽りに、女性は煽り返している。

 明らかに怒りをにじませた表情で、男性は言い返してくる。


「プレイヤーを勝手にラスボスにしないでほしいなぁ。結局はPvPがこのゲームのエンドコンテンツになっちまうってわけね」


「そういうことだな。お前の持つ【最強】の二つ名、俺たちが奪い取ってやるぜ!」


「やってみなさいよ」


 女性に対して、男性は連れてきた集団とともに攻撃を仕掛ける。

 ところが、女性はまるっきり落ち着いた様子で、攻撃に備えている。

 巨大なハンマーを担ぎ上げると、力を込めて思いっきり振り回している。


「ステラスイング!」


 ハンマーの軌道から星がきらめいて散っていく。なんてきれいなんだとルルリが思っていると、襲ってきた男性たちは、悲鳴を上げながら吹き飛んでいく。一体何が起きたのか。

 それはハンマーから飛び散った星が、相手にダメージを与えたから。


「はっ、弱いわね。そんな強さで、私を倒そうだなんて、何百年と早いわ」


 次の瞬間、不思議なことが起きる。

 持っていたハンマーが巨大な筒に変わる。


「一瞬で済むわ。出直してらっしゃい」


 筒に段々と魔力が集まってくる。


「バハムートシャウト!」


 技名を叫んだ瞬間、極太の魔力の筋が放たれる。吹き飛んでいった男性たちは、追撃を食らって跡形も残らなかった。

 なんて強い女性なんだろうか。ルルリはそう思った。


 ところが、次の瞬間、ルルリは驚いた。

 目の前の景色が一瞬で変わってしまったのだから。

 先程までの自然豊かな景色は消え去り、なんとも薄暗い風景になる。

 そして、自分の視点も、先程の女性からまるっきり違った人物に変わっていた。


「今日はここまでか。もう出勤の時間だから行かねえとな」


 どう聞いても男性の声である。

 だというのに、ルルリには奇妙な感覚が宿り始めていた。

 この声や景色を、自分は知っているのではないかという錯覚を覚えてしまう。

 ルルリの意識とは関係なく、男性はどこかへと向かっていく。


「お前は今日限りで解雇だ。もう来なくていいぞ」


「はあ? どういうことですか」


 人がたくさん集まっているところで、男性は別の偉そうな男性から告げられている。


「クライアントから苦情が入ってな。おかげで社運を賭けた巨大プロジェクト一件がパーだ。お前は責任者だから、お前が辞めるのが一番なんだよ」


「いや、あれは辻本のやつが……」


「言い訳はいい。とっとと出てけ!」


 弁明もむなしく、男性は解雇を告げられ、建物から出ていく。


(似ている。なんだか今の私と似ている……)


 ルルリはそう感じていた。

 男性は雪の降り積もる中を、あてもなくさまよい続ける。


「くそっ! 勝手な部下のせいで俺がクビだと? まったく、少しは話を聞きやがれ、くそハゲ上司が!」


 男性は手すりを強く叩いている。

 やけになった男性は、突然走り出す。行く先なんてものはない。ただがむしゃらに走り出した。

 だが、今現在の天候というものが頭に入っていなかった。

 目の前の階段を下り始めた時だった。


「うわっとっとぉっ!?」


 雪の積もったところを踏んでしまい、盛大に滑ってしまう。

 階段から転落して目の前に地面が迫ってきたと思ったら、男性の意識はそこでぷつりと途切れてしまった。

 一体何が起きたのか、ルルリには理解できなかった。


(いや、あの状況なら、首から地面に落ちて首の骨が折れてしまっているはず……。じゃあ、即死ってこと?)


 考え込むルルリは、考えた瞬間、ハッとしている。

 そう、なんでこんなことを知っているのだろうか。ルルリはまだ5歳である。まだまだ教育を受けるような年齢ではない。

 思った瞬間、ルルリは頭が痛くなってくる。


(ぐっ……これは……)


 夢の中のはずなのに、頭痛に襲われている。よく分からない状況に、ルルリはますます混乱をしている。

 しかし、それは一瞬で終わった。


(そっか……。あれは私の、いや、俺の前世だ)


 そう、夢の中で見たのは、ルルリとなる前の自分の記憶。

 どうやらルルリは、異世界転生というものをしてきた存在らしいのだ。

 前世の最後のショッキングな出来事と重なる状況を経験して、いきなり前世の記憶がよみがえったのである。

 前世のゲームで遊んでいた時のキャラクター名とその時の二つ名。容姿も幼いもののほぼ似たような感じだ。

 これは偶然かはたまた……。

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