とある廃村にて
金曜日・・・何かあったのかな?
何故か居酒屋奇譚が400PV超えてました。
記念に、超短編を投下です。
ちょっと毛色の違うお話をどうぞご賞味ください。
とある廃村にて
私的には、特に問題あるとは考えていないよ。
ただ、同行者が言うには大問題であるらしい。
遅れて部屋へと踏み込んで来た同行者。
途中の坂は、足場が悪いからね・・・。
すこしふら付いている?
まあ、折角来た同行者だ。
私は試しに、コレの回収協力を要請してみたんだ・・・でも・・・。
同行者は主張する。
「コレはココに在ったモノだ。
遺棄されたモノとは、断定できない。
従って、ただ回収する事には同意できない」
って事みたい。
折角見つけて貰ったのに、ここに置き去りってのも、ちょっと酷いと思うんだ。
穴倉特有のカビ臭い空気。
その中に混じる鉄っぽい香り。
ああ、滑った時にケガをしたんだな。
同行者は続ける。
「とにかく、ソレは回収しなければならない。
時間も無いし、コレは無理だ。」
見た目よりも大怪我みたいで、同行者は余裕がなくなってるみたい。
「俺にだって、持てる重量に限りがある。
ソレもコレもは無理だ。
ソレだけで手一杯だ。」
ああ、確かに両手でモノを抱えて移動するのは、億劫だよね。
膂力にも自信が無いらしいし・・・。
だから、私は提案しました。
「中身を入れ替えちゃえば、大丈夫なんじゃない?
そうすれば、コレの分は気にしなくていいし、ソレも楽に移動できると思うんだ。」
って。
同行者は、難色を示します。
「どうして、それが同意を得られると考えられるんだ?
そもそも、ソレの中身はどうするんだ?」
分かり切った事を聞くものです。
私はちょっと呆れました。
そのせいで、発言が少しゾンザイになっちゃったのは、ごめんなさいです。
「ココに置いて行けばいいよ。
どうせ誰も来やしない。
ソレさえ戻れば、誰も中身は気にしないんじゃない?」
って。
だいたいさ、ソレの中身は、こうしている間も漏れ出し続けてるんだよ?
そんな状況で、中身の心配って、的外れじゃないのかなあ。
同行者は、一瞬表情をこわばらせた後、大きくため息をついた。
そして、言葉を発する。
「望外にもコミュニケーションが取れたと思って喜んだのに、話にならない。」
同行者は、吐き捨てるように言うと、ソレを抱えてこの場から去ろうとします。
「見つけた時は、助けになると思ったってのに・・・」
私は、折角の機会に、ぜひともご一緒したいと思ったんだ。
それは、ソレとコレを入れ替えれば実現する。
だから、慌てて呼び止めた。
「待ってよ。
方々探し回って、やっと見つけてくれたんだろう?
折角見つけたのに如何して置いて行こうなんて考えるんだ?
一緒に帰ろうとは思わないのか?」
同行者は疲れた様に答えて寄越した。
「お前さんは、それで良いんだろうさ。
だがな、入れ替えること自体に賛同できない。
挙句に、入れ替えたものを残していく?
話にならない。」
如何してか、同行者を怒らせちゃったみたいだ。
何でだろう?
ソレとコレの中身を入れ替えれば、ソレは一緒に動かせるし、コレは一緒に行けるのに・・・。
結局、ソレ・・・彼女の同行者は、ソレ(彼女)を抱えてこの穴倉から出て行ってしまった。
廃墟探索?の続きをするのかな?
・・・待っていたら、帰りに寄ってくれるかな?
廃村の朽ちかけた祠の裏にポッカリ空いた穴倉。
そこに踏み込んで、滑落して、石の床に頭から叩きつけられたソレ・・・多分、死んじゃってるのに・・・。
私を探しに来たんだろ?
なのに、コレを置いていくの?
勝手に祀りを辞めて村から出て行っちゃったらしいあの人たち。
居なくなってから、連絡なんて一切ない。
なら、もう役目を解かれて遺棄されている様なモノじゃないか?
まあ、役目を解かれてないから、このまま待ってるけど・・・待ち草臥れたし、そろそろ別の仕事に移っても良いと思うんだ。
連れて行ってくれても良かったのにね?
引っ越すときに部屋に残していったガラクタ・・・
そんな感じで、私たちの周囲には正しく処理されていないモノが、多々在るのかも知れません。
中には、ひっそりとユーザーの帰りを待っているモノも・・・。
趣味で廃墟探検も良いですが、持って帰っていいのは思い出だけ、残していいのは足跡だけ・・・何を見つけても無暗に障っちゃ逝けません・・・。
何があっても、安易に頼るのは避けましょう。
・・・記念投稿のつもりが、余りめでたげな話じゃないな・・・まあ、いいかな。




