ep7 オフィスのお茶漬け
※この物語は、1DKという名の宇宙船で大銀河を生き抜く、一人の女性の等身大スペースオペラである
12時10分。
私の胃袋という名の「中央指令部」は、温かな水分による癒やし……すなわち「お茶漬け」を所望していた。
だが、弁当という名の備蓄はない。私は敵地……もとい、物資集積所へと潜入した。
「……信じられん。おにぎり一個が、かつての航空燃料並みの値上がりではないか」
棚を睨みつける私の前に、一人の負傷兵が現れた。
『30円引き』の勲章を胸に貼られた、タラコおにぎりだ。
「……確保する。お前を、最高の戦力へ改修してやる」
オフィスへ帰還。
私は給湯室という名の「秘密基地」で、マグカップという名の「ドック」を用意した。
まずは、海苔という名の外装を丁寧に剥がす。これは後で使う。
次に、米の塊をマグカップへと投入。そこへ、熱い緑茶を注ぎ込んだ。
「……見ろ。タラコという名の火薬が、熱に反応して白く変色していく」
仕上げに、取り置いていたパリパリの海苔を、手でちぎって散らす。
150円の現地調達品が、今、立派な「タラコ茶漬け」へとコンバート(転換)されたのだ。
「実食」
…………。
……あ、結構うまい!
おにぎりの表面についていた絶妙な塩気が、お茶に溶け出して完璧なスープへと進化している。
冷えたオフィスで、温かい流動食が五臓六腑という名の機関室を温める。
「……勝利だ。インフレという名の巨人に、私は屈しなかった」
私は最後の一滴まで飲み干し、午後の戦闘に備えて意識を再起動させた。
▼今回の作戦費用報告(Mission Expense Report)
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【投入資産】 【コスト】 【備考】
・現地調達品: 130円 (30円引き勲章付き)
・重水(緑茶) : 0円 (福利厚生という名の略奪品)
・改修用ドック(マグ) : 0円 (私物)
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【合計コスト】 : 130円
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【作戦評価】
低コストでの高満足度達成。
おにぎりの「分解と再構築」という新戦術を確立。
午後の戦闘継続能力が大幅に向上した。




