ep56 新たな翼
……一九〇〇(ヒトキュウマルマル)。
日課のプランク(生体ユニットの体幹強化任務)中、私の端末に戦友からの秘匿通信が着弾した。
「……旧式機を格安で譲渡する……だと?」
私はコスモゼロ3号を全速で漕ぎ、友人のガレージ(秘密基地)へと急行した。
そこで待っていたのは……。
「……こ、これは。……カブではない。この輝くSの紋章、そしてサイドカバーの青い鳥。……スズキ・バーディ80!」
しかも、燃焼効率など度外視した加速の暴力、2ストロークエンジン。
埃にまみれたその姿は、長き眠りについた古代兵器のようだった。
戦友の提示した対価は、わずか五万クレジット(5万円)。
「……だが、長い沈黙だ。……システムが生きている保証は……」
私は儀式を開始した。
新鮮な燃料を供給し、スズキ純正2サイクルオイル「CCIS」を祈祷師のように一滴。
そして、キックペダルという名の「心臓マッサージ」を開始。
一回、二回……。
五回目で、シリンダー内に「生命の火花」が散った。
十回目。
「パパパパパンッ!!」
ガレージ内に立ち込める、2スト特有の芳醇な白煙と香ばしいオイルの匂い。
「……生きてる。……スズキの科学力は、銀河一ィィィ!」
私と友人は、言葉を交わす代わりに、力強い握手を交わした。
こうして、アカネハイツ203号の第3格納庫(駐輪場)に、新たなる翼、「コスモゼロ4号(仮)」の配備が決定したのだ。
「……書類の捜索は戦友に任せた。……私は、夏という名の『大航海時代』に向け、この青い鳥を徹底的にオーバーホールする」
▼新機体・技術評価報告(New Machine Evaluation)
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【機体名】 : スズキ・バーディ80(2st)
【取得コスト】 : 50,000円(戦友価格)
【エンジン特性】 : 2ストローク(白煙と加速のロマン)
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【今後の整備計画】
・燃料系統の洗浄(キャブレター清掃)。
・点火系の刷新(スパークプラグ交換)。
・203号室に漂う「2ストの匂い」に対する防臭対策。
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