ep53 ブルーミルクアイス
……二一〇〇(フタヒトマルマル)。
私は、セガの伝説的ハード「メガCD」の重厚な駆動音をBGMに、海外から接舷した未知のソフトと格闘していた。
「……難しい。……洋ゲー特有の、この『一歩間違えれば死』という無慈悲なシステム……。脳内演算がオーバーヒート寸前だ」
私は、頭部冷却(および糖分補給)のため、コールドスリープ装置(冷凍庫)のハッチを開放した。
そこには、前回のミッションで精製されたブルーミルクに、原始的な固定具(割り箸)を装填し凍結させた「ブルーミルク・アイス(プロトタイプ)」が鎮座していた。
「……フッ。……凍らせることで、あの毒々しい発色が、どこか避暑地のソーダバーのような清涼感へと変換されている」
見た目の脅威度は、劇的に低下。
私は勝利を確信し、その「青き氷塊」へと牙を立てた。
実食。
…………。
「……堅い。……これは、食べ物ではない。……装甲板だ」
想定外の硬度。
どうやら、乳脂肪分が少ない状態で静止凍結させたことにより、ブルーミルクは「微細な氷の結晶の集合体」ではなく、「単一の強固な氷のモノリス」へと相転移してしまったようだ。
下手をすれば、私の咀嚼ユニット(歯)が物理的に損壊しかねない。
私は、自らの無知(空気を含ませる工程の欠如)を認め、少しずつ、溶け出すブルーミルクを啜るという「長期戦」へと戦術を切り替えた。
「……なるほど。……料理もゲームも、事前のリサーチ(攻略法)が重要だということか」
私は、口内に広がる冷たさとバニラの甘みに、少しずつゲームのストレスが溶けていくのを感じた。
次回の精製時には、より高効率な「攪拌プロセス」を導入することを固く誓いながら。
▼冷凍兵糧・開発失敗報告(R&D Report)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【開発物資】 【評価】 【備考】
・ブルー・アイス棒 : 硬度 S (鈍器として使用可能)
・冷却効果 : 持続 A (溶けるまで時間がかかる)
──────────────────────
【新たな知見】
・空気の混入がない場合、家庭用冷凍庫は「兵器級の硬度」を生み出す。
・ゲームもアイスも「甘くない」のが洋ゲーマーの日常。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ストックが切れたので、公開日誌はまた来週の22日から連続投稿します。




