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ep31:ミクロの決戦(生姜スープ)

……警告。


生体機能の著しい低下。体温、規定値を突破。

原因:宇宙風邪ウイルスの体内侵入を許した。


「……フッ。……炬燵の引力圏で、センサーに死角が生じていたか。……反省点だ」


1DK型宇宙船アカネハイツ203号。操舵主(私)が沈めば、この最新鋭艦もただの「築年数相応の賃貸物件」へと退化する。


咳をしても独り。……だが、孤独とは自由の別名だ。


「……これより、宇宙海兵隊による体内浄化作戦ジンジャー・アンド・デストロイを開始する」


私は震える体を制御し、司令室キッチンへ向かった。


ターゲットは、喉という名の「重要補給路」を封鎖している細菌どもだ。

鍋に水を張り、鶏ガラスープの素を投下。さらに、武器庫から取り出した「生姜チューブ」を、残弾全てを撃ち尽くす勢いで注入した。


「……ぶつ切りの長ネギを投入。……菌どもに、逃げ場はないぞ、宇宙海兵隊を舐めるなよ」


じっくりと熱を加え、最後に卵という名の「生体補強材」を解き放つ。仕上げに胡麻油の芳香を纏わせ、203号室特製「生姜爆撃スープ」が完成。


実食。

…………。

……熱いッ! 大量の生姜が、炎症を起こした喉を焦土と化していく。


だが、この痛みこそが、宇宙海兵隊の進撃の足音。細胞一つ一つに熱量がワープ航法で届けられ、細菌どもの拠点が次々と陥落していくのが分かる。


市販の風邪薬という名の「軌道爆撃」を併用。

私は布団バイオ・ポッドへと潜り込んだ。

瞼の裏では、アサヒの青金に輝くライフル(※注:想像上の装備です)を手にした宇宙海兵隊(私)が、ウイルス共を次々と掃討していく光景が展開されている。


「……掃討、完了まで……スリープモードへ……。……おやすみなさい、諸君……」



 ▼今回の作戦費用報告(Mission Expense Report)

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【投入資産】    【コスト】 【備考】

 ・対細菌迎撃スープ一式:  100円  (生姜の全弾投入)

 ・特殊医薬品(風邪薬):  60円  (一回分換算)

 ・精神的弾薬(想像力):  0円  (海兵隊としてのプライド)

 ──────────────────────

 【合計コスト】  :  160円 + 翌朝の快復への祈り

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【作戦評価】

 初期消火ならぬ「初期掃討」に成功。

 生姜の過剰摂取により、機体内温度が一時的にオーバーヒート気味だが、免疫システムは活性化。

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