ep25:さらば納涼宙域北海道
午前七時、離脱開始。
「……乙女への擬態、完了。……これより札幌前線基地を撤収する」
ホテルの朝食ビュッフェにて、北海道産牛乳の「濃さ」という名の衝撃を享受。
「……何だこの濃度は。……アカネハイツ203号で飲んでいる栄養液(普通の牛乳)とは根本的に分子構造が違うのか?」
札幌を脱出したアルカディア号は、小樽へ。
司令部(会社)や友人という名の「後方支援部隊」へ、伝統的兵糧「かまぼこ」を確保。
そのまま艦首を南へ向け、ニセコ・倶知安の山岳地帯を強行突破する。
喜茂別を越え、私は未知の勢力圏へと足を踏み入れた。
「大滝・きのこ王国」
そこは、想像を絶する菌類の波状攻撃が待ち構える要塞だった。
「……ミッション:キノコフランク及びキノコ汁の完全摂取」
実食。
…………。
……美味い! キノコの旨味が凝縮された汁が、二日間の痛飲で疲弊した内臓諸機関へ優しく浸透していく。キノコフランクの弾力もまた、次なる巡航への活力を与えてくれる。
支笏湖の南、原生林を抜ける高速巡航
バックミラーに映る北の大地が、徐々に夕闇へと溶け込んでいく。
私はフェリーターミナルの巨大な門をくぐり、アルカディア号のエンジンを止めた。
「……さらば、北海道。……さらば、サッポロクラシック」
輸送船のハッチが閉まる音。
それは、ワープ航法(帰路)の開始を告げる合図だ。
私はデッキから、遠ざかる苫小牧の灯火を眺め、心の中で静かに、しかし力強く叫んだ。
「……あすっ!(ありがとうございました、また来ます!)」
▼今回の作戦費用報告(Mission Expense Report)
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【投入資産】 【コスト】 【備考】
・後方支援用兵糧(土産): 5,500円 (かまぼこ等の物量作戦)
・菌類補給(きのこ王国): 800円 (圧倒的旨味の波状攻撃)
・離脱燃料(軽油/ガソリン): 4,500円 (アルカディア号の生命線)
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【合計コスト】 : 10,800円 + 帰りの船賃
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【作戦評価】
北海道大遠征、ミッション・コンプリート。
きのこ王国の破壊的な旨味により、体内の栄養バランスが一時的に菌類優位に。
次なる課題は、本州の酷暑という名の「熱地獄」への再突入と、空っぽになった財布の復旧。
アカネハイツの歴史がまた1ページ




