ep19:復讐の野営地
「……破壊神アス、発進する」
グループチャットで刻まれた屈辱的なコールサインを胸に、私は再びアルカディア号の進路をあの野営地へ向けた。
だが、今の私は前回の私ではない。
高価な対価(予算)を支払い、我が艦の居住性を極限まで高める「専用クッション」と、今度こそ忘れていない「司令官席(椅子)」を装備している。
着陸地点は、前回と同じ座標。
左右の索敵範囲内に他艦(他キャンパー)の反応なし。
「……勝った。この宙域は、今夜、私だけのものだ」
早速、スーパーのPB品という名の代替燃料(PB缶)を解放する。
カシュッ!
「……美味い。……やはり、重力下での外気補給は、安価な燃料のオクタン価すら底上げする」
続いて、本日の兵站演習。
テーマは「小麦粉の再構築」だ。
オリーブオイルという名の高級潤滑剤は使えない。私は汎用サラダ油を使い、小麦粉を練り上げる。
生地を休眠(寝か)せている間に、特売の「鶏皮」という名の高カロリー・低コスト素材を甘辛く変換。レタスを千切る。
フライパンで薄く焼き上げた生地……これぞ、節約型「トルティーヤ」の完成だ。
「実食」
…………。
……なかなかに、美味い!
鶏皮の脂、レタスの食感、そして手間をかけて薄焼きにした小麦の香ばしさ。
手間という名の隠し味が、低質な燃料(PB缶)と完璧な同期を見せている。
気づけば、帷が降りていた。
前回、羞恥心という名のノイズで隠されていた銀河が、今夜は鮮明に視界を埋め尽くす。
「……素敵だ」
毛布に包まり、ヤカンで沸かした紅茶を啜る。
椅子がある。星が見える。……ただそれだけのことが、八十万のローンと「あすっ!」の呪縛を、一時的に中和していく。
そして、ワープ航法(就寝)の時間だ。
車内に敷き詰められた専用クッション……。
「……っ! 寝やすい……! 背骨にかかる重力加速度が、完全に分散されている!」
段差という名の地形的障壁を克服したアルカディア号の内部で、私はかつてない深い眠りへと沈んでいった。
「ワープ……開始……」
▼今回の作戦費用報告(Mission Expense Report)
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【投入資産】 【コスト】 【備考】
・居住性向上ユニット: 18,000円 (椅子+クッション。痛い出費)
・基幹兵糧(鶏皮・粉): 150円 (究極の節約グルメ)
・代替燃料(PB缶) : 98円 (二本目もスタンバイ)
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【合計コスト】 : 18,248円
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【作戦評価】
リベンジ成功。他文明との接触を絶ち、完全な独立自尊を実現。
「節約トルティーヤ」は母船の定番メニューへの昇格を検討。
専用クッションの導入により、明朝の「バキバキの体」というデバフを回避できるか。




