ep18:破壊神「アス」
……急報。
哨戒網に二つの未確認反応。いや、これはかつての戦友(友人)たちの艦影だ。
「……親善訪問。それも、このタイミングでか」
本来なら、小麦粉しか備蓄のない我が艦の窮状を悟られるわけにはいかない。だが、彼女たちの手にある「銀色に輝く補給物資」――アサヒ・スーパードライを見た瞬間、私のプライド(防衛システム)は即座に解除された。
「……許可する。入港せよ」
私は浴室に蔓延る宇宙アメーバ(黒カビ)を、強力な化学兵器で殲滅。掃除機をフル稼働させ、二〇三号室を「迎賓モード」へと移行させた。
再会。そして、鍋を囲む。
久々に胃壁に注ぎ込まれる、高純度・高オクタン燃料の喉越し。
「……生ぎでで、よがっだ……ッ!」
感涙。文字通り、滂沱の涙。母船の燃料タンクが、贅沢な銀の輝きで満たされていく。
会話は弾み、戦い(仕事)の近況から、士官学校時代(大学)の恥ずべき記録まで、思い出話に花が咲く。
しかし、その絶好調な雰囲気の中、私は禁断の「ブラックボックス」を開けてしまった。
「……実は、先日の遠征で……」
私は、アルカディア号の初陣、あの隣接文明(女子大生)との接触、そして……あの決定的なバグ出力について告白した。
「……『あすっ!』……と言ってしまったのだ」
沈黙。
コンマ数秒後、二〇三号室の気圧が激変した。
「……ひ、……ひゃはははははは!!」
「あす!? ……『あす』って……!! ゲホッ、……ゴホッ!!」
友人の一人はソファから転げ落ち、重力に抗うこともできずに床を叩き、もう一人は呼吸困難に陥り、顔を真っ赤にして嘔吐の一歩手前まで追い込まれている。
私の「あすっ!」は、彼女たちのバイタルパート(笑いの急所)に、レールガン並みの貫通力で突き刺さったのだ。
「……済まない。……こんな凄惨な事故(笑死)を起こさせるつもりではなかった」
私は、のたうち回る戦友たちを冷ややかな、しかしどこか誇らしげな眼差しで見つめながら、銀色の燃料を口に運んだ。
私の尊厳は完全に灰となったが……まあいい。今夜は、燃料が美味い。
▼今回の作戦費用報告(Mission Expense Report)
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【受領資産】 【価値】 【備考】
・高級燃料: 測定不能 (銀色の救済)
・鍋の具材一式 : 財政支援 (肉という名の贅沢)
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【投入資産】 【コスト】 【備考】
・艦長の尊厳 : 喪失 (「あすっ!」により霧散)
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【作戦評価】
物資補給ミッション、大成功。
「あすっ!」が対人戦において、致命的な破壊力を有する生物兵器(笑いのネタ)であることを再認識。
友人の生存を確認後、残ったスープでの「〆の雑炊」という名の残敵掃討戦へ移行する。




