ep13:我が青春のアルカディア
※この物語は、1DKという名の宇宙船と愛機アルカディア号を駆り。
大銀河を生き抜く、一人の女性の等身大スペースオペラである
見よ、この流麗なフォルムを。
「2011年式スバルレガシィアウトバック2.5i 4WD」
ボディーカラーは、私のために用意されたかのような「ギャラクシーブルー」だ。
世の観測者たちは、私が愛らしい軽自動車や、無骨なジムニーを選ぶと予測していたようだが……甘い。星系間を越える巡航には、このスポーティーな計器類と、全天候型駆動システム(4WD)が必要不可欠なのだ。
「……今日からお前が、私のアルカディア号だ」
たとえ中古車販売店のラベルを貼られていようと。
私にとっては髑髏の旗を掲げた自由の艦。
さすがに外装に髑髏を描くのは、地球の法(世間体)に抵触する恐れがあるため、運転席の隅に小さなステッカーという名の「魂」を貼り付けた。
「私は、私の旗の元に自由だ……!」
シートに深く腰沈め、イグニッションを起動する。
ボクサーエンジンの咆哮が、203号室の静寂とは違う「移動の予感」を艦内に響かせる。
「アイドル正常、反重力エンジン出力を30から70へ……野営地(キャンプ場)へ向けて、抜錨! 目標、隣の県(星系)!」
私はアクセルを踏み込んだ。
視界を流れる景色が、ハイパースペースへと加速していく。
「……中古6.8万キロで八十万。そして、車検2年付き」
印鑑を押した指先に残る感触は、重い。
だが、この支払いは「消費」ではない。自由を買うための「投資」だ。
二年間、整備不良による戦線離脱を心配しなくて済むという、精神的な防護シールド(車検)も手に入れた。
「……計算通りだ」
アルカディア号のコックピットに座り、私はハンドルを軽く叩く。
最新のナビはない。だが、水平対向エンジンの重厚な唸り(ボクサーサウンド)が、電子音よりも雄弁に航路の安全を語りかけてくる。
「……車検の残存期間は、私に与えられた『冒険の猶予』だ」
私はサイドブレーキを解除した。
八十万円の重みをアクセルペダルに乗せて、銀河の果て……まずは、近所の「物資集積所(激安スーパー)」のさらに先にある、高原の野営地を目指す。
「……待っていろ、未踏の地よ。私の宇宙戦艦が、今、行くぞ!」
▼今回の作戦費用報告(Mission Expense Report)
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【投入資産】 【コスト】 【備考】
・新造艦建造費(中古): 800,000円 (車検という名のシールド展開済み)
・精神的バフ : プライスレス
・残存予算(食費) : 壊滅的 (※ただし、後悔はない)
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【合計コスト】 : 800,000円
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【作戦評価】
初期投資は甚大だが、二年の航行保証を確保。
車両の「ギャラクシーブルー」が、夕闇の国道に完璧に溶け込むことを確認。
今後の課題は、80万の負債を感じさせない「極限節約野営飯」の開発。




