ep12 奇跡の星
※この物語は、1DKという名の宇宙船で大銀河を生き抜く、一人の女性の等身大スペースオペラである
給料日前日、二三時〇四分。
……もはや、これまでか。
刀折れ矢尽き、我がアカネハイツ203号は完全に沈黙した。
空腹という名の「重力異常」が思考を奪い、頼みのワープ航法(睡眠)すら、胃袋が発する警告音によって起動不能に陥っている。
「……棚に、……のど飴しか、ないだと……?」
万策、尽きた。
カードという名の「禁断の最終兵器(借金)」に手をかけるか。……いや、それをすれば、新造艦(車)建造計画が瓦解する。
薄れゆく意識の中、私は震える手で携帯端末を操作した。その時、液晶の光の中に「奇跡」を見た。
「……六〇〇ポイント。……生きている。電子の海に、私の兵糧が眠っている!」
私は最後の力を振り絞り、生命維持装置を装着。
すっぴんという名の「未装甲状態」を、スウェットという名の「非常用ジャンプスーツ」で包み、私は深夜の物資集積所へと強行突入を敢行した。
自動ドアが開く。
並ぶ商品が、すべて私への供物に見えた。
だが、ここで全弾(全ポイント)を撃ち尽くしてはならない。冷静に、かつ迅速に、コストパフォーマンスを計算する。
「……金麦。カップ麺。そして、値下げのシールを貼られた孤独な『おにぎり』。……これで、決める」
レジにて、ポイントによる決済を宣言。
現金という名の弾薬を一発も消費せず、私は戦利品を携えて帰還した。
「実食」
…………。
……うまい。うますぎる。
カップ麺の熱いスープが、凍てついた機関室(内臓)を激しく再起動させる。
金麦の泡が、喉元を通り抜けて脳を直撃する。
コンビニ店員の「ありがとうございましたー」という声が、今夜だけは凱旋パレードのファンファーレのように聞こえた。
給料日まで、あと数時間。
私は電子の奇跡に感謝しつつ、今度こそ深い眠り……未来へのワープ航法へと入った。
▼今回の作戦費用報告(Mission Expense Report)
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【投入資産】 【コスト】 【備考】
・電子予備弾薬 : 580pt (コンビニポイント。奇跡の残弾)
・生命維持装置 : 10円 (不織布マスク一枚)
・現金支出 : 0円 (完全勝利)
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【合計コスト】 : 10円 (+580pt)
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【作戦評価】
最終局面、ポイント活用による無血開城に成功。
給料日という名の母港への帰還が確定。
建造計画(車購入)に向け、財政再建計画を策定する。
アカネハイツの歴史がまた、1ページ




