97 社内混沌事情
「そりゃダメだ」
思わず言ってしまった。
「えっ?何故ですか、なんか間違ってます?」
「「「「・・・・・」」」」
「じゃあ、聴くけど、今まで彼女はどのくらいの期間居たんだ?」
思い出すようにしばらく考えて
「長くて3ヶ月かなぁ」
「「「「・・・・・」」」」
「やっぱりダメじゃんか。
モテない奴が聴くと撲殺されるクラスだぞ、それ」
・・・まだわかってないようだ。
「お前、ドン引きされているの判ってる?」
「いえ、判んないです」
とりあえずクリスへのアタックは禁止にしとくか。
「クリスへの交際申し込みは禁止な、無理だわ」
みんな納得の表情だ。
「何故ですか?それに課長にそんな権限ないんじゃ?」
「当人じゃ無いから権限云々は言えないかも知れないが、今は俺のもんだ。
クリスが選んだのは暫定で俺だ。
と言うことは権限は有るって事になるな」
・・・廻りは静かになっていた。
それに気づいた時には遅かった。
「と、とにかく先ずお前がやる事は1人の娘に絞る事。
その間は他の娘を二人っきりのデート等に誘わない事だ。
それが出来たらまたアタックして良いぞ。
ただし、無くした信用は中々回復しないから、10倍努力しろよ」
10倍努力という言葉に絶望感丸出しである。
「今、この瞬間見られているんだぞ?クリスや女の子達にお前の底力見せてみろ。
モテるんだろう?俺と違って。
笑って簡単に奪い取ってみせろよ」
廻りはお祭り騒ぎの如く盛り上がっている。
「判りました、仕事にプライベートに努力して奪い取って見せますよ!」
祭りは更に盛り上がった・・・何故こうなった?
自業自得かなこれ。
クリス達の所に歩み寄る。
「え〜と、そういう事なので、みんなもう一回アイツにチャンスを与えてくれるかい?
今更選ぶ権利無いと思うんだけど・・・」
「「「「・・・・」」」」
「あの、課長、クリスさんと付き合ってるんですか?」
「・・・・・・・・・・付き合っているというか・・・・暫定で俺の彼女・・・・」
「「「「ええ〜!ホントなんだ〜〜」」」」
クリスはドヤ顏の笑顔で祝福を受けている。
そろそろ休憩時間は終わるんで、現場に逃げた。
途中、空野に暫定だからなってフォローしたけど。
この日は仕事にならなかった。
みんなの目がなんか面白い物を見る目だったから。
クリスは空野と一緒に現場廻りで、何故か応援されていた。
ダブルスコア以上の年上に負けんなよ!とか。
やはりイケメンは有利だと思ったよ。
底辺の意地見せちゃる!
次の日になると、何故か俺ら二人に恋愛相談が持ちかけられる様になった。
昨日みんなの前で余計な事いい過ぎたのかもしれない。
不思議なのは男女共に来ることだった。
女心なんぞ解らんぞ?クリスの方に行った方が、と言っても来るし。
今まで不細工は論外だったくせに、こういう時だけ来るんだな、君たち。
ストーカーっぽい奴に悩まされている3人組も来た。
女性側の意見だけを聴くと、そんな変な妄想というか理想が高い訳じゃなさそう。
ということはただ恋慕されているという事かな?
勘違い野郎がストーカー行為とかするから、俺達みたいな不細工もそう見られるんだよ。
人は見た目で99%判断されるからな、本当に迷惑だわ。
だいたい聴きたい情報はゲット出来たんで、この3人にちょっと説経しといた。
自分が他人にやったことは必ず自分に返ってくる事。
自分にとって心地よい言葉を投げかける奴は、ほかの人にも同じこと言っている事。
紳士である事を相手に求めるなら、自分は淑女であれ。
与えてもらうのが当たり前じゃない、自分からも奉仕しないと対等な幸せは来ない、というか実感出来ない。
見た目良ければ良いってものではない、それを利用・逆手に取って更に努力した奴が幸せになれる権利を得る。
惑わされるな、自分の目で判断しろ。
結局自分の行動に責任を取れるのは自分自身なのだから。
とまあ、こんな感じで言っといた。
20代前半くらいの娘に言っても無駄かもしれないけど一応ね。
「「「話聴いてくれてありがとうございました」」」
「・・・こんな感じで良ければ何時でも相談に乗るよ」
相談が終わり、3人との別れ際にふいに結城さんが
「そういえば、あの時犯人は何故タバコを吸っていたんでしょうか?
隠れているのバレると思わなかったのでしょうかね?」
「・・・あの時、吸ってなかったろ?」
「「「・・・・」」」
「やっぱり・・・」
「えっ?・・・・あっ!・・・え~と誰かの立ち話を聴いたんだよ、何処でだったかな~よく覚えてないや」
「「「・・・・・」」」
「それじゃ忙しいからまた」
そそくさとその場を離れた。




