93 仕事と研修期間と③
クリスが仕事を始めて1週間程過ぎた。
声を掛けてくる男多数だったが、ひらりひらりと躱して上手い具合に手玉に取っていた。
クリス効果として、まず施設課員の身嗜みが良くなった。
そして仕事完了率が上がり、それに応じて突発的な生産停止させての修理等が少なくなってきた。
やはり若い娘が入るとやる気が出るのだろう。
率先して仕事やってるし。
製造にも若い娘いるけど部署違うし、接点無い時間多いしな。
昼飯時、食堂でクリス達女性陣がグループでご飯を食べていた。
友人出来て良かったなぁ、これで女子力高めて貰えると助かる。
そう思いながら、部下と一緒に飯食ってると廻りから野郎共が。
「クリスちゃん可愛いですよね、一緒に住んでるって本当ですか?」
「食事に誘っても良いですか?」
「施設課社員候補ですか?」
色々多重角から質問等飛んできた。
「一緒に住んでいるのは本当だ、遠い親戚の娘だ。
それと後二人一緒に住んでるよ。
食事くらい勝手に誘ってくれ、但し無理やりとかだったら・・・解ってるよね?
本人がこの仕事やりたいなら続けるでしょ」
順番に質問に答えていく。
みんな「「「「おお~!」」」」となっている。
施設課員は送別会の一件があるので傍観者となっていた。
ただ一人、若手が一人参戦するつもりらしく質問というか爆弾を落として来た。
「課長、いいんですか?好きな人取られますよ?」
「「「「えっ?」」」」
その一言に静まり返った。
「取れるものなら取ってみろ」
宣戦布告である。
「一応言っておくが、別に拘束している事等無いからな。
クリスが好きな男見つけて、同棲したいとか結婚したいとか言ってくれば認めるつもりだ」
廻りがざわつき始めた。
「それじゃ課長も狙ってるって事ですか?」
その質問に首肯するだけにした。
大半がクリス嬢を護るために言っているのだと判断して、本気と捉えていなかった。
ある一人を除いては。
食事休憩が終わり、仕事に戻るといつも以上に張り切っている若手施設社員が2名程。
これが若さか!と、ツッコミたくなるくらい別人のように働いている。
クリスは持ち前の明るさで勘違い野郎を日々増殖させていっているように見える、と言うか実際増やしている。
後々面倒な事になるんだろうなぁ。
製造ラインの連中も、前と比べると自分で調整とかする様になってきた。
そんな事も出来ないのかな?と思われるのが嫌なのだろう。
下心満載なんだけど仕事にプラスに働いている分良しとしたい。
そんな事があった帰り道。
「最近、食事等に誘われる事が良くあるんだけど、なんでだろ?」
「そりゃ、クリスが可愛いからだろ?」
まあ当然の成り行きかな。
「何回も断ってるんだけどしつこくってさ」
「ああ、ごめん。
声掛けるくらいなら大丈夫かなと思って、許可したんだよ。
何でも却下すると逆効果になると思ってさ。
あまり酷かったら注意しとくが?」
「まだいいよ、チャラ男対策は慣れてるし。
それで何を許可したの?」
「食事の誘いとかだけど?」
「誘いに乗るとか考えなかったの?」
「うん、それに取れるもんなら本気で来いって言ってるから」
「へぇ・・・・取れるもんならか・・・・」
クリスの顔が少し紅くなっていた。
「ねぇ川さん、今夜・・・どう?」
「良いのか?」
「もちろんいいよ、俺の女だって言ってくれたのは初めてだから嬉しくてさ」
そう言われるとそうかもな、自覚なかったよ。
自然に言葉に出るって事は、取られたく無いっていう意思表示なのだろう。
俺も変わったな。
「じゃあ、ありがたく頂きます」
「そうだ、今度女子会に誘われているんだけどどうしようかな」
「なんで?参加すればいいだろ?そんなに遅くはならないと思うし」
そういう付き合いも大事にしてもらいたいしな。
「う〜ん、そうだね、じゃあOKの返事しとくよ。
帰りは迎えに来てね」
「ああ、もちろんいいよ。
それから恋バナとかは良いけど、あまり変なこと喋るなよ?必ず尾ひれが付いて話が大きくなるものだから」
「判ってるよ、淡い恋心抱いている程度って事にしとくから」
・・・大丈夫かな、不安が残るが。




