90 気分一新
昨日はお互いリフレッシュ出来、新たな気持ちで前に進むだけなのだけど特に何事も無く数日が過ぎた。
「見事に足踏み状態だな」
仕事しながら最近の動向を思い出す。
そう思ってもこればっかりはどうしようもない。
平和が一番だしな。
「クリス、はいこれ」
差し出したのは封筒だ。
「?何これ?」
「ああ、ボーナス出たからな、お小遣いだよ。
サクラ達と出掛けた時にでも使うといい」
・・・・・
「これは・・・パパ的な?
後腐れ無し的な?」
とりあえず拳骨を落としとく。
「いつそんなネタ仕込んだんだよ!
愛人契約じゃね〜よ!
お金持ってないから何も買えないだろ?
サクラ達に奢らせるわけにはいかんだろうから、渡しとくの!
それに、クリスは俺のよ・・め・・・いや何でもない」
「冗談よ、そんなの判ってるよ。
ありがと・・・・それと最後の言葉ハッキリと聴きたいな〜」
期待した目で訴えてくる。
「あー、それは先の話でとりあえず置いとく。
とにかく、大事に使えよ?」
「は〜い」
「私も働きたいんだけど、保証人になってくれないかな?」
「戸籍とか住民票無いから働けないんじゃ?」
「任務中はマスターがチョコチョコっといじって、データ上戸籍があるんだよ、住民票確認してもらえれば判るよ」
半信半疑で市役所に住民票取りに行って見てみると・・・
ちゃんと戸籍があり、住民票も記載されていた。
この親戚って知らない名前なんだけど・・・
本当に市民権あるな、歳も19ってなってる。
あの二人の分は無い。
聴いたところ任務外とか野に下った者には適用されないのだとか。
世知辛い世の中だ。
「どこで働くんだ?コンビニ?それともウェイトレスとかの飲食店?」
「いや、それじゃいざという時に能力下ろせないでしょ。
川さんと一緒の職場がいいの」
「うちでか?
そりゃ人手不足なんで助かるけど、食品製造だぞ?
衛生面とか面倒な手続き踏んで中に入るの知ってて?」
「うん、出来れば同じ部署がいいんだけどね。
私、力はあるし川さんの仕事見てたから判っているつもり」
それで良ければ推薦するが大丈夫かな、まあなんとかなるか。
「判った、会社に面接の申請出しとくよ。
それから忘れている訳じゃないだろうけど、宴会に居たような若手とか独身が沢山いるから気をつけろよ」
あの時のメンツを思い出しているようで、ちょっと嫌な顔をしている。
「ちゃんと言っといてよね、変な事するなよって」
「そりゃ言っとくけど、若さ故の過ちってのは正当化してしまうもんだからな。
自分でも気を付けないとダメだぞ」
「うん、気を付ける」
それから3日後面接となった。
面接が終わり部屋から出てきた。
「どうだった?緊張したか?」
「うん、少しね。
結果は明日にでも連絡するって言われた」
そうなのか、思ったより早いんだな。
人事に聴いてもいいんだけど、明日まで待とう。
次の日に採用の連絡があり、必要な書類を受け取りに会社に行った。
というか、クリスはほぼ毎日来てますがね。
仕事は1週間後からとなり、それまでに出す書類等沢山あってちょっとびっくりした。
新卒で入った時、こんなに出したっけ?と思ってしまった。
今のご時世こんなものなのかもしれないと納得。
それから1週間、ついに初出勤となった。
同じ部署に配属になり、クリスは楽しそうだ。
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫だよ、伊達に仕事を見てたわけじゃないから」
本人が大丈夫っていうんだから暫く様子見るか。
「教導官は若手の奴がするから付いて廻るように。
宴会場で会った奴だ、覚えてるだろ」
「え~、川さんじゃないの?」
「俺は書類とかそっちの方が忙しくて現場にはあまり出てないんだよ、見てただろ?」
残念がっているクリスをよそに部下の森谷に紹介する。
「今日から入った新人のクリスだ、しばらく仕事を教えてやってくれ」
森谷はこの仕事に若い女の娘が入って来たことにびっくりしている。
「はあ、いいんですか?事務系じゃなくて」
確かに伝票処理系も忙しく、人手が足りないんだけど。
「当人がメンテやりたいって言ってるから、とりあえずやらせてみようと思ってな。
とりあえず指導してみてくれ」
「解りました、それでは改めてよろしく、クリスさん」
「よろしくお願いします、森谷さん」
仕事内容の大まかな説明を受け、現場をひと回りする為行ってしまった。
「大丈夫かな・・・」
思わず声に出てしまった。




