87 フラッシュバック
変な1日が終わり、就寝。
目を瞑っていると、思い出したくない記憶が蘇る。
いつものごとく、中学での授業風景。
だが、新たな記憶が追加されている。
生地の縫い方、方向を優しく教えてくれたクラスメイト。
顔はもう忘れてしまってるけど、なんで忘れていた?と思えるようにはっきりと記憶に残っている。
たったそれだけの思い出で救われたような気分となる。
そのあとも嫌な思い出を打ち消すように、クラスメイトの温かい言葉が付いてくる。
一枚一枚心の鎧を剥がすように気分が晴れてくるような感覚となってきた。
目を瞑っているのに涙がほ頬を伝うのが判るくらいに。
ふと、クリスが気づいて声を掛けてきた。
「川さん、起きてる?なんか悪夢でも見たの?」
「いや、深志の嫌な思い出がフラッシュバックしてたんだけど、いい思い出もあったみたいでね・・・」
今までの嫌な思い出と、今日になって忘れていた思い出のことを話してみせた。
クリスは黙って聴きながら頷き抱きしめてきた。
「良かったじゃない、人生まだ捨てたものじゃないってことだよ」
「うん、そうだな」
そういいながら、部屋の電気を消した。
しばらくの沈黙の後
「・・・こんな俺を好きになってくれてありがとう」
素直にそう言った。
「今俺って・・・一人称は『私』じゃなかったの?」
「ああもう偽るのはやめる事にする」
朝、ユウヤとサクラの顔が紅くなっていて、こちらと目を合わせてくれなかった。
部屋は隣なんで聴こえてたのだろう。
若手の二人には刺激が強かったのかな。
後でユウヤにはフォローしとかないと。
サクラには・・・クリスがフォローするだろうと思う。
フォローどころか加速させるかも知れないけど。
その時は・・・ユウヤ頑張れ!




