85 過去へ②
次はどこかな、結婚して数年って状態かな?
ああ、喧嘩かな、当然あるよね。
「なぜやってないんだ?」
「後でやるつもりだったからそこに置いといてよ」
「いや、昨日も同じこと言ってた。
今からやればいいだろ」
「後でやるんで」
「・・・判った、そっちがその気なら・・・・」
ガサガサ・ガタン・バン・・・
「お前もう要らないから出て行けよ、それとも俺が出て行けばいいのか?」
「・・・・」
すごい、黙ってテレビ見てる。
自分がなんで怒られているのか判んないのかな?
あっ!川さんがキレた。
「そうか、判ったお前の荷物捨てるわ」
そう言いながら窓から捨てまくっている。
ここで焦ったのか泣きながらやめてって叫んでる。
でも、何もしようとしない為更に続ける。
なんか表情がもう無くて冷たい目で。
途中でやめたらまた何事も無くテレビを見るんだろうな、前に思い出話しで聴いていたけど想像以上に酷いね。
そのうち泣きながら家に電話していた。
「何もしてないのに出て行けって言われているから帰る」
ああ、ここまで裏切られるともう無理だなぁ。
信用していたはずの嫁さんにもこの仕打ちなら納得行くよ。
それを私がとどめ刺しちゃったんだな、ごめんなさい、川さん。
そう言いながら後ろからそっと抱きつき、優しく囁く。
ごめんなさい、ごめんなさい。
もしやり直せるなら、貴方とずっと死ぬまで添い遂げたい。
だから戻ってきてよ、まだ話したいこと沢山あるの。
後半は涙を流しながら。
ここでまた暗転
次は・・・離婚後かな。
正月から台所で掃除している。
なんでこんな時期から?
そっと覗くと台所一杯の食器があった。
なっ!なんでこんなにたくさんあるの?
食器洗うだけで3時間程掛かり、更に冷蔵庫の中も全滅している為、ゴミの袋に入れまくっている。
そのまま一日中掃除を行ない、就寝。
次の日も同い事の繰り返しをやってる・・・・
こんな事を耐えて来たんだね、それでも腐って無かったのはまだ人を信じていたから。
それを裏切ってしまったのは私だよね。
もう私では無理かもしれない、癒す事は不可能かも・・・
でもまだ時間がある、私の温もりと願いが届くなら川さんを現実に戻せるなら最後まで抗いたい。
しかしどうやって?
思い出の中に私はまだいない、出会うのは先。
次に賭けるしかない、多分次が最後と思うから暗転を待とう。
その前に、後ろから私の温もりを感じて欲しいから、可能な限り隣にいる事にした。
ここで暗転。
ここは・・・出会って半年経ったくらいかな?
そうそう、一緒に困ってる人を探して片っ端から助けていた頃だね。
楽しかったなぁ。
いや、こんな事してる場合じゃ無いよね。
とりあえず私の体を借りて最後の思いを伝えよう。
「クリス、今日も困った人救えたな〜」
「・・・・・」
「どうした?」
「川さん、ちょっと話があるのですが」
「なんだよ改まって」
「今から大事なこと話しますので真剣に聴いてくださいね?」
「ああ、判ったよ」
「私は実はアンドロイドではありません。
地球に住んでいる古来種の妖精です。
3,000年前、種の戦いに敗れ今のマスター達に助けてもらったのです。
助けてもらった恩返しとしてマスター達に協力してますが、私達は人間になる事を願っています。
その方法を探していますが、今のところ判っていません。
ただ、最近になって一つの方法が見つかりました。
まだ確定では無く、あくまで可能性です。
私は人間になって川さんと添い遂げたい!
川さんのお嫁さんになって子供を産んで次に種を繋げて死んでいきたい。
だから私を信じて欲しい、私はあなたを愛してます。
このまま消滅する事になっても、今言った事は私の本心です。
だからお願い。戻ってきてまた私と一緒に生きて!」
「・・・・・クリスありがとう、なんか昔から知ってるような出会っているような感覚だなぁ。
なんか今までの思いが報われる感じがする、こんな自分を許し添い遂げても良いのかなぁ。
クリスと一緒に残りの人生を生きてもいいのかな、いや生きたいなぁ。
なあ、クリス俺と一緒に・・・・」
ここで暗転した。




