70 成り行きとドレスと・・・
「で、なんなんです?」
クリスはちょっとおかんむりだ。
「クリスそんなに怒らなくてもいいじゃないか?
すぐに詫びてるんだし、訳ぐらい聴こうよ、な?」
まだ期限が悪そうだけどしぶしぶ同意した。
今この場にいるのは新郎、新郎両親、新婦両親、式場スタッフだ。
「で、なんでクリスに?」
タキシードの男は話し始めた。
「私は山本って言います。実は、今日披露宴なんです。
3時間前に一緒に式場に入ったんですが、式の1時間近く前になっても姿を出さないんでおかしいと思って控室に見に行ったら、行方が分かんなくなっていて、向こうの両親も探していたんです。
それで玄関辺りを見に行くとちょうど紗季に似た女性がいたので思わず・・・」
いくら焦ってたとは言っても嫁さんにする人を間違えるか?普通。
そんな疑問を投げかけると、
「いや、紗季とそっくりなんですよ。
近づいてじっと見るまで別人と思わなくて・・・
あ、写メあります」
そう言って見せてもらうと、確かにそっくりだった。
「しかし、結婚するんだから20歳過ぎでしょ?クリスは今年19なんだけど?」
「えっ・・・19?・・・確かに若い・・・
紗季は25歳です、というかそのまま若くした状態でびっくりしてます、大学時代からの付き合いでしたので」
そうか、そっくりなのか。
それなら間違えるのも納得だ、クリスも納得している。
「そうだったんですか、でも相手が行方をくらませているんじゃ気の毒ですが中止ですよね?
心中お察ししますよ」
そういいながら席を立とうとしたところ・・・
「待って下さい、そのことでお願いがあります」
向こうの関係者が全員立ち上がった。
なんか嫌な予感しかしない・・・
「何でしょうか?」
なんとなく判りきった言葉を発する。
「紗季の替え玉をやってもらえないでしょうか?
このままでは中止しないといけません」
「皆さんに事情を話して中止にした方が良いのではないですか?」
私は極自然の提案をする。
「お恥ずかしい話なんですが、会社の上司等呼んでいる手前そうもいかず、中止すると相当まずい事になります。
山本家の名に泥を塗る事にもなりますので式だけは行わないといけないのです。
こちらの都合ばかり申し上げて申し訳ありません」
親族一同頭を下げている。
これどうしようか、すごい断り辛い展開なんだけど。
「う〜〜ん、でもな〜〜」
と、葛藤していると
「自分の彼女が他の男と式に並ぶのは、すごく嫌な事だと重々承知しておりますが、十分な御礼も致しますので助けていた・・・」
「!!!カップルに見えますか?」
クリスが食いついた。
「「「「「え・・・?」」」」」
「いや、だから私と川さんがカップルに見えたんですか?」
言われている事が理解出来ないまま
「ええ、そうなんじゃないんですか?
もし親子だったら失礼をお詫びい・・・」
「いえ、付き合ってます!」
ああ、これはやる展開だな遠くを見つめてしまった。
「それで話を戻させて頂きたいんですが、なんとかお願い出来ませんでしょうか?」
もう答えは確定していると思うけど念のため
「クリス、人助けと思ってやってみるかい?
嫌なら無理にとは言わないし断るから」
新郎達は青ざめている。
「替え玉やって良いならやります」
そうだよね〜
「そういう事なので、ご協力致します。
時間ももう無いでしょうから直ぐに準備を進めて下さい」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
クリスは準備のためスタッフに連れられて行ってしまった。
こちらは確認しとかないといけない事がある。
「式ってどの形式ですか?神前?・教会?・人前?」
「あ〜〜っ、すいません教会です・・・」
あちゃ〜どうしようか。
「ちょっとクリスに確認をした方がいいですね、いきなり本番だと・・・殴られますよ?」
慌てて新郎新婦の母親が走って行った。
着替え中なので。
こちらは念話にてクリスに話をしておいたが、対価を払う事で了承してくれた・・・・あぁ。
着替えが終わり、関係者一同集合。
ドレスを着たクリスはとても綺麗で見とれてしまった。
似合う?って問いかけるように回転して見せてくれた。
なんか泣いてしまいそうになった。
最終確認で新婦両親が近くに寄ってやっと別人と判断出来るくらいなんでバレる事は無いだろう。
式の段取り等確認した所で残り10分を切った。
もうついでだから三人で教会式に参加する事に。
上手くいくことを願う、クリス頼むから誓いの口付けの時に殴るなよ?




