37 帰り道と買い物と
落ち着いたので察署を出た。
クリスは何も言わない、話しかけるのを待っていてくれている。
「あのさっきは・・・」
「私はリタイヤするまで離れませんよ、没収ならお別れですけどね」
「ああ、そうだったな。リタイヤするまで一緒だったな、悪いちょっと忘れてた。
・・・ありがと」
最後の言葉は小さく言った、聴こえてたら恥ずかしい。
「じゃあ、まだ時間あるし明日も休みだし買い物行くか?
欲しいのあるんだろ?」
解ってるんだよ、という口ぶりで言ってみたけどノープランだ。
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・服が欲しいです。
タンスの中身、下着しかないので」
おお、答えがあったんだ、助かった。
「じゃあ、小戸のアウトレットへ行くか」
アウトレット着いて早速服を見始める。
娘に付いてきた親父の気持ちと顔で一緒に廻る、平常心を心掛ける。
一軒一軒廻って選びまくっているのを見ると、人間と変わらんなと思う。
いつの間にか手提げ袋が4つになっていた、まだ見るんかい・・・
そのうち、靴・帽子・バックにも目が行くようになっていた。
そっちもあったか、盲点だったよ。
袋が5つになった時点で、なんか訴えるような眼と顔になったんで黙って頷いた所、加速した。
結局、一回車に戻って荷物置いてまた廻るという、世の中の親父だと最悪なパターンとなってしまった。
万札が二桁いったよ、女性服恐るべし。
貴金属にまだ目が行ってないんで助かった。
一息着いたところで遅めの昼食、すごい笑顔で食べてた。
暫く食事を進めていると、ある一点を見つめているのに気付いた。
そちらを見ると、若いカップル(見合い?)が談笑している。
他と違うのは女性が着物を着ているということだ。
羨ましいのかな?
「もう服の買いものが無いなら着替えたら?車の中だったらバレないだろ?」
そう提案すると、嬉しそうに
「じゃあ、着替えます。一通りデータ持ってますから瞬時に変えられます」
「いや、社内で10分待ってから出た方がいい、誰に見られているか判んないし」
「了解です」
食事が終わって一度車に乗り込んだ。
一応、社外で待つことにした。
一瞬で終わるとはいえなんかまずいかなと。
打合せ通り10分程で出てきたクリスは着物で靴も飾りも付けていた。
「ばっちりだな、とてもかわいいよクリス」
回転とかしているから照れ隠しなんだろうか。
「じゃあ、廻りましょうか、デートですね!」
言われるがまま景色のいいところを歩いて廻った。
・・・周りの視線が痛い、なんか刺さる感じだ。
イケてる同士なら羨望の眼差しなんだろうが、、、なんかお前は邪魔だと言われてるような感じ。
いかん、耐えられん・・・けど離れたら確実に餌食となる、、、ナンパ男の方が。
騒ぎを起こすわけにもいかんので提案をした。
「観覧車乗らない?」
「はい、もちろん乗ります」
一周12分くらいなんでゆっくり喋れて視線も感じなくなるかな。
観覧車に乗り込んで暫く景色を堪能していた。
「さっきはいきなり抱き着いてゴメンな・・・」
ぼそっと言った。
「何時でもウェルカムですよ、川さんなら慰めてあげれますよ?」
「やっぱりいい女だな」
「今頃気づいたんですか?遅過ぎます!」
目が合い、それから笑いあった。
観覧車の1週分が終わりまたしばらく歩くことに、タフだねクリス。
やはりクリスへの目線がすごい、可愛さに+着物だから更に倍増だ。
男より女性の方が振り返る率高いな3:7くらい。
ここでちょっとトイレへ。
意外と人が多いから変な事する奴はいないだろうと2~3分離れた。
用を足して戻ってみると、、、女性に囲まれていた・・・別の意味で大変なことになってる。
着物の素材とか着付けは何処でとか貸衣装の値段等々、ガールズトークというATフィールドを侵食出来ん!
嵐が収まるまで待つことを念話で伝え、終わったら呼び出すように指示。
と思ってたら嵐は暴風になってしまってた。
外人さんが・・・群がってた、着物が珍しいのと可愛いのと景色がいいのと混ざり合って。
仕方なしにクリスと一緒に写真撮らせて、私がカメラマンやってある程度人が少なくなった所で離脱した。
さすがに疲れたんで次からは気を付けよう。
クリスは楽しそうだったけど。
「着物は堪能したかい?」
「はい、川さんはどうでしたか?私の着物は」
「もちろん、眼福だったよ」
「帰ったら買った服のお披露目もありますからね、まだまだ続きますよ」
えっ、今日着るの?
今日は寝るの遅くなるな・・・




