34 続・災難の後2
時は少し遡る
横断歩道を渡っていると後ろからいきなり突き飛ばされた。
えっ!?
そう思った瞬間、川さんが車に跳ね・・・られた!
「なっ!!川さん!」
すでに意識無しで動かなくなっている。
「誰か救急車を呼んで!」
近くの男性が連絡してくれている、車はすぐに停止したけど運転手は呆然としているのが見えた。
今はそんな事よりも川さんの状態確認が優先だ。
しばらくすると救急車が到達。
跳ねた車の人はまだボーッと突っ立っている。
こちらは無視して救急車に一緒に乗り込んだ。
その内警察が来て対処してくれるだろう。
とにかく川さんの方が大事なんで後回しだ。
病院に着いて集中治療室へ運び込まれた。
心電図と酸素マスクを付けられて絶対安静状態になった。
面会も部屋に留まる事も基本的にダメなんで不可視状態でずっと傍に付いていた。
右手と心臓に顔と手を当て温もりを送るように、そして祈るように。
それでも足りないかも知れない、死んじゃうかも知れない、そう考えて生命力を送ることに。
妖精族に伝わる術式で、生命力を分け与える事が出来る代わりに寿命が縮んでしまうんだけど、相手は人間だから持って行かれるのはほんの僅かだ。
過去、この術式を他種族に行った者はいないからどんな副作用が出るか判らないけれど、そんな事言ってられないよね。
この人が大事だから助けたい。
”今やらないでいつやると言うのだ“
川さんがよく言っていたセリフだ。
覚悟を決め、戻って来てと祈りつつ口づけをし生命力を注入した。
それから丸一日経過し容態が安定したので個室に移されて様子見となった。
ここでは身内なら入れるんで可視モードで付き添ってる。
意識が戻り目を覚ました後、入院手続きとかあって大変だったけどなんとか回復しているようで安堵したよ。
それから病院内の患者を調べて、治せる人達のピックアップを行い回復させていった。
一日最大10人が限界なので、人が良さそうな患者さんを優先にした。
態度・マナー悪い人、自己中っぽい人、退院近い人、タバコ吸う人は除外したよ。
回復といっても、一段階の回復処置なんでまだ入院が必要とは思うけれど、痛みの緩和と入院日数の短縮が出来てるから儲けものだよ。
相手は知らない事だけどね。
自分自身に回復を掛けないところもまた・・・天然なんだよね、川さんは。
最終日、初めての召喚、といっても精霊ではなく人の魂を呼び出し可視化したんだけど、こんな使い方 で人を救えるのかと思っちゃったよ。
多分だけど、この人は修行すれば精霊も呼び出せるんじゃないかな、微かに残る痕跡を集めればだけど。
二人を見送った川さんの
「人ってこんなもんだよ、残虐なのか優しいのか解らん生き物だ・・・・」
の言葉はまだよく解んない、矛盾する生き方も人の魅力なのかな、やっぱり人間になりたいな。
そして川さんと一緒に歳を取って行きたい。
最終の精密検査が終わり、明日には退院だ〜と喜んでたところに爆弾発言が。
若返った気がする発言、、、、
その前の夢に出て来た話しもまずい、精神が少しシンクロしてるのかも知れない。
厨二病って自虐ネタにしてくれているから誤魔化せるけど、これが続くようだと何か対策を考えないと。
生命力を渡した時に注入し過ぎたかも?やり過ぎ?
今のところ変な副作用が出ている訳じゃないみたいだからいいけど、当人がはっきりと違いが判るのならば多分、30歳近くまで体の細胞組織が若返ってるかも知れない。
私はその程度ならほとんど寿命は縮まってないからいいのだけれど。
回復したばっかりで感覚がおかしいという事で納得したみたいだけど、本当に気のせいかも知れないから暫くスルーしよう。
冷や汗かいているのがバレないようにするのが精一杯だった。




