33 続・災難の後
夜ベッドに横になりながら、事故から目醒る直前まで夢を見ていた内容をクリスに話した。
「すごい厨二病っぽい夢だろ?、人に言うのはちょっと恥ずかしくてさ」
笑いながら話していると、クリスは黙って聴いていた。
「あれ?どうしたん?そこは笑ってくれんと」
・・・??、話題を変えるか。
「あの時さ、どうなっているか判らない時に心臓と手が暖かかったんだよね。
クリスが傍に付いていてくれていたんだろ?手と心臓に手を置いていてくれたんだろ?」
「はい、必死でしたから」
やはりそうか、その暖かさで戻ってこれたと思ってる。
「ありがとうなクリス」
「いえ、私の方こそ助けてもらって感謝してます」
「それじゃお互い様だな、ははっ」
そのまま二人とも自然に眠ってしまった。
次の日、朝飯食べて検診受けてから実行に移した。
「あの人か?」
「はい、寝たきりになってて、ここ数日が峠らしいです」
ベッドの周りには娘と孫らしき人が数人いる。
おそらく最後だからだろう、明日はもう話出来ないかもしれないと言うことか。
それじゃやるか
「クリス、後衛・召喚士承認よろしく」
「了解、承認降ろします」
さて、降ろしてもらったのはいいんだけど、どうやってやるのだろうか。
「イメージ力ですからポーズ決めは何でもいいのではないでしょうか?」
「それもそうか」
それじゃ相手の名前を確認して・・・加藤マキエさんか、よし。
「召喚!加藤マキエ氏の思い人よ我の呼びかけに答えよ。
望みに答えられたし」
・・・しばらくすると小さい魔法陣っぽい円が出て下から旧陸軍?の軍服を着た兵隊が現れた。
!!っとなっているとこちら近づき会釈をしてきた。
「ありがとう、暗闇から出てこれたのは貴様のおかげだ、感謝する。
我が妻の最後に立ち会える事が出来る、ありがとう」
そう言いながら歳を取ってしまった妻のもとへ。
夫に気付いたマキエさんは懐かしむように微笑み、二人で喋っているようだ。
他の人には独り言にしか聴こえていない。
30分程経っただろうか、兵隊さんがこちらを向き最敬礼をしたと思ったら病室がざわつき始めた。
多分御臨終なのだろう、その証拠に兵隊さんの隣に若い女性が幸せそうに立っている。
多分、加藤マキエさんなのだろう。
そのまま空に上がり消えていった。
消え際に二人の声がしたような気がした「ありがとう」と。
それを見届けて病室から離れた。
クリスは少し目が赤かった、泣きそうなのを我慢しているのだろう。
「人ってこんなもんだよ、残虐なのか優しいのか解らん生き物だ。
クリスのマスターが言った通り、こんなんじゃ地球外知的生命体の仲間に入れてもらえるのは先かもな。
今だに戦争している人種なんてさ」
「それでも人を信じたいと思ってますよ、私たちは」
そう思ってもらっていることが救いなのかもしれないな。
「もう、これ関係の患者さんはいないのかな?」
それならばと異能力解除してもらった。
あと一回、最大5人まで回復させられるな。
よし、昼飯食ってからまた巡回するか。
昼飯食って午後の検診をクリアしてまた病室巡回中
後衛・銃士、僧侶の組み合わせと不可視状態で降ろしてもらい、おそらく最後だ。
この後、一時間後に最終の精密検査が待っている。
立て続けに5人に回復弾を撃ち込み異能力解除。
ついでに前日に撃ち込んだ人たちは見た目だけど一段階回復しているようだった。
それはそれで良かったんだけどね。
そして精密検査へGO、滞りなくチェックが済んで異状ないことを告げられた。
明日昼前に退院の予定。
今日で病院のベッドとお別れだ、良かったよ。
そういえば気になることがある。
事故から目が覚めた後、体が軽いというか若返ったような気がするんだよな。
「クリス、なんか体が若返ったような気がするんだけど、なんかしてくれたのかい?」
「前にも言った通りマスター達は介入しませんよ、観察しているだけです」
そうだよな、事故って感覚がちょっと狂ってるだけかな?数日経てばまた戻るだろう。
私はここでクリスが冷や汗っぽいのを出していたのを見逃していた。




