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27 選択(クリス編)

川さん達が別室へ移動して行った。

私はマスターと二人きりとなり、最終意思確認を受けることに。

会話を聴かれるとまずい事もあるので音声認証阻害電波もかけてある。

そんなことしたらどうなるか判らないはずはないとは思うが念のためである。


「マスターお久しぶりです」

「ああ、任務は順調なようだな。

そしておめでとう、実験体がレベル5になった為、願い事を一つ叶えて自由の身になれるがどうする?」

私は前から考えていた答えを告げる。

「私は川さんの生き方をもう少し見てみたいのでリタイヤするまでこの仕事を続けます。

その後に自由の身になりたいと思います」

「そうか、続けるか。お前がそう望んだのならそれでいい。

それと、お前の秘密は漏洩していないだろうな?そうなると今回の事はリセットしなければならなくなるぞ?」

「はい、それは大丈夫です、漏れておりませんし私のことはアンドロイドだと信じております」

「そうか、それならば任務完了だ」

最終意思確認はこれで終了した。


「あの・・・マスター、世界に散って行った仲間達なんですが、その後人間になった者はいるのでしょうか?」

「いや、その報告はまだ受けていない。まだ一生懸命探しているようだ。

もし見つけていたら情報公開をすでにしているだろう。

お前はいいのか?仲間の所に行かなくて。

意思確認は済んだから蒸し返すのはマナー違反だとは思うが」

やはりまだ発見出来ていないのか、仲間には申し訳ないけど私は・・・

「はい、あと30年くらい遅れて合流しようと思います。

みんなには申し訳ないですけれど」


そろそろ人間達の話が佳境に入ると思われる頃、マスターよりある事が告げられた。

「今、お前の監視対象がレベル5になった褒美として、財・名誉・その他準ずる物をもらって引退するか

このまま続けるかの選択を迫られている、この国の政府からな」

「えっ?そんなこと告げるのは聴いてないですが?」

初耳だった、というか機密事項ではなかったの?

「これは試練なのだ、目先の利益を断ればそのまま任務続行。

欲に眩んで財・名誉・その他準ずる物をもらい引退するならお前とお別れとなる。

この場合は別のエリアでまた任務に就いてもらうか、そのまま自由の身になるかどっちかを選べ」

そんなことになってたの?最悪の場合お別れか・・・

「試練にしてはちょっと厳しいですね・・・」

「我々が地球人類を仲間に加える為にはこのくらいの試練は乗り越えてもらいたいのだ。

それに、正解を選択した場合には・・・お互いに後々メリットになる様に考えてある。

この場合の正解とは・・・解るな?」

「はい、でも川さんなら・・・正解を選ぶと思います。

一年程ですが近くで見てきましたので」

「そうか、ならば自分が信じた監視対象を最後まで見守れ」

そう言いながらマスターはちょっと嬉しそうな顔をしているように見えた。


そろそろ結論が出そうだ、待合室に向かうぞ。

待合室に入ったところ、まだ川さん達人間側は来ていなかった。

「しばらく待つか、座って待っているとしよう」

促されて私も着席した。

「No107、もし現れなかったらどうするつもりだ?」

「その時は自由の身になって先に散って行った仲間を探して合流します。

ついでにいい男見つけて一緒に生きていきます」

「そうか、もし考えが変わったら戻って来てもいいんだぞ?

今回のお前の功績は高く評価しているんだ」

そう評価されていたの?私は。でも・・・

「あれは川さんの人間性が良かっただけです、私の功績ではありません。

それにあれ以上の実験体に出会えるとは暫くは思えませんので戻るという選択肢はありません」

きっぱりと断った、自分でも信じられないくらいにはっきりと。

「信じているんだな監視対象を。

人間とはそこまでの価値があるということか」

背もたれに寄りかかり暫く目を閉じていた。


そしてその直後、待合室の扉がノックされて人間側が入って来た。


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