26 選択(川田編)
別室にて・・・
「それでは改めて説明をさせて頂きます。
私、山口がこのプロジェクトの責任者です、そして横にいる高知がサポート役として付いていてくれています」
「高知です。
お気づきかもしれませんが私も異能力者で今のレベルは川田さんと同じ5です」
そうだろうなとは思っていたけど、実際に国の機関にいるとはな。
能力を買われて入ったのか、元々公務員だったのかは判らんけど。
「そうなんですか、それでは私の異能力もバレバレなんでしょうね?」
「いえ、判りません、そこはシークレットとなっておりますから。
もちろん、聴いても彼らは教えてくれませんが、その国に何人いるかだけは教えてもらえます。
それと異能力者の取り扱いマニュアルの注意事項㊙︎の部分で接触した場合の禁則事項等書いてあります」
そうなんだ、意外と秘密は守られてるんだ。
三つ程質問したい事を告げてみることにした。
「今日本に何人いるんですか?」
「今日現在、13人です。勿論何処にいるかまでは判りません」
へえ、そうなんだ、1年前より増えたな。
「異能力者の取り扱いマニュアルってなんです?」
「今回レベル5になった人への接触及び今後の選択意思の確認、我々からの最初で最後のお願いが出来るってことです。
それ以外では故意的な接触は禁じられています。これは全世界共通です。
禁則事情満載なんでこれ以上は言えません」
実験体と監視者に対してこれからの意思確認のための必須事項ってのがこれか。
「最後に、なぜ私の居場所を知っているのですか?クリスから聴いたのでしょうか?」
「それに関しては、彼らは何も教えてくれません。あくまで監視役ですので。
それでは何故か?それはここにいる高知の異能力に関係がありますので当人から説明させます」
高知君が話し始める。
「私の異能力は、サーチです。
特定の能力者か探し物・人をピンポイントで捜索出来ます。
例えば行方不明者・犯罪者・そして異能力者とかです」
ある意味こんな奴が警察&国家機関にいるのは心強いというか恐ろしいというか。
「それで居場所がバレバレだったわけですね、納得しました」
これで疑問に思った事はだいたい聴けた。
「それじゃ本題に入りたいと思います。
我々からの最初で最後のお願いが出来るって申しましたけれど覚えてますか?」
「もちろん覚えてますよ、何でしょうかお願いって?」
山口氏が姿勢を正してあることを告げる
「実験体がレベル5になると我々から接触出来、一回だけ交渉が出来るのです。
単刀直入に申し上げます、その異能力を我々に譲ってもらえないでしょうか?」
一瞬、何言われているか判んなかった。
そのまま10秒ほどフリーズしてたかな、実際は数秒だったのかもしれない。
「何を言ってるのでしょうか?そんなこと出来るとは聴いておりませんが?」
「もちろん、これは最重要秘密事項ですので一部の者しか知らないことです、サポートアンドロイドも知らないハズですし、今現在別部屋で話を聴いている頃だと思います」
そうかクリスも知らないのか、ちょっと安心?した。
「譲って頂ければお礼は致します。
現金だと数億ですが用意出来、失礼ながらクリスと呼んでいたアンドロイドに似た女性を紹介することも出来ますよ、その他可能な願いは出来るだけ叶えさせて頂きますがどうでしょうか?」
「譲るとは例えば誰か任意の人間に渡せるという事でしょうか?
クリスも一緒に」
「そうです、但し異能力は新規に再設定となり細かい事情を知らない誰かになります。
この場合は我々の組織の誰かに、そして異能力を無くしたあなたは記憶を無くします。
代わりに財と名誉、それに準ずる価値と引き換えとさせて頂きます、悪い話では無いと思いますよ」
しばらく目を瞑って考えてみた。
この一年つまらない人生の中でどんなに充実していたか。
娘が出来たようでどんなに心が安らいだか。
それを数億のお金?クリスに似た人をあてがう?その他可能な願い?
・・・無理だな、お金には代えられないよな、やっぱり。
たっぷり自問自答した後、口を開いた。
「すいません、異能力は渡せません。
今のままでクリスと一緒にいたいし、まだやれる事やりたい事沢山あります。
お金や欲しいものは自分で働いて稼ぎますので辞退させてもらいます」
黙って聴いていた山口氏が口を開いた。
「これが最初で最後のチャンスなんですよ?望めば財や名誉が確実に手に入るのに放棄するのですか?」
「私には今のクリスとの生活が一番の望みですので」
「判りました、それでは最終意思確認として辞退するということでいいんですね?」
「はい、辞退という最終意思表示でいいです」
ここで場の空気が凍ると思っていたら、一挙に緊張の糸が解れた状態となった。
・・・・??・・・なんで?
結論が出ましたので、待合室に移動となった。




