24 レベル5
ついに来た~!?
私クリスは平常心を保ちながら心の中で飛び上がるくらいに喜んでいた。
あぁ、これで何時でも辞める事が出来る〜
願い事1個叶えてもらって自由の身になれるよ。
何がいいかな〜〜・・・・・あれっ?
なんか引っかかるものがあり、しばらく考えてみることにした。
私だって女だし同胞の中には男もいる。
種の存続の為に伴侶も欲しい。
けど、、、けど、、、、今の生活も捨て難い?のかな。
時間制限の概念が無い私たちにはまだ判らない感情だ。
1年ちょいの中で私の意識は変わってしまったのかもしれない。
最初はさっさと資格ゲットして自由を勝ち取るんだと思ってたけどもう暫く縁を大事にしようかな。
どうせ後30年くらいで御役御免になるし、この人の生き方を見てみるのも良いかもしれない。
将来、人間になった時の参考になるかもしれないし。
「クリス?どうしたんだ?大丈夫か」
川さんの声で我に返った。
「どうしたん?心ここにあらずだったぞ?
もしかして通信してたのか?」
心配して声を掛けてくれた川さんに何でもない事を告げひと段落。
「これでレベル5か〜キリの良い数字だから、なんかサプライズ的な通達とかあるのかな?」
「いや、多分何も無いと思います」
「そうなのかい?それは残念だな」
間を入れず
「それはいいんだけど、クリスの評価とかは上がらないのかい?」
「私の評価ですか?いえ、そんなのはありませんが・・・」
一瞬、!となってしまった、なんか感づいていると思っちゃったけど、気のせいかもしれないんでそれとなく聴いてみることにした。
「川さん、なぜそんな事を?」
「何故って監視役だろ?今回の件は人間の感覚で言えば・・・
『私の指導が良かったから、こんなに優秀な成績を修められました。今度のボーナス&出世査定は評価高いですよね?』
って言うパターンだからさ。
アンドロイドとはいえ、この先長い年月前線に出っ放しよりも基地で仲間の仕事を見ていた方がいいに決まってるよな?」
・・・もしかしてその為に人助けしてたのだろうか?この人。
引退するまでの期間、人間としては多分10~20年ぐらいかな、異能力をたまたま偶然にもらった相手に対してそんなことをする?
それもアンドロイドって思ってる相手に恩を返すような事をするのだろうか。
仲間との情報交換ではそんな事例聴いたこと無かった、悪いことはしないけど評価が落ちないように時々慈善活動をするぐらい。
この一年を振り返り記録も閲覧してみた。
確かに全部他人の為にしか異能力使ってない、本人が怪我した時も勿体ないからって。
それは全部私の為?レベルアップして出世させる為?
いや、結果的には願いの半分は叶ったけど。
でも、その場合はお別れとなるって可能性も想定済だったのかな?
「出世したら川さんと別れる事になってたかも知れないんですよ?それでも良かったんですか?」
「それは寂しいけど、仕方ないと思うよ。
日本人にはね、『義には義を返す』っていう考えがあるんだ」
「『義には義を』ですか?どんな意味です?」
「『人から恩を受けたら、その恩はその人が困った時には真っ先に返す』ってこと。
クリスは任務を全うしているだけのかも知れないけど、私の中ではつまらない人生を面白くしてくれ、おまけに一緒にいてくれる、これだけで義を返すには十分な理由だよ。
もう廃れてしまった生き様かもしれないけど」
「もしそうだったとしても、その時は記憶消されるんだろ?最初から無かった事になるのならそれでもいいかと思ってたけど、そういうフラグが無いと判って安心したよ。
ちょっとドキドキしてた」
私は我慢出来ずにいた、アンドロイドが涙を流すわけにはいかない、決して。
それでも我慢して平常心を保とうとしていたけど限界だった。
これが人の優しさなのだろうかと思ったらどうしようもなくなっていた。
それを察知したのかどうか判んないけれど、川さんがトイレに行くって車を降りまた店に入って行った。
正直助かった、秘密がバレるかもしれないと思った。
しかし、これで私の決心はついた。
あの人が引退するまで一緒にいよう、レベルもどのくらい上がるか判んないけれど全てを見守ってから仲間と合流しよう。
決意を固めた頃に川さんが返ってきた。
「さあ、帰ろうか」
「はい、わが家へ帰りましょう!」




