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アーネム戦記  作者: Tanu1016
第二章 第三次コスタ戦役

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余話 アムルとエルのお仕事

アムル&エル

挿絵(By みてみん)




余話 


 朝のチル湖は静かだった。


 風は弱く、水面には小さな波がゆっくりと広がっている。


 湖岸から少し突き出した岩場に、二人の男が並んで座っていた。


 一人はアムル=ドゥットゥカース。


 もう一人は、禿げあがった額。残った白髪混じりの髪を無造作に後ろへ流した老人だった。


 二人とも釣竿を握り、湖面に浮かぶ小さな浮きを眺めている。


「動かないなぁ」


 アムルが呟いた。


「当たり前じゃ」


 隣の老人が鼻で笑う。


「お前さんは竿の入れ方からして雑なんじゃ。そんなところに落として何が釣れる」


「昨日はここで釣れたんだけど」


「昨日と今日で風が同じか?」


「違う」


「水の流れは?」


「違う」


「なら昨日と同じところに入れる馬鹿がおるか」


「……爺さん、朝から厳しいなぁ」


「魚はお前さんの都合に合わせてくれんからの」


 老人はそう言うと、自分の竿をわずかに動かした。


 少しして浮きが沈む。


「ほれ」


「あ」


 老人が竿を上げる。


 銀色の魚――パクーが水面から飛び出した。


「また爺さんか」


「腕の差じゃな」


「場所じゃない?」


「なら代わってやろうか?」


「……いや、いい」


「負けるのが怖いか」


「そういう言い方する?」


 老人が笑う。


 アムルは不満そうに餌を付け直した。


 この老人と知り合ったのは、いつだっただろうか。


 気がつけばこの辺りで顔を合わせるようになり、気がつけば釣りを教えられていた。


 老人も老人で、アムルがパドゥーラ侯爵であることなど気にもしていない。


 アムルにとっては、それが楽だった。


「今日こそ爺さんより釣るから」


「毎回聞いとる」


「今日は違う」


「前回も聞いた」


「……今日は本当に違う」


「アム」


「うん?」


 聞き慣れた声が背後からした。


 アムルの動きが止まる。


 老人が横目でアムルを見る。


「迎えじゃないか?」


「……たぶん」


 アムルが振り返った。


 湖岸に一頭の馬が止まっている。


 その上から銀髪の少女がこちらを見ていた。


 エル=リージェットだった。


「やっぱりここにいた」


 エルは馬から軽やかに降りると、手綱を引きながら二人のところまで歩いてきた。


「おはよう、エル」


「おはよう。市庁舎にいないから探したんだよ」


「今日は休み」


「違うよ」


「……違うの?」


「視察」


「聞いてない」


「先週、言ったよ」


「覚えてない」


「聞いてなかったんでしょ」


「たぶん」


 エルは呆れたように息を吐いた。


 そこでようやく、アムルの隣に座っている老人に気づく。


「ところで……誰?」


 老人が答えた。


「この下手くその師匠じゃ」


「酷いなぁ」


「事実じゃ」


 エルは少し驚いたように老人を見た。


「アムに釣りの師匠がいたんだ」


「儂は弟子にした覚えはないがな」


「俺も弟子になった覚えないよ」


「なら下手くその知り合いでいい」


「悪化してない?」


 老人はアムルを無視してエルを見る。


「ところで、お前さんは誰じゃ?」


「あっ、すいません。申し遅れました」


 エルは小さく頭を下げた。


「エル=リージェットと言います」


 老人の眉が、ほんのわずかに動いた。


 エル=リージェット。


 ――あのモンドの娘か。


 老人はしばらくエルを見た。


 だが、それ以上のことは口にしなかった。


「えらい礼儀正しいお嬢さんじゃな。気に入った」


「ありがとうございます」


「それで、こいつに用があるんじゃろ?」


「あっ、すいません。その子を呼びに来ました」


「そうか」


 老人は再び湖へ顔を向けた。


「なら連れていけ。下手くそがおると魚が逃げるだけじゃ」


「酷いなぁ」


「ほれ、さっさと行け」


 アムルは渋々釣竿を片付け始めた。


「はぁ……視察かぁ」


「侯爵がいるってだけで役に立つ仕事。だから来て」


「俺、何もしなくていい?」


「ちゃんと話は聞いてね」


「それは仕事じゃん」


「仕事だよ」


「騙された」


「騙してないよ」


 釣具をまとめたアムルは立ち上がる。


 そしてエルの連れてきた馬を見た。


 一頭。


「……エル」


「なに?」


「俺の馬は?」


「連れてきてないよ?」


「どうやって行くの?」


 エルは不思議そうな顔をした。


「一緒に乗ればいいでしょ?」


「最初からそのつもりだった?」


「うん」


「そうですか……」


 アムルが諦めた。


 エルが先に馬へ乗る。


 続いてアムルがその後ろへ乗った。


「ちゃんと掴まってね」


「はいはい」


 アムルがエルの腰へ腕を回す。


 エルの優しい匂いが鼻孔をくすぐる。


 エルは手綱を握った。


「じゃあ行こっか」


 エルが馬を進ませる。


 老人は二人の背中を黙って見送っていた。


「……モンドの娘、か」


 やがて小さく呟く。


「妙な娘に育ったもんじゃ」


 老人――コンラートは再び湖へ釣り糸を垂らした。


     ◇


 最初の視察先は、パドゥーラ市街から少し離れたところに造られた学校だった。


 校庭へ馬が入る。


 先に気づいたのは子供たちだった。


「あっ!」


 一人の少女が声を上げる。


「エル様だ!」


 その声で、一斉に子供たちが振り返った。


「ほんとだ!」


「エル様!」


「本物だ!」


「本当に天使みたい!」


「こんにちは」


 エルは馬上から笑って手を振った。


 歓声が上がる。


 その後ろでアムルがぼそりと言った。


「人気あるなぁ」


「アムも手振ったら?」


「俺?」


 アムルも一応手を振ってみる。


 反応は薄い。


 むしろ子供たちは首を傾げた。


「……誰?」


「エル様の後ろにいるお兄ちゃん誰?」


「知らない」


「護衛?」


「護衛がエル様と同じ馬に乗る?」


「護衛ならもっと強そうな人だよ」


「聞こえてるぞ」


 アムルが言った。


 エルが笑いながら馬を止める。


 二人が降りると、子供たちはすぐにエルの周囲へ集まった。


「エル様、こんにちは!」


「こんにちは。ちゃんと勉強してる?」


「してる!」


「僕も!」


「ほんとかなぁ?」


 エルが子供たちと話している。


 その少し後ろにアムルが立っていた。


 子供たちの視線が時折アムルへ向く。


「ねえ」


「なに?」


「あのお兄ちゃん、エル様の恋人じゃない?」


「えっ?」


「そうなの?」


「聞いたことある」


「じゃあ、侯爵様?」


 ひそひそ声のつもりらしい。


 だが、全部聞こえている。


「こんな凡人が?」


「なんで?」


「おかしいよ」


「きっとエル様を騙したんだ」


「そうだよ!」


「レミーラの人が、ペテン師って呼んでるって聞いたことある!」


「じゃあ本当に騙したんだ!」


「エル様かわいそう」


「……おい」


 アムルが口を挟んだ。


「君たち、ひそひそ話って知ってる?」


 子供たちが一斉にアムルを見る。


 一人が聞いた。


「エル様を騙したんですか?」


「騙してないよ」


「でもペテン師なんでしょ?」


「それは……」


 アムルが言葉に詰まった。


 まったく身に覚えがないわけではない。


「ほら!」


「やっぱり!」


「エル様!」


「違う違う!」


 さすがにエルが割って入った。


「私はアムに騙されてないよ」


 子供たちがエルを見る。


 一人の少女が真剣な顔で言った。


「でも騙されてる人って、自分が騙されてるって分からないんだよ」


「……あ」


 エルが少し考える。


「それもそうだね」


「エル!?」


 子供たちが騒ぐ。


「やっぱり騙されてる!」


「かわいそう!」


「なんでそうなるんだよ!」


 そこへ声が飛んだ。


「こら。お前たち」


 子供たちが振り返る。


 一人の男が校舎から歩いてきていた。


「侯爵閣下になんという口を利いている」


「え?」


 子供たちがアムルを見る。


「本当に侯爵様なの?」


「そうだ」


「ほんとに?」


「本当だ」


「見えない」


「……子供って残酷だなぁ」


 アムルが肩を落とす。


「申し訳ありません、侯爵閣下」


「いいですよ、リスデン子爵。子供の言うことですから」


「しかし――」


「まあ、凡人はちょっと傷つきましたけど」


 エルが横で吹き出した。


「笑うなよ」


「ごめん。ふふっ……」


 この男がリスデン子爵だった。


 パドゥーラ侯爵家に仕える有力諸侯の一人。


 そして、かつて『奴隷子爵』と呼ばれた人物でもある。


 その異名だけを聞けば、悪名高い領主を想像する者も多いだろう。


 だが、その実態はまるで違っていた。


 前パドゥーラ伯エルバの統治下にあった時代、リスデンは表向きエルバに従っていた。


 正面から逆らえば、自らの領地ごと潰される。


 それでは誰も守れない。


 だから彼は従った。


 その一方で、エルバの統治から逃れてきた市民を、自らの『奴隷』という名目で領内へ抱え込んだ。


 奴隷であれば、それはリスデン子爵の財産である。


 他者が勝手に手を出すことはできない。


 そうやって彼は、自らの手の届く範囲で人々を守り続けた。


 身寄りを失った子供たちについては、子爵家で保護し、読み書きや算術まで教えていた。


 それが思わぬ形で役立ったのは、パドゥーラが解放され、アムルが新たな伯爵として叙任されてからだった。


 新しい統治機構を作ろうにも、圧倒的に人が足りない。


 文書を書ける者。


 数字を扱える者。


 帳簿を作れる者。


 そんな人材を大量に必要としていたアムルたちへ、リスデンは自らが育ててきた若者たちを送り出した。


 後のパドゥーラ官僚組織を支える人材の少なからぬ部分が、彼らである。


 もっとも、リスデンが最初からアムルに協力的であったわけではない。


 新しい領主がまともな人間なのか。


 エルバが別の人間に代わっただけではないのか。


 彼は自分の目で見定めた。


 アムルが奴隷制度の縮小を進めたときには、リスデン領で奇妙な事件も起きた。


 解放されるはずの奴隷たち自身が、奴隷解放に反対したのである。


 自分たちはリスデン子爵の奴隷だから生き延びられた。


 その関係を切られることを恐れたのだ。


 アムルとエルは子爵領まで来て、一人一人と話をした。


 自由になることは、リスデンから捨てられることではない。


 それを時間をかけて説明した。


 リスデンが二人への協力を決めたのも、その頃だった。


 そして今。


 かつて奴隷として人々を守り、その子供たちを自らの屋敷で教育していた男は、パドゥーラの学校制度を支える人物となっていた。


「こちらが新しい教室になります」


 リスデンが校舎を案内する。


「今年から算術の授業を増やしました」


「教師は足りてます?」


 アムルが尋ねた。


「十分とは言えません。ただ、昨年よりは改善しております」


「地方の学校は?」


「そちらがまだ問題です。教師を送っても、住居を用意できない地域があります」


「そこかぁ」


 アムルが頭を掻く。


 エルが教室を覗いた。


 子供たちが机に向かい、文字を書いている。


「でも、増えたね」


「はい」


 リスデンが答える。


「最初の頃とは比べものになりません」


 アムルも教室を見る。


 その中には農民の子もいれば、商人の子もいる。


 かつてなら教育とは縁のなかった家の子供たちも混じっていた。


「この中から、役所に来る子もいるのかな」


 エルが言った。


「おりますでしょう」


 リスデンが答える。


「ですが、それだけが目的ではありません」


「うん」


 エルが笑った。


「字が読めて、計算ができるだけでも、できることはいっぱい増えるからね」


 アムルが頷く。


「騙されにくくもなる」


「侯爵様みたいなペテン師に?」


 後ろから子供の声。


「まだ言うか!」


 笑い声が校舎に響いた。


     ◇


 学校を出た二人は、再び一頭の馬に乗った。


 もちろん手綱を握るのはエルである。


「アム」


「ん?」


「凡人だって」


「ふふっ」


「結構傷ついてるんだからな」


「私はアムが凡人でも好きだよ」


「……ならいっか」


 エルは楽しそうに笑いながら馬を進めた。


 しばらくすると、風景が変わってきた。


 広い農地の間を、真新しい水路が走っている。


 その先には、大きな水車がゆっくりと回っていた。


「おお」


 アムルがエルの肩越しに水車を見る。


「ちゃんと動いてる」


「当たり前でしょ」


 水路の近くでは、多くの人間が作業をしていた。


 その中心にいた男が二人に気づく。


「侯爵閣下。エル様」


「こんにちは、トネリーさん」


 エルが馬を止める。


 二人が降りた。


 トネリーはパドゥーラ各地の灌漑事業を担う技術者である。


 祖先がパドゥーラの出身で、先祖代々伝えられてきたこの地域の用排水路図を持っていた。


 かつて帝国の中心地として多くの人口を養ったパドゥーラには、広大な農地と複雑な水利網が存在していた。


 しかし長年の混乱によって、その多くが失われている。


 トネリーが行っているのは、それを一つずつ蘇らせる仕事だった。


 アムルは回転する巨大な水車を見上げた。


「この灌漑用の水車、高かったんだよなぁ」


「まだまだ灌漑工事は終わりませんよ」


 トネリーは平然と言った。


「農地はもっと広げられます」


「……まだやるの?」


「当然です」


 トネリーは遠くを指した。


「あちらをご覧ください。現在の水路をさらに南へ延長できます。あの一帯も開墾可能です」


「いくらかかる?」


「詳細な見積もりは主計長へ提出してあります」


「もうティーエに出したの?」


「はい」


「仕事が早いなぁ……」


「いいことじゃない」


 エルが言う。


「俺たちが払う側じゃなければな」


「必要なんでしょ?」


「必要なのと高いのは別問題」


「それはそうだけど」


 トネリーは二人の会話など気にせず、水路の説明を続ける。


 どこから水を取り、どこで分水し、どの地域まで灌漑するのか。


 エルは真面目に聞いていた。


 アムルも最初は聞いていた。


 やがてエルが振り返る。


「アム、聞いてる?」


「聞いてるよ」


「今、何の話?」


「……水」


「聞いてないじゃん」


「大体は分かってる」


 トネリーが苦笑した。


「では、実際に農地をご覧になりますか?」


「そうしよう」


 アムルが即答する。


「説明から逃げた」


「違う。現場主義」


「ほんとかなぁ」


 三人は水路に沿って歩いた。


 その先には、広大な農地が広がっていた。


 青々とした麦が風に揺れている。


「おお」


 アムルが今度は素直に声を上げた。


「ずいぶん広がったな」


「去年はここまで畑じゃなかったよね?」


 エルも周囲を見回す。


「ええ」


 答えたのは、農地の中から歩いてきた別の男だった。


「今年から試験的に作付面積を広げています」


「ヴィルマー博士」


 アムルが手を上げる。


 ヴィルマー。


 都市同盟出身の農学者。


 農業研究とその技術指導を行う、パドゥーラの食料生産を急速に押し上げた立役者の一人だった。


 彼が改良した麦――ヴィルマーⅠ。


 高い収量を誇る一方で、大量の水と肥沃な土地を必要とする。


 だからこそ、トネリーの灌漑事業との相性は抜群だった。


「今年はどう?」


「今のところ順調です。水量も十分です」


 ヴィルマーが麦の一本を手に取る。


「このままいけば、昨年を大きく上回るでしょう」


「また食料余る?」


「余る、という表現が適切かは分かりませんが、域外へ回せる量はより増えると思います」


「ならいいや」


 アムルは満足そうに麦畑を見る。


 エルも隣に立った。


「すごいね」


「うん」


 風が吹く。


 広大な麦畑が一斉に揺れた。


 かつて荒れていた土地だった。


 水路が戻り、人が戻り、再び麦が育っている。


 トネリーが水を引く。


 ヴィルマーが作物の育て方を指導する。


 アムルがやったことなど、そのための場所と金を用意した程度なのかもしれない。


 だが、それでよかった。


「侯爵閣下」


 ヴィルマーが言った。


「来年度なのですが、もう少し試験農地を――」


「帰ろう、エル」


「アム」


「嫌な予感がする」


「話くらい聞こうよ」


「ティーエに言って」


「もう話しております」


 ヴィルマーが答えた。


「なんでみんな俺より先にティーエに話すんだよ」


「その方が早いからじゃない?」


「侯爵ってなんなんだろうな」


 エルが笑った。


     ◇


 夕方。


 二人は再び一頭の馬に乗ってパドゥーラ市街へ戻ってきた。


 市庁舎が見えてくる。


 それは、かつてのパドゥーラ伯爵邸だった。


 アムルが叙任された当初、パドゥーラにはほとんど金がなかった。


 旧伯爵邸に残されていた財物は売却され、その金は新しい統治機構を動かすための資金になった。


 そして広い伯爵邸そのものは、市庁舎へと改装された。


 では新しい伯爵はどこに住むのか。


 市庁舎のすぐ脇に、かつて召使いたちが暮らしていた小さな家があった。


 アムルとエルはそこへ入った。


 ただの応急措置だった。


 だが、そのまま居着いた。


 伯爵が侯爵になった今でも、二人の家は変わっていない。


 エルが家の前で馬を止める。


 アムルが後ろから降りた。


「疲れた……」


 大きく伸びをする。


 エルも馬から降りた。


「でも、よかったでしょ?」


「何が?」


「学校も。水路も。畑も」


「学校では凡人って言われた」


「ふふっ」


「まだ笑う」


「だって」


 エルは馬の首を撫でながら笑っている。


 アムルは市庁舎の向こうへ目を向けた。


 さらにその向こうには、今日見てきたパドゥーラの土地が広がっている。


 学校では子供たちが学んでいた。


 新しい水路には水が流れていた。


 荒れていた土地には麦が育っていた。


「でも、よかったでしょ?」


 エルがもう一度聞いた。


 アムルは少しだけ考えた。


「……まあな」


「でしょ?」


「うん」


 エルが嬉しそうに笑う。


 アムルは家の扉へ向かった。


「じゃあ明日は釣り行っていい?」


「仕事が終わったらね」


「今日働いたじゃん」


「明日の仕事は明日あるよ」


「……エルの鬼」


「はいはい。帰ろ」


 二人は並んで家へ入っていった。


 その隣では、かつて領主が暮らしていた大きな屋敷に明かりが灯り始めている。


 今ではそこに、パドゥーラを動かす多くの人々が働いていた。


 今日もまた、いつもと変わらない一日が終わろうとしていた。

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