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一緒におでかけべだ!

あれから2週間がたった。

魔法少女としての活動もしっかりしており、深夜0時を過ぎたあたりにちょくちょく倒しにいっている。

そして今日は久しぶりの休みだ。なんと脅威の15連勤である。

…あれ私はもしかして奴隷かな?労基さん仕事してーー

「もう10時か…」


「あ、おはようべだーー」

もうすでに起きている枝豆がふわふわーっとそこらへんを飛んでいる。

だいぶこのおかしな光景にも慣れてきてしまった。


「せっかくのお休みなのに外に出ないべだ?」


「何かしようって気持ちはあるんだけどね。でもベッドが気持ちよすぎるから。」

といっても、普段からあまり寝てないのが習慣づいているためか二度寝する気にはなれない。


仕方なく体を起こし歯磨きをしながらスマホでツイッターを開く。


「っげ!!」


そこには

“魔法少女、目撃情報再び”という言葉とともに私の変身姿が撮られていた。今回は動画ではなく写真だった。


コメント欄を見てみると

“またかよwがんばったら特定できそう”

“前の動画でもそうだったけどやっぱ酒飲んでない?”

“名前決めようぜ”

↳“キュアアラサー”

↳“天才かよw”


スパーーンと即座にスマホを床にたたき落とした。


「どうしたべだ?!何の音べだ!?」

音を聴きつけてすぐに枝豆が駆けつけてきた。


「うぅこのまま消えてしまいたい…」

布団をかぶりベッドにうずくまっていた。


「さてはツイッターのコメント欄みたべだね。」


「このまま私は余生をベッドの中で過ごすんだ。この暗闇のなかでずっと…」

さらに深く布団に潜り込み光を遮断していく。


「えーじょ、冗談べだよね…」


「…私なんてどうせ世界を救ってるんじゃなくて本当はただ恥じを世にさらしてるだけなんだよ!!」


「だ、大丈夫べだ!あかりはみんなに必要なのは僕が断言するべだ!そんな顔も知らない人たちの話なんて聞く必要ないべだよ!!」

手足をじたばたとしながら枝豆が布団を引きはがそうとする。


「頑固べだね…」


枝豆が落としたスマホを拾い布団の中に差し込む。


「もういっそのこと、ツイッター消すといいべだよ。」


「前に一回消したんだけど気になって…」

また入れなおしてしまった。そもそもこうやって魔法少女になっているときの動画や写真を撮られることはもう3、4回目だ。


「そのたびにメンタルやられてるんべだから今度こそ消そうべだ」


「…そうしよっか。」

がばっと布団から顔を出し早速アンインストールをすべく、電源ボタンを押す。


カチカチッ


「あれ?」


「どうしたべだ?」


カチカチカチカチ

必死に何度も電源ボタンを押しても画面は黒いままだった。


「あ、壊れた…」


■■■


「結果的に外に出れたみたいでよかったべだね」


「全然よくない…」

電車からでると猛暑が私を襲う。もう6月の半ばで昼間はすっかり夏だ。

そして私の歩くとなりで枝豆が呑気な顔をして横でぷかぷかと呑気に浮いている。

現在私はスマホの修理をすべく3駅ほど離れたスマホショップへと移動している最中だ。


「…というか、外でもあまりしゃべりかけないでね。」


「えーなんでべだ」


「独り言のやばいやつになるじゃん」


「えー無言は僕もさすがに寂しいべだよ。」


「…独り言じゃなかったらいいべだ?」


「ん、なにするつもり?」

すると突然枝豆の体がピカピカと発光しはじめた。


「うわ眩し!!」

あまりの光りに思わず目を腕で隠す。そして数秒ほどで光は収まった。


「できたべだ!」


「一体なにして…」

さっきまでいたぷかぷかと浮いたはずの枝豆の姿はなく代わりに10歳ほどの年齢の子供がいた。


「えっと誰ですか?」

全く見覚えのない突然現れた子供に話しかける。

するとくるりんと子供はその場でくるりと綺麗な一回転をする。


「妖精枝豆べだ!驚いたべだ?」


「は?」

見た目は子供らしく中性的な顔をしている。とてもあの枝豆には見えない。しかし、声や喋り方が枝豆まんまだった。


「この状態だったら普通の人にも僕の姿は見えるようになるべだから、会話してても変に思われることはないべだよ」


「べだ」とかいう語尾もまんま引き継いでいるし枝豆であることは間違いないのだろう


「ほんとに枝豆?」


「だからそうだっていってるべだよ。」

なんとなく枝豆のほっぺたをぎゅっと強めにつねってみる。


「わ!いたいべだ!いきなりなにするべだよー」

ぬいぐるみの時と感触が全然異なっておりちゃんと人間の肌のようだった。


「…これが本当の姿ってこと?」


「いやそういうわけじゃないべだ。本当の姿はぬいぐるみの時の姿べだよ。…この姿はいろいろと不便だったからあまり使わないべだ」


「え、手とか使えるし便利じゃないの?」


「確かに器用なことができるのは利点べだけど…この姿だとお腹がすいちゃうべだ」


生き物なんだからお腹が減るのは当たり前。突然何を言い出すのかと思ったがよくよく考えると枝豆が今まで何かを食べるところは見たことがない。

…普段のぬいぐるみの姿なら食事の必要はないのか。

そもそもぬいぐるみがどうやって食べ物を消化するという話である。


「普通の人間と一緒でお腹がすくとちゃんと動けなくなっちゃうべだし、あんまり使わないようにしてるべだ」

妖精は本来中高生と一緒に同伴するってのを考えると、確かにあまり使わないほうがいいだろう。妖精は親には見えないし説明できない以上、妖精の食糧代を自分が出さないといけないのだから。

…いくら妖精とて、中高生にたかるのは気が引けるのかな。


「まぁ、私は社会人だしきにしなくてもいいよ。お腹すいたら教えて」


「いやいや我慢するべだよ!枝豆はあかりのサポート係なんべだから迷惑はかけたくないべだ!!」

普段のぬいぐるみの姿なら何とも思わないが、子供の姿で言われるといかんせん、たくましすぎる子供になっており違和感しかなかった。


そして移動すること5分後。


「あっついべだね…」

どうやら枝豆は人間姿になっていると温度を感じるようになるらしい。普段からはこういう暑さに慣れてないらしく、かなり歩くペースが落ちている。

…8月とか外歩かさせたら死にそうだな。

なんてことを思いながらペースを枝豆に合わせ歩いていく。


すると道横においしそうなパフェの看板を見つけた。

ちらっと視線を向けただけでスルーしたがふと横を見ると枝豆がいなかった。振り返ると看板の前に枝豆が張り付いていた。


「なにしてんの?」


「あ!!ごめんべだ!さっさといこうべだよ。」

すぐに私のほうへと戻ってくるがどこか名残惜しそうなぎくしゃくとした足取りをしていた。


「…食べてく?」


「い、いや食べないべだ…」


「え別にいいよ。食べても…」

驚くほどに枝豆の顔と言動が全く一致していなかった。


「我慢するべだ!僕はあかりのお役に立つためにも、どんなにお腹がすいててもこんな猛暑でもあかりの迷惑になるわけにはいかないべだーーーー!!」

周りにも聞こえるくらいの声で高々と宣言し、どうだ!と言わんばかりのドヤ顔をしていた。


しかし会話を聞いた周囲からひそひそと


(…あの子供ごはん食べさせてもらってないの?」


(え、何もしかして虐待?)


(警察に行ったほうがいいのかな)


どんどん周囲から視線が集まってくるのを感じた。


「はいはい!パフェ食べたいのね!行きましょうねえええ!!!」

すぐに枝豆の肩をつよく押し、無理やり店内へと入った。


…いけない!魔法少女うんぬん言ってる前ににいろんな意味でこいつに殺される!


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