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変身できたべだ!

あれから結構な時間を走った。


「はぁはぁ、逃げきれたかな……」


「まだだべだ。すぐそこに反応があるべだ。」

とりあえず私たちは枝豆を抱え路地裏に入り休憩している。猛ダッシュしたためかなり疲れている。

…久しぶりにこんな走ったな。デスクワークばっかだったからさすがに体力落ちてる…


「それで、どうすんの?変身できないんじゃどうしようもなくない?」


「うぅ…おかしいべだ。この間は変身できたはずべだなのに」


「ちなみに魔法少女に変身してないときにあの化物の攻撃を受けたらどうなるの?」


「…あかりは大人だからいうべだけど普通に致命傷べだ」


「えぇ…まじかぁ。そりゃそうか…」

枝豆曰く一度化物に見つかると結構な距離を置かない限りは追いかけられ続けるらしい。駅とかバスに乗って逃げたいところだけどあいにくどちらともかなり離れてる。見つかるのは時間の問題らしい。


「…やっぱり私は魔法少女じゃないんじゃない?ほらそもそもこんなおばさんが魔法少女なんてなれるわけないじゃん。ただのいち凡人が世界を救うなんてあるわけないんだよ」

絶望的な状況も相まってか、ついよくないことばかりが頭が巡ってくる。


「そんなことないべだ!あかりは確かに僕と契約をしてるれっきとした魔法少女べだよ。それだけは保証するべだ。それにあかりは嫌がっていたのに来てくれただけでも普通の人にはない勇気があるべだ!」


こんなちっさなぬいぐるみが応援してくれるのに、いつまでもぐずぐずとしている自分が恥ずかしくなった。

私は立ち上がりべしっと両ほっぺをたたいた。


「ありがとう枝豆。少し覚悟できたよ」


「力になれたならよかったべだ。」


「…魔法少女であることは保証しなくてもよかったんだけどね」


「べだ?」


「まぁいいや、それよりどうやって現状を切り抜けるか考えよ。ほかの魔法少女に救援呼ぶとかできないの?」


「救援は送れるべだけど、距離が離れてるから少し時間がかかってしまうべだよ。来てくれる間に僕たちが見つかっちゃうべだ」


…というか他の魔法少女は私と違ってぴちぴちの現役高校生とか中学生とかが来るということになるのか。

中学生とか高校生なんてまだまだ子供だ。そんな子供をこんな夜中に呼び出すのは大人としてあまりいいとは言えない。


「一応、最終手段としてとっておこう。」


「なんか、あかりと話しててずっと思ってたんだべだけど、最初あったときと違ってずいぶん性格とか態度とか全然違うべだね。今日のあかりはなんか…少し悲観的べだね。」


「そりゃあ、昨日はお酒で酔っ払ってたからね。酔っ払ってるときは少しだけ気が大きくなるよ。」


「…もしかして。」

枝豆は腕をくみ何かを考えている。


「どうした?」


「昨日と同じ状況になれば変身できるかもしれないべだ。」


「えーと、つまり私に酒をのんで酔っぱらってほしいと?」


「そうべだ」


「こんな状況で?」


「そうべだ」

のほほんといたって真面目に枝豆はそう答える。


…何言ってんだこのぬいぐるみ。飲めるわけないだろ。というかこいつ酒が何か理解できてんのか?

訝し気な顔で枝豆のことを見つめるとニコっと笑い返された。やはり酒についてよくわかっていないっぽい。


「さぁお酒をかいに行くべだよ!」


「マジでいってるの?」


「マジべだ!!」

そっと鞄の中から缶チューハイを取り出した。

都合よくここに来る途中に丁度コンビニによって酒を一缶だけ購入していたのである。飲んでなんとかなるとは思わないが、枝豆がここまで言うなら試すだけやってもいいかもしれない。それ以外に方法がないわけだし。

…終わったら景気づけにでも飲もうかと思って購入したのだがまさかこんなところでのむことになるとはな。


プシュッと勢いよく缶を開けた。


「言っておくけど、私。かなり酒癖悪いよ。」


「試すだけ試そうべだ。もしダメだった時は救援を呼ぶべだ。」


「…わかった」

そして勢いよく酒を流し込んだ。


…というかこんな一缶だけで酔えるのかな私。


三分後



「おさけおいちーーー」


「おぉ!昨日のあかりべだね!!」


「おぉ枝豆も飲もうよ~ほらほら。というか妖精ってごはん食べれるの?」


「ほらほらそれよりも早く変身するべだ」


「あれ、そうらっら。そのために飲んだんだよね。」

枝豆から渡されたステッキを手に取る。


「まかせて!!怪物なんてコテンパンなんだから!!


「“へーんしん”」


ぴかっと光が弾ける。それと同時に体が光に包み込まれ服装があっという間にフリフリなピンク色のドレスへと変わっていった。


「おぉおおおやったべだ!!変身できたべだ!!」


「私なら当然よお!!…それじゃあ帰る?」


「いや帰らないべだよ!?僕たちの目的を思い出すべだ!!」


「は!?」

…そうだそうだ私たちはさっきの化物を倒すのが目的だった。

変身ばっかですっかり頭から抜けていた。


「じゃあいってくりゅー」

右手にステッキ、左手に缶をもち路地を抜けていく。


「あかりきおつけるべだ!!そこの路地を抜けたらすぐそこにいるべだよ。」


「ういういさー」

路地を抜け辺りを見渡すとそれらしきロボットがすぐに見つかった。私をみるやいなやがしゃんがしゃんと足音をたてて向かってくる。


「おーーかっこいーー」


「あかり!はやくやるべだ!!」


「ほいほいー。」

ぐびぐびとお酒を飲みながら右手に握っているステッキにエネルギーをためていく。じわじわとステッキの先端がピンク色に輝き始めた。

そしてロボットが近づき大きな腕を振り下ろし影が私を覆う。


「あ、お酒切れた」

ためていたエネルギーがぴゅんと途絶え光が消えた。


ガシャーーーーーーン

それと同時にロボットの腕が脳天を思いっきり直撃した。衝撃により砂煙が辺りを覆う。


「あ、あ、あかりいいいいいい!!」

枝豆の叫び声が響き渡った。

砂煙がゆっくりと晴れていくと見えた枝豆に手を振る。。


「うぅ痛いいい。枝豆―お酒もうないの~」


「あ、あかり?大丈夫なの?」


「え、何が?」

砂煙があがるとロボットの振り下ろしたはずの腕がボロボロになっており破片が辺りに散らばっている。


「ええ、どういうことべだ。まさかロボットの腕よりもあかりのほうが固かったべだ?!」


ぎぎぎとすぐさまロボットが壊れてないほうの腕を振り上げる。


「それ痛いからやめてよ~」


ポンとロボットをステッキでたたく。勢いとは全く異なるごきごきという効果音がなりロボットはその場にうずくまってしまった。

「や…やったべだ?」

ロボットは動くことなく体が粒子のようになり消えていった。


「さすがべだよ、あか…ぐへっ」

喜んでいる枝豆を鷲掴みにし手元に寄せる。


「ほらほら枝豆えええ。終わったなら追加でお酒買いに行くぞー」


「ま、まつべだ!まず変身を解くべだ!」


「こんなかわいい姿してるのに解くなんて勿体ないじゃん。見せつけていかないとなーがはは。」


ふらふらとした足どりで夜の街を歩いていった。


■■■


翌朝、スマホのアラームが鳴り響いてる。

体をそっと起こしアラームを止める。


「いててて」

頭を押さえながら、もう一度ベッドに横になり昨日のことを思い出していく。

…そうか、昨日は確かお酒飲んで…そんで魔法少女になって倒したんだったか。


結局、私はお酒を飲んでいるときにしか魔法少女になれないってことなのだろうか。だとしたら謎すぎる。何か絶対原因があるはずなんだよな。

おもむろにスマホをひらき“魔法少女 現実にいる?”と調べてみた。だがヒットすることはなかった。


「今だに夢じゃないか疑っちゃうな…」

ツイッターでも調べようと開くと、ちょうどタイムラインに魔法少女現る!というつぶやきがバズっているのを見かけた。

…タイミングばっちしだな。どれどれ


その投稿を見て絶句した。


「おおいいいいい!!枝豆えええええ!!」

寝て居る枝豆の首根っこをつかみ無理やり起こした。


「うわっ!びっくりしたべだ。なにべだそんなに慌てて?」


さっきの投稿を枝豆にみせる。

そこには魔法少女現るという文章とともに私が魔法少女になっているときの姿の動画が上がっていた。


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