帰っちゃったべだ……
「……」
花音が去り、私たちの間に若干の気まずさが残った。
「ごめんなさい、あかりさん。失礼なことを言ってしまって」
最初に海麗が頭を下げ謝ってきた。
「いやいや、謝らないで。実際ああ思われても仕方ないことしてるわけだし」
慌てて顔を上げさせる。
「……花音は今、不安定な時期なんです。」
たしかに中学2年生と言えば思春期まっしぐらで精神が不安定になりやすい時期だ。
「魔法少女という仕事はみんなからは理解されないことっていうのと…なにより花音自身にちょっと……」
二人とも言いにくそうな顔をしていた。
「……?」
「まぁこれに関しては僕があとであかりに説明するべだから大丈夫。少し説明しづらいことべだからね」
「ありがとうね枝豆」
「こういうのは僕に任せるべだ。」
海麗からの感謝に枝豆は机の上で誇らしげにしていた。
「花音の話は一旦ここで置いておいて、怪物の討伐についての話をしましょう。」
「あ、はい!」
「……あかりさん、そんな丁寧にしゃべらなくても大丈夫ですよ。私たちのほうが年下ですし……」
由南が不思議そうに見てくる。
「……こうしないと少し落ち着かないんで、まだしばらくは……」
年下と喋るのが苦手というわけではないが、やっぱり自分が魔法少女をやってるって思われているせいでどうも緊張する。
「まぁ、あかりさんの好きなようにしたら大丈夫ですよ。」
「すみません……」
とりあえず由南たちに甘えることにした。
「話戻しますけど、私はまだあかりさんの魔法少女としての力を見たことがないので今度、同行させてください。」
「う……」
海麗の提案に思わず飲み物を飲む手が止まる。
「そうべだね、とりあえず聞くよりも実際に見たほうがいいべだよね。あかりの空いている時間が基本夜になっちゃうべだけど……」
「社会人だからしょうがないよ。私のほうが合わせるよ。」
「え、ちょま」
何か枝豆が勝手に話を進めてしまっている。
「ん?何か問題ありましたか?」
「う、いや…ありません……」
海麗はもう完全にその気だったみたいなため、渋々了承した。そっと枝豆を強く睨んだ。
……うう、私が魔法少女やってるとこ見られたくないいい
「べだ?」
何もわかってない枝豆のほっぺをあとで思いっきり引っぱってやろうと思った。
「とりあえず連絡先交換しましょう。花音のはちょっと無理ですけど……」
「わ、わかりました!」
慌ててスマホを取り出しラインのQRコードをだした。
「そんな慌てなくても……」
苦笑いしつつ、海麗と由南の連絡先が追加された。
……JKの連絡先がスマホにある……なんか変な感じ。
「あのー、じつはグループラインがあるんですけど………」
由南が申し訳なさそうな顔をする。
「花音がたぶん怒っちゃうからとりあえずは個人で連絡する感じにしましょう。ハブってるわけじゃないですからね。」
「だ、大丈夫ですよ。そんな気を使わなくても…」
ほっと由南が胸をなでおろす。
「それじゃあ、花音もいないし今日はこの辺にしときましょうか…。」
海麗がすっと立ち上がる。
ライン交換もしたし次会う予定も立てた。今日の目的は全部達成できた。
私たちは会計をすましファミレスの外へでた。
「あかりさん、今日は忙しいなかありがとうございます。」
「いえいえ、そんな…」
「とりあえず、また連絡しますね。それじゃあまた」
手を振り互いに別れを告げた。
「よかったべだ、うまくいって……」
「え、うまくいってたか?」
明らかに花音とは険悪になってるし、とてもじゃないが成功とはいいがたい。
「花音の反応は正直予想はできたべだ…」
「え、そうなの?」
「べだ。花音は最近、海麗や由南にも結構あたりが強いべだからね。初対面のあかりならなおさらべだね。」
「まぁ別にそこまで気にはしてないから大丈夫だけど……実際に言ってることは結構的を射ているわけだし……」
普通に考えて、いきなり訳の分からない魔法少女をしているおばさんが現れたら警戒しないほうがおかしい。
……しかもお酒を飲まないと変身できないって聞けばなおさらだよな。私だってそんな得体のしれない奴と会いたくもない。
「花音……さんには何があったの?」
花音が抱えている事情は枝豆が後で話すことになっていた。二人の態度を察するによほどおもたい理由があるのだろう。
「……まださん付けで呼ぶんべだね」
「仕方ないだろ落ち着かないんだから…」
「このままだと威厳が全くないべだよ……」
「いらないでしょ私に威厳なんて。」
そもそもそんな大層なものこんな私がもてるはずがない。
「……まぁ一旦その問題は置いといて、花音のことを聞きたいべだよね。そうべだね、まず魔法少女が12歳、中学生からしかなれないのは知ってるべだよね」
「あぁ…前にそんなこといってたね。」
「でも花音は例外べだ。通常、12歳からしかなれないところ10歳……小学4年生から魔法少女になったべだ」
「え?」
思いがけない枝豆の発言に私は固まった。




