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ごはんべだ!

「んあー…」


目を覚ますと家のベッドだった。


「のど、乾いたな。……っていうか、私どうやって帰ってきたんだっけ?」

…そうだ確か変身解除ができなくなってたっけ?

ふと自分の服装を見ると、魔法少女の格好ではなくもともと着ていた私服へと戻っていた。


「あ、起きたべだね?」

ぬいぐるみの状態になってる枝豆がふわふわと飛んでくる。


「ん?枝豆。今何時。」


「今はもう16時べだね。3時間くらい寝てたべだよ。何があったかおぼえてるべだ?」


「えーとたしか…」

記憶を遡っていく。ちゃんと意識があったのはたしか枝豆がほうきにのった辺りだ。

……その後、変身して、怪物を倒して、落っこちた。いや落っこちた!?


「いろいろと思いだしてきたみたいべだね。ほんと大変だったべだから。あの由南がけっこう困ってたべだしね」


「ん…由南って」

たしか携帯ショップで現れた銃を持ってた魔法少女。

…そうだ、怪物倒したあとにいろいろと話をした記憶がある。…あれろくな事話してなくない?

会話を思い出していくにつれ、どんどん恥ずかしい気持ちがこみあげていき顔が熱くなる。


「あかり、どうしたべだ?顔が赤くなってるべだよ」


「い、いや?なんでも…ないよ。」

あんなウザがらみされたら由南…ちゃんから絶対に嫌われてるに違いない。それもこんな酒臭いおばさんからならば尚更だ。

…うぅ、ごめんよ由南ちゃん…


「それとちょっと大事な話をするべだ。」


「な、なんだよ改まって…」


「たぶんべだけど、あかりは魔法少女の中でもトップクラス…いや最強だと思うべだ。」


「え?」

突拍子のない発言に気の抜けた声がでてしまう。


「圧倒的エネルギー量そして、その回復速度は間違いなく最強べだ。」


褒められているのだろうが、それはあくまでも酔っているときの私であるため、そこまでうれしくはなく、なんか微妙な気分だった。


「だからあかりには、これからも魔法少女を続けてほしいべだ。そうすればきっと魔法少女をやっている女の子たちの救いになれるべだ!」


「…」

えらく真面目な枝豆にびっくりしてしまう。


「きっとこれから絶対、あかりはこの魔法少女の世界で必要不可欠な存在になるべだ。そうすれば今のネガティブなあかりもきっと自分に自信を持てるようになれるべだ!」


「別に私が自信を持ったところで…」


「魔法少女をやることで見返りとか得がないというのもわかってるべだ。もし僕にできることがあったらなんでもやるべだからどうか…」

すると枝豆の体が光はじめ子供の姿になった。そしてかなり深く頭を下げている。恐らく枝豆なりの誠意を表してるのだろう。


「待って待って落ち着いてよ。」


「べだ?」

とりあえず枝豆の頭を無理やり上げさせた。


「私は別に何か期待して魔法少女をやってるわけじゃない。」

たしかに今私は夜まで仕事をしてその後に魔法少女をやるということになりかなりの激務になってしまう。それに身バレすれば普通に人生が詰む。はっきり言ってやるメリットはない。


「私が大変な思いをすれば、助かる子供がいるんでしょ。それなら私なんかの時間ならいくらでも差し出すよ。」

元より酒をのんで辛いことを忘れていただけの時間だ。それならいくらあげたって全くかまわない。


「あかり…うぅ。あかりーーーー!!」

ぎゅっと枝豆が抱き着いてきた。


「ちょ、いきなり抱き着くなよ。」


すぐに枝豆と距離を離す。


「べだ、でもあかりのためには何かしてあげたいべだ!」


「…そもそも何ができることあるの?」

今までの枝豆を見るといつもぬいぐるみの状態でおしゃべりしかしていない。むしろあまり良いところ見ていない。


「べだ…じゃあ」


■■■

枝豆の提案により私たちはスーパーへと足を運んでいた。


「べだ~べだ~」

枝豆がステップを踏みながら鼻歌を交え、買い物籠に商品を入れていく。


「あまり量つくりすぎないでね…。2人分だけなんだからね。」


「は!つい買いすぎてたべだ。ちょっと待っててべだ。」

すたすたとかごから何個か商品を元の場所へと戻しに行った。

…まさか、枝豆がご飯作ることになるなんて。名前が枝豆だから

私がいつもコンビニ弁当やカップめんばかり食べているを見かねて作りたいとのことだった。別に気にすることでもないのに。


「あかりー!だいたい終わったべだよ。」


「はいはい」

…まぁ楽しそうだしいっか。

会計を終えスーパーをでた。

帰り道


「なんで普通の子はさ、魔法少女なんてやるの?こんなの大変なだけじゃん」

ちょっとした疑問を枝豆に問いかけた。


「べだ?急べだね。理由は…まぁあるべだけど…..」


「やる理由なんかがあるの?」

枝豆がやけに答えることを渋っていた。


「これは本来魔法少女になる前に話しておかないといけないことべだけどね…魔法少女になれば1つだけ願い事をかなえることができるべだ。」


「は?願い事?」

あまりに突然のことになにを言っているのかわからなかった。


「こ、これは本当べだよ。でも願い事はなんでも叶えられるわけじゃないべだ。あくまでも現実的な願い事に限るべだ。」


「いやいや、信じられないんだけど…第一なんで私に言わなかったの。そんな大事なこと。」

願いを叶える。そんな都合のいいことがあり得るとは思えなかった。

……それこそ本当に魔法なんじゃ。


「それは…あかりが魔法少女を辞めちゃうと思ったからべだ」


「?どういうこと」


「あかりが願い事で魔法少女を辞めるっていうかもしれなかったからべだ」

枝豆がばつの悪そうな顔をして立ち止まった。

私も考え込む。


「……なるほどね。そんな理由で…」


「ごめんべだ…」

私たちの間に6秒ほどの間があいた。その後はぁーと私がため息を吐きポンと枝豆の肩を軽く持った。


「早く家に帰ろう。ごはん作ってくれるんでしょ。」


「……分かったべだ」

ぎくしゃくとしながらも私たちは家へと帰った。

…どうしたものか。大事なことをいっていぜん枝豆も悪いけど、私にも非があるんだよな。

酔っていた私が説明も聞かずに枝豆からステッキを取り上げたことから始まった。だから私には枝豆に非難するつもりはない。それにもう私はやっていく覚悟はしている。


「さ、さっそくつくるべだねー」

ぎこちなく枝豆が台所にたつ。


「.....枝豆、別に気にしなくていいからな」


「あかり……」


「いいからおいしいの作ってね。」


「任せてべだ!!」

分かりやすく枝豆は少し元気が戻ったようでのりのりで料理を作り始めた。


■■■


「できたべだよ!!」


枝豆が笑顔で食事をもってくる。

テーブルにはおいしそうなハンバーグがあった。


「おいしそう…..」


「冷めないうちに食べるべだ。」


「…いただきます」

さっそく口へとはこんでいく。


「…おいしい」


「そういってもらえてうれしいべだ」

枝豆もうれしそうに食べ始める。


「……」

思えば手料理をまともに食べたのはずいぶんと久しぶりだ。最後に食べたのはおそらく実家に帰省したときくらいだろう。


……そういえば、もう2年は帰ってないな。私がいまやってることを知ったら泣きそうだな。


嫌な想像をしながらハンバーグを食べ進めた。

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