5章 オープン 12月22日
オープンの日午後2時30分には、女性達は、決められたドレスに気替え、化粧も終え、控室で出番を待っていた。
「ドキドキする。この年になって、こんなにドキドキすることがあると思ってなかった。」とミニのカラフルな浴衣を着た、中肉中背で童顔なさゆりが言うと、
「私はワクワクする。この年でこんなにワクワクすることがあると思わなんだ。」とセーラー服のラブが言う。
「ちょっと無理ない?かわいすぎない?いたくない?」とミニのサンタクロースのワンピース着たあけみが、横にいるミニのウェディングドレスを着たあいに聞くと、
「赤信号みんなで渡れば怖くないよ!」とあいが言った。
みんな納得した。学生時代にテレビで見たことわざであった。
そこへ明と良男が控室に入って来た。
「さゆりさん、大丈夫ですよ。昨日練習やった通りにやったらいいだけですよ。目の前に手順書を書いてますので、解らなくなったら、見ながらゆっくりやってください。時間は30分となってますが、時間を気にするより、お客さんが喜ぶようにしてあげてください。」と明がさゆりに言ったが、みんなにも聞こえていた。
「ラブさん、私もワクワクしてます。みなさんと一緒にこの店がどんなに進化していくのか思うと、不安よりワクワクが強いですね。新店のオープンなんて、そんなに経験できるものでないので、みんなで楽しみましょう。」と明が笑顔で言った。
「今からオープンしますがその前に少し話を聞いてください。」と言って、間を置いて話した。
「何度も言いますが、あなたにとって一人のお客さんでもお客にとってはお金を出して期待を込めてやって来る客です。だから期待を裏切らないでください。しんどい時や体調の悪い時や気分の乗らない時があるかもしれませんが、お客さんにとって手が抜いたと思われたら、今はネットの時代です。すぐに広がり傾いて行きます。お客様の満足のいくサービスを届けることが出来れば、客が客を呼び店がにぎわいます。あなた達に見返りがやってきます。あなた達はプロです。どんなときにも仕事に対して誠意を持ってお客様に向かってください。なんでもいいやとお客様に向かうと、今まで数え切れないぐらい誠意をもって仕事をしても一度、なんでもいいやと雑に仕事をすると、お客様離れていきます。シビアな世界です。お客様に対して誠意を尽くすとはどういうことかと言えば手を抜かないことです。忘れないでください。」
「もし危険を感じたら、壁に付けている非常ベルを鳴らしてください。直ぐに行きます。あなたの身を守ります。」と明が言うと、
ラブが、
「思いっきり噛んだらええやん。こっちは息子を人質に取っているからビビることない。女に暴力ふるうなんて最低や。何、3000円、4000円の店でえらそうにしてんねんねん。金玉のちっちゃい情けない男やなと言うたったらええねん。」と少し興奮気味でラブが言った。
良男はラブ姉さんをたくましく思った。
明は、
「1号室、お尻のかわいいミニのセーラー服のラブさん。」
「2号室、ダイナマイトボインのニットミニのさくらさん。」
「3号室、ミニ白衣の天使のジュンさん。」
「4号室、いつもそばにいて欲しいメイド服のゆかりさん。」
「5号室、赤いチャイナ服の似合うあゆみさん。」
「6号室、かわいいミニのサンタクロースのあけみさん。」
「7番号、ハッピーミニのウエディングドレスのあいさん。」
「ラストは、お祭り大好き浴衣の短いさゆりさん。」
「よろしくお願いします。オープニングメンバーはこの8名で行きます。あと、まりさんとちえこさんとさちこさんは不測の事態に備えてサポートに回ってください。休憩は3名ずつ、1号室から順番に取ってください。
みなさんなら大丈夫です。落ち着いてください。お客様に挨拶した時に30分のタイマーを押すのを忘れないでください。今日は5分、10分の時間の遅れは気にしないでください。お客様ファーストでお願いします。私はお客様が入店して来るので受付に行きます。今日はたくさんの予約がネットに入ってます。頑張ってください。」と言って受付へ小走りで行った。
まりとさちこは、「みんながんばれ、前向き。」と鼓舞していた。
良男は個室に行く彼女達をハイタッチで送り出した。
「オーナー、昨夕、帰りのラッシュ時に十三駅の東口でティッシュ配ってませんでしたか?」とさちこが聞いた。
「配ってました。この1週間、朝夕の通勤時間帯に西口と東口で1日500個を配
ってます。マネージャーと私の二人で。」と言った。
「私、ティッシュを若い男の人に見せてもらったのですが、12月22日3時オープン記念で3日間は半額。あなたを満足させます。あとクレジットカード使えます。予約はネット」と書かれていたティッシュだったとさちこが言った。
「いくつ配ったのですか?」まりが聞くと、
「2000です。このティッシュが見返りになって、帰ってくればいいですけどね。」と良男は今の直な気持ちをいった。
時計の針は午後3時20分をさしていた。
「みんな上手いことやってるかな?嫌がってないかな?早く出して欲しいね。」とちえこが言うと、
「今頃フィニッシュでお手拭きで、綺麗に拭いているところなら最高にええんやけど?
」まりと言っていると時計が午後3時30分になったと同時に部屋のドアが開いた。
「オーナー、水、水が欲しい。ずっと舐めているので、舌の水分が取られて喉がからから。死にそう。ペットに入っていればなんでもいいので水が欲しい。」と言った。
「わかりました。店の冷蔵庫に水でもお茶でもジュースでもあります。持ってきます。」と言って、良男は下の店に駆け足で行った。
「私も行くわ。」とラブも胸を縦に揺らしながら下に走った。
下に行くとラブを見た事務員の阿部さんは目を丸く、両手で口をふさぎ、米を買いに来ていた白髪のおばあちゃんは口が開けて、ボーと立っていて、店員の北山さんはこちらを見ないように反対向いて、ビールを車に乗せていた。前の道を通る学生服の男の子は「すげえ!」と言って走り去った。
良男が冷蔵庫から出した、水、お茶、ポカリ、ジュースをラブが広げたレジ袋に入れた。ラブは良男の持っているペットボトルがレジ袋に入れやすいように前にかがんで広げていたので、後ろにいる事務員さんとおばあちゃんからはラブのミニのセーラー服のスカートからショッキングピンクのパンツが見えた。
ラブはレジ袋いっぱいにペットボトルを入れて、自分がミニスカートを履いていることを忘れて階段を駆け上がった。
店に戻ると、個室のドアをそっと開けて、ひとり、ひとりにペットボトルを手渡し、耳元で、「がんばれ。」と言った。ラブの機転の利いた対処のお陰で、危機一髪でピンチをきり抜けた。
控室に戻ると明がやって来て、「オーナーに話は聞きました。ありがとうございます。」とラブに頭を下げた。
「ラブさん、次の出番は4号室でJKでお願いします。ルーズソックスも忘れないでください。お客様のリクエストです。」
「さくらさんはヒョウ柄のワンピースでお願いします。お客さんのリクエストです。」
「ジュンさんはそのままでいいです。」と言って受付に戻って行った。
ラブとさくらは次の出番に備えて、衣装を着替えていた。30分しかない休憩時間に着替えて、次の出番に備えるのは、時間手的に余裕が無かった。
「ラブさん、私、口の中が気持ち悪いので、洗って、トイレに行ってくるわ。」とさくらがラブに言うと、
「私もトイレにいくわ。」とラブが言った。
女の人は連れもてトイレに行くのが好きだ。
ラブが、
「マネージャー、今日みたいな忙しい日に、30分の休憩時間の間に、着替えて、トイレ行って、次の出番に備えると、休憩時間はないで。休憩時間を取れるようにしてください。今日のリクエストはなしでお願いします。」とラブはマネージャーに言った。
「明は解った。」とひとこと言った。
ラブ達のあわただしい休憩時間が過ぎ交代のゆかりが、
「ラブさん、ありがとうございます。先ほどラブさんがお茶を持って来てくれて、耳元でがんばれて言ってくれた時、私泣いていたの。」
「おちんちんがうれしくて。」とさくらが笑いながら言った。
「違います。男の人のおちんちんを舐めている自分に情けないやら、悲しいやら、この年になってまでこんなことをしないといけないと思うと、悲しくなって涙が出てきた。そんな時にラブさんががんばれと言ってくれたので、私だけじゃなく、私には仲間がいると思うとがんばれる気がした。」とゆかりが言った。
ゆかりとあゆみが控室に戻って来たがあけみは部屋に帰って来なかった。
「あけみちゃんはトイレの方に走って行った。もれそうになったんやな。お茶飲んだもんな?」さくらが言った。
10分ほどすると控室にあけみが戻って来た。
「最低よ。お客がいきなり口の中で発射したのよ。私は「出る。」とか、ひと言言ってくれると思ったんやけど、いきなり「バーン」と来て、口の中が溢れそうになるし。息は苦しいし。部屋の中でこぼすわけに行かないし。お客のおちんちんをお手拭きで拭かなくてはいけない。パニックよ。必死にトイレに走ったわよ。」とあけみは言った。
ふたりは笑っていた。
次の30分が過ぎ出番を終えて、休憩に入るはずのさゆりとラブが戻って来たが、あいがいない。
「あいちゃんなら顔面シャワーと言って、シャワー室に走って行ったわよ。」とラブが言った。
「タイミングが悪かったのね。もう少し早ければ、おしぼりで受けることが出来て、ベストタイミングだったのに。至近距離からの発射は逃げられないね。アンラッキーや。」ラブが厄日やと言った。
さゆりが、
「顔面だけなら洗えばいいけど、髪の毛や服に飛んでいれば、シャワーを浴びて、着替えての化粧になるから大変よ。30分じゃ無理ね。私、マネージャーに言ってくる」とさゆりが言うと、
「さゆりさんは休んでください。私が伝えてきます。」と良男が言った。
30分休憩の後、ラブとさゆりは次の出番へ出ていった。
2号室にはそのままさくらが残り、3号室にさゆり、4号室にラブが入る。
あいのよまいごとを楽しみに、個室に入って行った。
さゆりはのどき窓からお客様見た。お客様は若く。髪の毛は七三に分けて、誠実そうに見えた。さゆりが3秒見つめようとすると。薄い壁一枚の2号室から、
「今日はありがとうございます。私はさくらと言います。これからもごひいきにしてくださいね。あっあーん」と長い桃色吐息が聞こえて来た。胸をどれだけ触らしているのか? とさゆりは思った。
4号室ではラブがお客様と話をしていた。
「こんにちは、お兄さん男前ね。もてるでしょ。」
「そんなことはありません。」とお客様が言うと。
「それはお兄さんが自分に自信がないからよ。自信を持ちなさい。女の私の目から見て言い男よ。もう少し自分を出して女性に接しなさい。と言った。3秒間を置いて、あっあー~んと言った後、次は左ね。」とラブが言った。
さゆりは仮面の下で笑っていた。ふたりの声を聴きながら、胸元を見せるように、前かがみになり、深い谷間を見せ、愛撫するために開いた足の付け根には紫のパンツが見えていた。しゃぶりながらさゆりは上目使いで、
「あーん。」と言って、しゃぶりまくった。
お客様はすぐに出た。その後おしぼりで綺麗に拭いて時間を終えた。
お客は帰り際にさゆりを見て言った。
「僕、こういう店に初めて来ました。さゆりさんは僕の先生です。素晴らしい。」と言って、手を振りながら帰って行った。
女性達は次のお客とお客の間に外のゴミ箱に汚物を入れた。控室で会った3人はゲラゲラと笑った。
すれ違う際にあいは、「最悪」と言って青いハイネックのミニワンピースに赤色の下着がすけていた。
彼女達は30分ごとにいつもの彼女達に戻って行った。
てんやわんやの1日であったが、終わってみれば一人平均14人の客を取り、8時間の勤務を終えた。帰りに渡された戦利品は白い封筒に入れられていて36000円の9掛け、33400円の現金が入っていた。彼女達が現金を手にした時みんな笑顔であった。
クリスマスの彼女達の笑顔は年末まで続いた。




