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1章 負けず嫌いふたり

 その日は幼稚園からの遊んでいる同じ年の明と馴染みの居酒屋で会う約束をしていた。

 明とは、小、中,、高と同じで、良くいっしょにいた。

 明は中より少し上ぐらいの成績であった。

 学校推薦で電気関係のお堅い会社に就職したが、1年もしない間に辞めた。

 その頃良男は東京の大学に進学していたので知らなかった。

 翌年の正月の帰省の時に知ったが、いまだに理由は知らないし、聞くこともない。

 明のことや。

 明は、ある時は競馬大好きな小銭しか持っていないばくち打ち、またある時は夜間の道路工事の作業員、またある時はピンサロの店員、またある時はすきまバイトのおじさんで、本当の正体は解らない。

 良男もすべてを知らない。

 なぞの男である。

 ただ、明が言っているのは、俺は結婚の出来ない男やと言っている。ピンサロ大好きと自称している。

「人生楽しんだもん勝ち!」

「自分で稼いだ金は、自分で使う。」

「他人の為に自分の人生を使うなんて、もったいない。」といつも言っている。

 確かにそうや。

 良男は串カツを食べながら、山本のおばちゃんの件と、大学生の話をした。

「昔、お得意さんだった、お客さんがやってきて、古古古米を買いに来た。その人は、年金暮らしで、高い米が買えないと言う。」

「次の日に、大学生がやって来て、古古古米を買って行った。」

「おかしくない?」と明に問う。

「年金生活者が、今まで食べていた米が食べられないんやで。」

「年金生活者が腹減って、コンビニで150円のおにぎり1個、万引きしても警察に捕まるんやで。」

「裏金議員はポッケットに、何千万も入れても逮捕されないんやで。おかしない?」

「これからこの国を支える若者に、普通の米を食べさすことが出来ないにんやで。」

「年金受給者は年金では生活できないんやで。」

「おかしいよね。外国からの攻撃の為に、防衛費を増やそうとしているけど、日本の国民も守れないやで。税金は国民を守るために使えや!みんなの金やで、おかしいよね。」

「明、どう思う?」と明にビールを継ぎながら言った。

「どうもならん。」

「明、何か良い考えないかな?」と良男は、うつむきながら言った。

 明は少しの間をおいて、

「あるよ!」とせせりを食べながら言った。

 良男は、「?」となり、明の方を見た。

「ピンサロやったら、ええやん。」

「山本のおばちゃんは、金儲けるし、大学生は元気になる。」と明は笑いながら言った。

「山本のおばちゃんに、ミニスカート履かせるんか?」と良男は明が不思議なこと言うので、言葉の意味を確認した。

「そうやと。」真顔で明は言った。

「60才超えてるおばちゃんのミニスカートを見に来る客いてへんで。」

「そんなんマニアや。」と良男が関東炊きの卵を食べながら言うと、

「顔隠し、身体隠し、胸も隠すと言うことをすればいける。年齢を解らなくするということや。」

「すなわち、ミステリアスや。」

「謎が謎を呼んで、お客好みの女性を勝手に妄想するのよ。」これはなかなか素晴らしいと明が酎ハイを飲みながら自画自賛していた。

「ここは十三、地の利はある。」と元ピンサロ店員が言う。

「あとは、場所、開店資金?」とてっさを箸でつつきながら、明が言った。

「お金と場所なら、あるよ!」と良男が、笑いながら言った。

 良男も独身である。

 30才の時に父親が倒れ、東京のサラリーマン生活を辞めて、実家に帰って来た。

 東京時代には彼女がいたが、十三にはいっしょに帰ってくれなかった。

 帰って来てからは、店と家との往復で、夜は明と安い居酒屋で飲んでいた。

 良男は結婚願望がないわけでなかったが、そのうちチャンスはあるよと周りの人にいわれていたが、チャンスはなかった。その結婚資金であり、店の金である1000万はある。

 場所は店の裏の倉庫の二階である。

 以前は在庫の米を抱えていたが、今は温度管理の出来る裏の倉庫の1階だけを使っている。

 良男は明に酒の勢いで言った。

「やろうよ。明がマネージャーやで。」


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